求められていないと思うけど、たまにこんな事を思うので書いてみる。

特に「今までちゃんと勉強してこなかったけど、これから俺勉強したいんだ」という人向け。
もしくはそういうお子様を持つ親御さん向け。


I love you を和訳せよ、という試験問題があった時の考え方。



<<< 余談:編入試験と僕について >>>>>>
( 【もくじ】このブログでカバさんが書きたいテーマを列挙した )のブログでちょっと触れたが、

俺は20歳前後の時に「編入」という試験で京都大学に入学した。
多くの編入試験では、英語学習の到達度が一般入試よりもやや大事になる。

編入学とは、他の大学や専門学校等で取った単位を引き継いで入学することだ。
俺の場合は他の大学で2年生まで修了して、1年休学して勉強して、京大の3年生に編入学した。
そういうのがあるんだ。マイナーな試験だけど。

その点カバは、頭がいい人間かは別として、コスパよく京大に入学した人間だと思う。

まず公立の教育しか受けていない。保小中高大。私立は受験したことすらない。
なんのことはない、秋田が田舎だからだ。
なんだかんだ学習塾に通ったことがない。そのぶん部活したかったし。母親に一度「行きたいか?」と訊かれたことがあったが、「行きたくねえ」と応えた。案の定、高校ではクラスで最下位になったりもした。
編入については19歳の時に専門の予備校に行ったが、制度上それも半年分の通学で済んだ。

匿名ブログだから赤裸々に言っちゃうけどな、
たぶん、義務教育と高校で最低限かかる費用 + 約50万円(編入予備校費、受験代等)で京大生になれた。
多分だけど、東大生・京大生になる費用対効果のサンプルとしては、日本トップクラスだと思う。
みっともない、ただの貧乏症自慢だww まあ、言うなれば「滑稽なサンプル」だ。
ただし「お金をかけずに高学歴を得たい/子息に得させたい」という人には、ポジティブなサンプルになる面もあるのかな。であれば本望だ。

断っておくが、それでも「編入したい」と切り出した時、御昼寝家にとっては相当な臨時出費を親に負担させたぞ。

両親には感謝しかない。頭あがらねえ。

 

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今日の和訳の話は、その1年の勉強を経て、その中で一番、「未来の若者」に伝えておきたい学習項目の軸だ。
まあ、学習塾とか行ったことある人は耳タコだろうから、以下読み飛ばしてくれてよい。きっとその先生の方が説明上手だ。

そういうの行かなくても京大とか受けてみたい人の、最初の取っ掛かりになれば嬉しい。


さて。

【練習問題】I love you を和訳せよ。

なんでもいいから、 回答欄に書いたつもりになってくれ。

 

 → 「 __________ 」  



(時間経過)



①愛してる。
②君が好きだ。
③貴女を愛しています。


いろいろあると思う。
先に言うけど、もちろん全部間違いでない。優劣なく正解のはずだ。

では、それぞれ「なんでその訳になる?」と問われたとしたら、皆どのように応えるか?

 

(時間経過)

 

「だって、そうじゃん」。

 

と思った方。それでももちろん、この問題が「バツ」になることはない。

 

が、ちょっと以下、読んでほしい。

 

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とても説明くさくて変な訳だと思う人もいると思うが、
あくまで日本の(特に外国語系でない学部への)大学入試では、


④私はあなたを愛します。


という回答を最初に思いつくように、脳をトレーニングすることをお勧めする。
なんだったら④を回答用紙に書いても、もちろん優劣を問われず正解になるはずだ。


なぜか。


察しのつく方も多いと思うが、元の英文の文法を日本語の文法に過不足なく解釈した訳が、


④「私はあなたを愛します」。


なのだ。


英語の基本5文型って聞いたことがあるだろう。
「Ms.GreenとかWhy don't you~?じゃなくてこれを中1の1学期で重点的に教えろよ。義務教育は。」と多くの苦学生が憤る、英語学習において汎用性の高い知識だ。

5文型の説明を省くが、
・【練習問題】では動詞loveが他動詞として使われていることが解る為、 
 第3文型(SVO:主語+動詞+目的語)の構文であることが推測できる。(ア)

 ※これ、分からない人は、クラスの友達に聞いたり、youtubeでもいいから「5文型の判別の仕方」などで調べてみてくれ。

  どんなに勉強自身なくても、5時間あればカバでも理解できる。一度わかれば超単純な話だ。一生使える知識のはずだ。

・よって、I が「主語」、love が「第三文型の用法を取る他動詞」、youが「目的語」となる。(イ)

