求められていないと思うけど、たまにこんな事を思うので書いてみる。

特に「今までちゃんと勉強してこなかったけど、これから俺勉強したいんだ」という人向け。
もしくはそういうお子様を持つ親御さん向け。


I love you を和訳せよ、という試験問題があった時の考え方。



<<< 余談:編入試験と僕について >>>>>>
( 【もくじ】このブログでカバさんが書きたいテーマを列挙した )のブログでちょっと触れたが、

俺は20歳前後の時に「編入」という試験で京都大学に入学した。
多くの編入試験では、英語学習の到達度が一般入試よりもやや大事になる。

編入学とは、他の大学や専門学校等で取った単位を引き継いで入学することだ。
俺の場合は他の大学で2年生まで修了して、1年休学して勉強して、京大の3年生に編入学した。
そういうのがあるんだ。マイナーな試験だけど。

その点カバは、頭がいい人間かは別として、コスパよく京大に入学した人間だと思う。

まず公立の教育しか受けていない。保小中高大。私立は受験したことすらない。
なんのことはない、秋田が田舎だからだ。
なんだかんだ学習塾に通ったことがない。そのぶん部活したかったし。母親に一度「行きたいか?」と訊かれたことがあったが、「行きたくねえ」と応えた。案の定、高校ではクラスで最下位になったりもした。
編入については19歳の時に専門の予備校に行ったが、制度上それも半年分の通学で済んだ。

匿名ブログだから赤裸々に言っちゃうけどな、
たぶん、義務教育と高校で最低限かかる費用 + 約50万円(編入予備校費、受験代等)で京大生になれた。
多分だけど、東大生・京大生になる費用対効果のサンプルとしては、日本トップクラスだと思う。
みっともない、ただの貧乏症自慢だww まあ、言うなれば「滑稽なサンプル」だ。
ただし「お金をかけずに高学歴を得たい/子息に得させたい」という人には、ポジティブなサンプルになる面もあるのかな。であれば本望だ。

断っておくが、それでも「編入したい」と切り出した時、御昼寝家にとっては相当な臨時出費を親に負担させたぞ。

両親には感謝しかない。頭あがらねえ。

 

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今日の和訳の話は、その1年の勉強を経て、その中で一番、「未来の若者」に伝えておきたい学習項目の軸だ。
まあ、学習塾とか行ったことある人は耳タコだろうから、以下読み飛ばしてくれてよい。きっとその先生の方が説明上手だ。

そういうの行かなくても京大とか受けてみたい人の、最初の取っ掛かりになれば嬉しい。


さて。

【練習問題】I love you を和訳せよ。

なんでもいいから、 回答欄に書いたつもりになってくれ。

 

 → 「 __________ 」  



(時間経過)



①愛してる。
②君が好きだ。
③貴女を愛しています。


いろいろあると思う。
先に言うけど、もちろん全部間違いでない。優劣なく正解のはずだ。

では、それぞれ「なんでその訳になる?」と問われたとしたら、皆どのように応えるか?

 

(時間経過)

 

「だって、そうじゃん」。

 

と思った方。それでももちろん、この問題が「バツ」になることはない。

 

が、ちょっと以下、読んでほしい。

 

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とても説明くさくて変な訳だと思う人もいると思うが、
あくまで日本の(特に外国語系でない学部への)大学入試では、


④私はあなたを愛します。


という回答を最初に思いつくように、脳をトレーニングすることをお勧めする。
なんだったら④を回答用紙に書いても、もちろん優劣を問われず正解になるはずだ。


なぜか。


察しのつく方も多いと思うが、元の英文の文法を日本語の文法に過不足なく解釈した訳が、


④「私はあなたを愛します」。


なのだ。


英語の基本5文型って聞いたことがあるだろう。
「Ms.GreenとかWhy don't you~?じゃなくてこれを中1の1学期で重点的に教えろよ。義務教育は。」と多くの苦学生が憤る、英語学習において汎用性の高い知識だ。

