すぎゆく時に染められて。 空から零れ落ちて行った雫はやがてちいさな湖になりました。 今はもう遠く遠く離れた雫たちでしたが、それでもたいそう空が恋しかったので 遠い空が見せてくれる色とりどりの情景を片時も逃すまいと見つめていました。 やがて湖の記憶からすっかりと遠い空の記憶がなくなった時、 一輪の花が水面に生まれました。 それからどのくらいの時が過ぎ去ったでしょう。 一輪の花は今でも湖に咲いているといいます。 移りゆく時の中、そっと空を見上げながら。