 

・日本語の場合、主語には「は/が(主格を表す格助詞)」、目的語には「を/に(目的格を表す格助詞)」、動詞つまり述語には「終止形の活用 + 。」を伴って訳す。
 I の訳は「私は」、love の訳は、現在形のため「愛す/愛します」、youの訳は「あなたを」と定める。(ウ)
 (愛しています でも、日本語の動詞「愛す」の用法の慣例としてはいいと思うが、ちょっと進行形っぽい訳になっちゃうから、…まあ、好みだな。)

・日本語は、主語、目的語、述語(=動詞など)の順番を問わない言語だから、好みで順番を決める。「私はあなたを愛します」。(エ)
 ※迷ったら、自分にとって一番客観的な順番にすると良い。「愛します、私はあなたを。」だと、なんか倒置的だよね。

・そして日本語は、主語、目的語、を省略しても意味を通じさせる慣習を持つ言語である。
 「私はあなたを愛します」の中に、学力を問う試験問題において、省略する必要がある要素があるか、最後に確認する。おそらく、無い。(オ)


「そんなん知ってるよ、アホらしい」
という人も、

「そんな難しいこと知らねえし、訳せたんだから必要ねえだろ、アホらしい」
という人も、


ちょっと聞いてほしい。



①愛してる。
②君が好きだ。
③貴女を愛しています。
④私はあなたを愛します。


この中で、上述の「(ア)~(オ)の点を私は理解していますよ~」ということが、採点者に一目瞭然で伝わる訳文は?


④しかないでしょ。


編入試験に限らない。一般入試の二次試験も、共通テスト(センター試験って言わないんだよねw)以外は、大学の教授や講師や院生が採点する場面がある訳だ。減点式じゃない、加点式だ。

「I love you を訳せ」と聞いて、

①愛してる。 ②君が好きだ。

と応える受験生の学習到達度を、回答用紙越しに想像する。
もちろん間違いじゃないけど、(ア)~(オ)のことを勉強してこの試験に臨んでいるのか、
それとも単純に洋画が好きだったり、海外生活でもして外国人の彼女が居たから感覚的に訳したのか。

めちゃくちゃ英語が好きで、文学的に訳さないと気が済まないから、説明くさい主語や目的語を省いたり、②で目的語の「君」に「が」とか、例外的な日本語の格助詞を付けたがるのか。

採点者には判断がつかない。

ましてや大学の教授や講師や院生の皆さんは、
いろんな関門を通る過程でこういうことを厳しく勉強してきたわけだ。「I love you」の訳には、彼らの回答の「好み」もあるわけ。洋書の翻訳家に採点してもらうわけではないのだ。
もし同点でどっちか1人を合格にしようかな、と思った時に、①より④が選ばれる可能性もあるわけだよね。
④「私はあなたを愛します」の方が、アカデミックな加点式の和訳試験ではお得なわけ。いろいろな面で。

もちろん、大げさな話だ。

「I love you を訳せ」という問題が実際にあったとして、④に優位性があるかって言われたら、ほとんどないだろう。

例文として分かりやすかったから取り上げた。

 

ただし。
「I love you を訳せ」に対して、

無邪気に ①愛してる。 ②君が好きだ。 ③貴女を愛しています。 と回答するトレーニングに時間を費やすか、
その度に「ア」~「オ」のことをじっくり思い出して ④私はあなたを愛します。 という解釈を経由するトレーニングに時間を費やすか、
どっちの方が、6カ月後に目指す大学への合格につながるトレーニングか。

自明だよな。

文型が取れるようになれば、
I'm more powerful than the Chancellor. I can overthrow him,  and together, you and I can rule the galaxy. We can make things the way we want them to be.
みたいな長い文章のパズルのような構文も、まったく同じ武器(基本5文型と日本語文法の対応)で、掴めるようになるわけだ。辞書さえあれば100%訳せるようになる。
(この話題に関連するのかは分からんが、英和辞典を「持込み可」にしている編入試験も多いからな)

 