5文型の説明を省くが、
・【練習問題】では動詞loveが他動詞として使われていることが解る為、 
 第3文型(SVO:主語+動詞+目的語)の構文であることが推測できる。(ア)

 ※これ、分からない人は、クラスの友達に聞いたり、youtubeでもいいから「5文型の判別の仕方」などで調べてみてくれ。

  どんなに勉強自身なくても、5時間あればカバでも理解できる。一度わかれば超単純な話だ。一生使える知識のはずだ。

・よって、I が「主語」、love が「第三文型の用法を取る他動詞」、youが「目的語」となる。(イ)

 

・日本語の場合、主語には「は/が(主格を表す格助詞)」、目的語には「を/に(目的格を表す格助詞)」、動詞つまり述語には「終止形の活用 + 。」を伴って訳す。
 I の訳は「私は」、love の訳は、現在形のため「愛す/愛します」、youの訳は「あなたを」と定める。(ウ)
 (愛しています でも、日本語の動詞「愛す」の用法の慣例としてはいいと思うが、ちょっと進行形っぽい訳になっちゃうから、…まあ、好みだな。)

・日本語は、主語、目的語、述語(=動詞など)の順番を問わない言語だから、好みで順番を決める。「私はあなたを愛します」。(エ)
 ※迷ったら、自分にとって一番客観的な順番にすると良い。「愛します、私はあなたを。」だと、なんか倒置的だよね。

・そして日本語は、主語、目的語、を省略しても意味を通じさせる慣習を持つ言語である。
 「私はあなたを愛します」の中に、学力を問う試験問題において、省略する必要がある要素があるか、最後に確認する。おそらく、無い。(オ)


「そんなん知ってるよ、アホらしい」
という人も、

「そんな難しいこと知らねえし、訳せたんだから必要ねえだろ、アホらしい」
という人も、


ちょっと聞いてほしい。



①愛してる。
②君が好きだ。
③貴女を愛しています。
④私はあなたを愛します。


この中で、上述の「(ア)~(オ)の点を私は理解していますよ~」ということが、採点者に一目瞭然で伝わる訳文は?


④しかないでしょ。


編入試験に限らない。一般入試の二次試験も、共通テスト(センター試験って言わないんだよねw)以外は、大学の教授や講師や院生が採点する場面がある訳だ。減点式じゃない、加点式だ。

「I love you を訳せ」と聞いて、

①愛してる。 ②君が好きだ。

と応える受験生の学習到達度を、回答用紙越しに想像する。
もちろん間違いじゃないけど、(ア)~(オ)のことを勉強してこの試験に臨んでいるのか、
それとも単純に洋画が好きだったり、海外生活でもして外国人の彼女が居たから感覚的に訳したのか。

めちゃくちゃ英語が好きで、文学的に訳さないと気が済まないから、説明くさい主語や目的語を省いたり、②で目的語の「君」に「が」とか、例外的な日本語の格助詞を付けたがるのか。

採点者には判断がつかない。

ましてや大学の教授や講師や院生の皆さんは、
いろんな関門を通る過程でこういうことを厳しく勉強してきたわけだ。「I love you」の訳には、彼らの回答の「好み」もあるわけ。洋書の翻訳家に採点してもらうわけではないのだ。
もし同点でどっちか1人を合格にしようかな、と思った時に、①より④が選ばれる可能性もあるわけだよね。
④「私はあなたを愛します」の方が、アカデミックな加点式の和訳試験ではお得なわけ。いろいろな面で。

もちろん、大げさな話だ。

「I love you を訳せ」という問題が実際にあったとして、④に優位性があるかって言われたら、ほとんどないだろう。

例文として分かりやすかったから取り上げた。

 