「I love you → ④私はあなたを愛します。」について、

「なんでその訳になる?」 みたいな変な質問をされても、

「第三文型だから。」と答えればよいのだ。①~③から派生させて答えるより圧倒的に楽だし、二重丸がつくだろう。


4月、5月は、丁度年間の編入対策が始まる時期だ。
予備校の講座受講の受付や、年間の受験計画と勉強計画を立てる時期だ。
令和2年、新年度を迎えた教育現場ではコロナのせいで多くの混乱が今も続いているはずだ。
自分の、或いは親御さんの期待通りにいかなかった教育のコロナ禍もあるのだろうか。
もし「3年次からでもいいから、自分が本当に得たい学問を、他大で学びたい」と思う人は、

この混乱期の好機と捉えて「編入試験」の制度をググってみても、良いかも知れない。ブログ越しに応援する。

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社会に出てからも、この点を履き違えた「英語得意なんです私」という人が時々いる。
そういう人ほど「私、日本語の文法とか分からな~い! 英語は会話で習得するものでしょ。私15年アメリカにいたから、頭の感覚で翻訳できるもん。」
みたいなことを、大声で言うことがある。

それはそれで正しいのだと思う。場面によってはその瞬発力を羨ましいとさえ思う。そういう人に、僕は英会話で勝てないからね。ヒアリングとかね。海外留学したことねえし。楽しんだろうな。
でも、彼らが作文する営業資料や商談での発言等で、メチャクチャで中学生みたいな日本語を目の当たりにすると、ときどき「勿体ないなあ」と思う。

英語は論理的な言語だ。学習するほどそう思う。

然るに日本語は感覚的な言語だ。英語や和訳を整理して学習すると、日本語の構文力もまた論理的に鍛えることができるようになる。日常生活では得られない思考回路だ。

文系学部の編入試験で英語と同じくらい頻出される「小論文」の回答力も、連鎖的に向上するように思う。

本来、英語学習の到達度が高い人は、日本語のそれに対しても連鎖的に得意意識を持てるはずなのだ。

以上、自分が「未来の若者」に一番伝えておきたい、学習項目の軸の話であった。
また、京大編入の成果を振り返る時の一番の肝であったとも思う。参考になる方がいると嬉しい。


少なくとも、「今まで英語をちゃんと勉強してこなかったけど、これから俺勉強したいんだ」という貴方が、いま日本に居住しているのなら、
悪いことは言わない。

いきなり「アメリカに住んでバイリンガルになるわ」と言って金貯める前に、今日書いたような項目を気にしてほしい。



とか言っておいて、


「I love you を和訳せよ」と言われて

・わたし、死んでもいいわ(二葉亭四迷)
・月が綺麗ですね(夏目漱石)

とか訳す人もいるらしいけどね。
一橋生、東大生の考えることは儂の頭では分からんw 


そして断っておくが、

 

俺の勉強法を参考にすると、
どっかの大学受験の成果とかは出て、大手の外資IT企業に勤めることがあるかも知れんが、

世界的な感染症が流行した時にリストラされるかも知れねーぞww それは知らんwww




かばさん。
 

昨日の ( 【コロナ解雇】俺にリストラの原因はないだろ?という居直りの愚痴① ) の続き。

 

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俺にリストラの原因はないだろ?という居直りの愚痴②ー最も都合の良い解釈ー

もちろんコロナ不景気で業績が悪化しすぎたって言うのはあるけど、僕の配下含めチームの8割くらいは会社に残った。
ただし、現在の状況を伺うと、必ずしも残った同僚がたどる生活が恵まれていたと、一概に言えない状態のようだ。
 

この状況を鑑みて、考察することがある。
リストラを選んだ経営層が、会社に残った社員に与える影響である。リストラされた俺たち自身ではなく。


<わざと、シニア社員も新メンバーも混ぜてリストラした?>
経営層としては、追随する社員の「自己都合の退職」を惹起させるようなリストラを、目論んだのではないか?

俺も今回の経験で初めて知ったが、
リストラ、即ち「会社都合の解雇」というのは、会社が追うべき保障、義務や追加的支出を多く伴う。
労働基準法、労働契約法等で、解雇される従業員側には多くの権利が守られている。解雇理由が社会通念上相当するか、基準以上の退職金が支給されるか等。まあ、殆どお金で解決させる権利のようだ。

特に日本の法律ではかなり強気で戦うことが出来るようだ。さすが長期雇用慣行のお膝元。
 

そして僕は法律の知識は皆無なので、ボロが出ないうちに知ったかを辞めたいと思う。その都度ググって、かっこよくまとめている人の記事を鵜呑みにしている。

 
※今思えば。
( 【解雇通達】リストラ・ストーリーは突然に② )でライオンさんが提示してくれた「今日中のサインであれば・・・」の退職金的な物も、なんのことはない、この日本の法律で戦えば支払う義務が会社に発生する金額そのものだった。後で知った。
 
「サバンナ社の他の国の解雇では、このような支給はない。あくまで君たちへの誠意、謝意のつもりだ」と、その時のライオンさんの話術のままに白痴の俺は信じ込み、額面に多少ビックリ喜んだりしたのだった。あははは。
 
 
例えば、サンプルとして今回のリストラ対象者の特徴を列挙してみる。
強調しよう、フィクションだ。実際の人物と無関係です!

・カバ。34歳男性。サバンナ社3年。業界経験10年。営業部のご意見箱的存在(うわあ自分で言ってるww 気色わり)で、天狗。実績に波あり。上長へのダメ出しも公然と辛辣に言う。給料高いと思う。
・クロサイ。30歳男性。世帯持ち。サバンナ社5年。新卒入社の生え抜き。実績はトップクラス。やや経費の使い道が怪しい。給料高いと思う。
・バイソン。27歳男性。サバンナ社2年。バイリンガルで社風に合う知能派。実績は苦境が続く。
・インパラ。31歳男性。サバンナ社1年。前職も同業界。温厚なイケメン。模範的勤務態度。実績は苦境が続く。
・シロサイ。28歳男性。世帯持ち。サバンナ社1年。遅くまで誠意のある営業をする。一言多いが愛されキャラ。実績は苦境が続く。
・ガゼル。29歳男性。サバンナ社1年。熱意のある営業を精一杯する。模範的勤務態度。実績は苦境が続く。

営業実績、社歴、勤務態度、キャラ、階級、待遇、扶養親族の有無…どれも見事に法則性が無いのだ。
※いま思ったが、みんな男だったんだな。


どうだろうか。
残されたメンバーはどんな感情を持つだろうか。


うちの営業部は、1年前の急拡大期以降に中途採用されたメンバーが6割を占める。
今回のリストラでは、彼らから見たら先輩株であるカバさんやクロサイさんも対象になっている。また、インパラさんやガゼルさん等、サバンナ社1年の同期達も多くリストラされている。
数字は、どんぐりの背くらべで皆同じようなもの。選考基準は全く予想できない。業績は悪化の一途。
 
「来週は自分かも知れない」
 
っていう恐怖が生まれると思うんだ、普通。
そうなれば、転職先探すよね。
 
実際、俺のチームでも、俺らのリストラ通達の翌週から長期休職を取った子がいた。

転職というよりは、逼迫した状況に気持ちが参ってしまったようだ。可哀そうに。

彼らの現在の環境の話になるが、
俺のリストラの直後、一度株価を取り戻したかに見えたサバンナ社は、中東系の投資ファンドに一部の株式を売却した。俗に言う「身売り」という経営判断らしい。
まもなく俺のチームの残存メンバーは解体され、暫定的に違う部署のチームに臨時出向しているそうだ。
コロナ禍の甚大さ故だろう。その後さらに、減給を目的にした勤務日の短縮が一律で決まったそうだ。
つまり、「お前らの今までの経験、やり甲斐なんて知らん。新しい仕事のしたっぱから手伝え。家で寝てる日増やすから給料は減らすぞ。」ということのようだ。
 
企業経営の世界には、何の分野にも得体の知れない専門家がいるものだ。
当然、世界の資本主義文化を牽引するアメリカには、
「効果的なリストラ活用術 虎の巻」みたいなものが、俺が理解できないほどの実証的なロジックとして成熟しているはずだと、想像してしまうのである。もし俺が経営層の立場だったら、なんだったらむしろ周りから頼られる求心的な社員を優先してリストラ対象に含ませるかも知れない。絶望感を誘発させる為に。カバというよりクロサイさんなんかは、そんな感じの人だった。

 