ただし。
「I love you を訳せ」に対して、

無邪気に ①愛してる。 ②君が好きだ。 ③貴女を愛しています。 と回答するトレーニングに時間を費やすか、
その度に「ア」~「オ」のことをじっくり思い出して ④私はあなたを愛します。 という解釈を経由するトレーニングに時間を費やすか、
どっちの方が、6カ月後に目指す大学への合格につながるトレーニングか。

自明だよな。

文型が取れるようになれば、
I'm more powerful than the Chancellor. I can overthrow him,  and together, you and I can rule the galaxy. We can make things the way we want them to be.
みたいな長い文章のパズルのような構文も、まったく同じ武器(基本5文型と日本語文法の対応)で、掴めるようになるわけだ。辞書さえあれば100%訳せるようになる。
(この話題に関連するのかは分からんが、英和辞典を「持込み可」にしている編入試験も多いからな)

 

「I love you → ④私はあなたを愛します。」について、

「なんでその訳になる?」 みたいな変な質問をされても、

「第三文型だから。」と答えればよいのだ。①~③から派生させて答えるより圧倒的に楽だし、二重丸がつくだろう。


4月、5月は、丁度年間の編入対策が始まる時期だ。
予備校の講座受講の受付や、年間の受験計画と勉強計画を立てる時期だ。
令和2年、新年度を迎えた教育現場ではコロナのせいで多くの混乱が今も続いているはずだ。
自分の、或いは親御さんの期待通りにいかなかった教育のコロナ禍もあるのだろうか。
もし「3年次からでもいいから、自分が本当に得たい学問を、他大で学びたい」と思う人は、

この混乱期の好機と捉えて「編入試験」の制度をググってみても、良いかも知れない。ブログ越しに応援する。

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社会に出てからも、この点を履き違えた「英語得意なんです私」という人が時々いる。
そういう人ほど「私、日本語の文法とか分からな~い! 英語は会話で習得するものでしょ。私15年アメリカにいたから、頭の感覚で翻訳できるもん。」
みたいなことを、大声で言うことがある。

それはそれで正しいのだと思う。場面によってはその瞬発力を羨ましいとさえ思う。そういう人に、僕は英会話で勝てないからね。ヒアリングとかね。海外留学したことねえし。楽しんだろうな。
でも、彼らが作文する営業資料や商談での発言等で、メチャクチャで中学生みたいな日本語を目の当たりにすると、ときどき「勿体ないなあ」と思う。

英語は論理的な言語だ。学習するほどそう思う。

然るに日本語は感覚的な言語だ。英語や和訳を整理して学習すると、日本語の構文力もまた論理的に鍛えることができるようになる。日常生活では得られない思考回路だ。

文系学部の編入試験で英語と同じくらい頻出される「小論文」の回答力も、連鎖的に向上するように思う。

本来、英語学習の到達度が高い人は、日本語のそれに対しても連鎖的に得意意識を持てるはずなのだ。

以上、自分が「未来の若者」に一番伝えておきたい、学習項目の軸の話であった。
また、京大編入の成果を振り返る時の一番の肝であったとも思う。参考になる方がいると嬉しい。


少なくとも、「今まで英語をちゃんと勉強してこなかったけど、これから俺勉強したいんだ」という貴方が、いま日本に居住しているのなら、
悪いことは言わない。

いきなり「アメリカに住んでバイリンガルになるわ」と言って金貯める前に、今日書いたような項目を気にしてほしい。



とか言っておいて、


「I love you を和訳せよ」と言われて

・わたし、死んでもいいわ(二葉亭四迷)
・月が綺麗ですね(夏目漱石)

とか訳す人もいるらしいけどね。
一橋生、東大生の考えることは儂の頭では分からんw 


そして断っておくが、

 

俺の勉強法を参考にすると、
どっかの大学受験の成果とかは出て、大手の外資IT企業に勤めることがあるかも知れんが、

世界的な感染症が流行した時にリストラされるかも知れねーぞww それは知らんwww




かばさん。