 
今回のコロナ禍に面したサバンナ社が経営を維持するには、俺のタイミングの規模(30人中6,7人程度)の従業員削減では足りない。それは傍から見てもいまや明白だ。


仮に「多くの営業部の社員が、追随して自ら転職先を探す方法」としては、
見事なまでに綺麗にランダムなリストラ対象者だったと振り返らざるを得ない。

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何より、
 
この仮説を信じる時、俺の気持ちは一番安堵する。救われるのだ。

「ああ、周りから信頼されたシニアだからこそリストラにあったんだ。自分を責めなくていいじゃないか。」って。
それなら諦めつく、ってさ。
 
残った社員の今以上の負荷を想定する、手前勝手で最低な仮説だけどな。現実は、どうもそうなりつつあるようだ。

 
だから、なるべくそう思って、そして忘れるようにしようかな。自分が辛くなったら。
 
 
かばさん。
 
 
 

さてさて。
 

前のブログの
【コロナ解雇】原因は俺にあるのかな?という苦悩の流転

では、自分の悪い所ばかり気になって、そのままの思いを文章にしてしまった。

いくつか俺のブログ読んだ人は察しがつくかもだが、

まあ、そんなサムライみたいなね、脚下照顧の念で全てを納得する。…そんな高尚な人間じゃねーよ俺はw


同じくらい、

「なんで俺なんだよクソ」
「原因は俺に絶対ねーからなバーカ」
「俺は自称この営業部のエースだぞボケ」

って煮えたぎる思いを毎晩燃やすのもまた、同じ「御昼寝カバ」という人間だ。

今日は、そんな話になる。すまんな。
酒でも飲みながら読んでくれw


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俺にリストラの原因はないだろ?という居直りの愚痴①

コロナの構造的な原因は、やっぱり否定できないわな。


世界的に観光の消費が減って、うちの商品の取り扱いが90%以上減るような状況だ。
そもそもgoo●●eさん等の驚異で、2019年の末からあんまり良くなかったんだ、うちの会社の業績。
株主総会で任期3年以上のCEOがクビになったり、俺たち営業兵隊の体制や数字目標が毎月のように組み直された。

日本法人代表のライオンさんが俺に仰ったように、
「君に原因はない。アメリカ本社がポジションだけで選んだ」
てのも、あながち事実かも知れない。
そんな、アジアの端っこの営業兵隊の人事まで細かく気にしていられるような時間なかったみたいだしな。



でもな、



言わせてもらうけど、サバンナ社や各社員の哲学の問題だと思うぞ。


<老舗の商談を押し付け合う文化>
ちょっと俺ハメられた節もあるからな。
本当にクソみたいに、他人をハメたりワガママを主張する社員たくさんいた。…うむ、まさに俺も人のこと言えないが。

 

やや具体的な話になるけど、
日本の地方オーガニック食材、発酵食品の仕入れや販路登録が、俺たち主な営業部の仕事なんだが、
2年くらい前から、チームの中で俺だけ日本各地域の老舗や歴史のある生産者様の専門になったんだ。
他の4人くらいは、案件を多く登録できる「新興農業」の経営者向けの営業に分業したんだ。戦略的にな。

「新興農業」、大雑把に言えば、新たなバイオテックで品質のいい有機野菜をユニットで栽培できるようになって、小さなスペースでも農業できるようになってきていてな、
小口で直売をメインにしたい、若い経営者が増えてきているんだ。「新興農業」っていうのは、そういう生産者様の事だ。


うちの営業実績や目標は「契約の数」だけで管理されていた。商品量はあんまりトラックされていなかった。目標管理が未発達だったんだな。
特に新興農業は、同じ経営者様でもユニット別で契約書を発行するから、商談がうまくいくと30くらい契約とれたりするの。数字のマジックってやつだ。
老舗系1軒より商品量が少なくても、新興農業が契約数は何十倍だったりするんだ。新規農業の経営者様の方が、登録意欲が圧倒的に強い傾向もある。


当時、営業実績の管理はチーム制だった。
チームの中で俺が老舗系の専門になったのは、前職の松林株式会社での商談経験が長くて、老舗で数字を取れていたからだ。
チームの実績を最大にする為には「新興農業」を落とせない。一方で「日本の営業部はなるべく老舗系も攻めてくれ」とも、言われていた。

だから、ある日チームのリーダーだったビクトリアコアラさんが言った。
「カバさんが老舗系を1人でやって、他はなるべく新興農業を攻めて、効率的にチーム達成しましょう」。

思う所はいろいろあったが、なるべくシンプルに仕事がしたかったので、俺は「ぜひそれで行きましょう」と応えた。

俺は知っていた。ビクトリアコアラさんは老舗系をやりたくなかったのだ。泥臭い営業だから。
他のメンバーにアライグマさんという人がいたが、彼にに至っては、「僕は老舗への営業架電の仕事を他のメンバーに任せたい。向いていない。チーム制では事務方に回りたい。」とMTGで言われたことがある。
国内企業でずっと営業をしていた俺は、そんな自己都合な主張に耳を疑ったものだ。

ビクトリアコアラはリーダーだ。チームの数字の最大化の為、という大義名分も、もちろん本音の1つだろう。
俺だって新興農業様の契約の恩恵を受けたから、優秀な成績を持つチームの一員でいられたのだ。

だけど俺は、心の中で軽蔑していた。
「営業だったら顧客を選ぶな」。

ほっといても登録するような新興の案件の担当者を奪い合い、老舗の営業架電を押し付け合う議論に躍起になる。恥ずかしさも自尊心もないのか。
せっかく地域経済を活性化させる、大きな販路がある仕事なのに、なんでそれを避ける議論が営業部で生まれるんだ。く●ったれ。

…思えば、この感情の芽生えがリストラの第一フラグだったんだろうなw


それからしばらくして、ビクトリアコアラは2段階くらい階級を上げた。
アライグマさんは、老舗への営業架電は人任せのまま、リピーター案件などで数字を積み、会社から表彰もされた。
俺は、リーダーに昇格こそしたが、現在の結果は知っての通りだ。

レオさん(【リストラ後日譚】心配して大阪に来た同僚の助言① の人)とは、

こういう意見はよく合ったなあ。少なくとも彼は俺にそう思わせてくれた。

 


<給料をもらいすぎていた?>
新しく中途できた当時のマネージャーは、そんな俺の老舗への商談の固執に、理解を示してくれてな。
「カバさんは、もちろん他メンバーの契約数に感謝すべきだけど、カバ自身が皆に貢献していることにも胸を張れ」と認めてくれたんだ。

そんな背景もあって、彼は俺の年俸を100万円くらい上げてくれたんだ。だいぶ異例だったようだ。
まあそのマネージャーは、去年の6月に会社を去ってしまった。たった10ヶ月の付き合いだった。

その後、チームには「老舗への営業を強化せよ」の指示がさらに強くなり、メンバーも3倍に膨れ上がった。
リーダーになった俺は、業界について右も左も分からないメンバーの理解進度や達成感のマネジメントに全力を注いだ。
それまで以上に、俺は「癖のある老舗系」に特化し、「新興農業」や「未開拓の老舗系」を新メンバーに担当してもらった。

慣れない「和気あいあいチームの雰囲気づくり」も、それなりに頑張った。・・・多分。

松林株式会社時代の采配を参考にした。
気づけば俺は、メンバー向けの任意研修資料を土日まで会社に行って作って、営業ノウハウの共有会をチーム向けに定期開催した。

楽しかったんだろうな、俺が。天狗になるフラグだ。

ただし、世の中の老舗系の生産者だけで、「新興農業」の頃の水準の契約数を取ることは出来なかった。もうそんなに商談先残ってないしなw
アメリカが状況を理解していないのか、俺たちが力不足なのか。
いずれにせよ、去年と同水準の新規契約数を求められ、達成できなかった俺のチームの評価は下がった。

まあ、それが営業の仕事だ。無念。
こればかりは、付いてきてくれたメンバーに申し訳ないことをした。100%俺が悪い。


2020年1月から営業の体制が「全員個人制」になり、チーム目標制は解体された。
2月下旬、俺のリストラ前日の個人実績は、目標42に対して71だ。他のメンバーは15~25。
オレ頑張ったよな?

 

ハイ達成して意見したかったんだ。3月ごろの四半期末の会議で。自分の数字とともに残業時間の記録を突きつけて。
「もっと現場を知ってほしい。他のメンバーも精一杯やっている。
 こんな青天井な目標の営業管理は、メンバーを疲弊させるだけだ。
 俺はこの業界で10年いるからなんとかなっただけだ。それを標準にして計画を立てたら、致命的な経営の誤りが生まれるはずだ。」

既に致命的な経営の誤りはあった訳だ。リストラするくらいだから。

2019年までの営業実績データと、各社員が貰っている給料を参考に、リストラ対象者を抽出したとすれば、

俺が選ばれるのは至極合理的だろうな。

 

悲しかったなあ。悔しかった。
 

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酒でも飲みながら読んでくれ、とか言いながら朝にアップする俺なww

 

 

かばさん。