ホピ(仮名)は放し飼いで、家にも自由に上がれましたし、外にも自由に行けました。それに対しエキス(仮名)は、庭に繋がれていました。そのせいか、エキスは少しでも鎖が外れると、一目散に逃げ出す犬でした。ホピが自由なのを見ているからではないかと思うのですが。

またエキスは、だんだんと家にも上がるようになりました。自分で庭に面した家の戸を開け、そこから家に入るのです。繋がれているので家の奥には入れませんが、縁側とその近くの台所までは入りました。ホピは、エキスが家の中に入ると怒ります。ホピは家に入っていいのは自分だけで、エキスは身分が低いと思っているのでしょう。

エキスはホピに怒られると、縁側から顔だけを外に出します。どうやら顔さえ外に出せば、体は家の中でもセーフという、自分ルールがあったようです。

エキスはホピを恐れていましたが、それはホピが先輩犬で、仔犬の頃にはホピに遊んでもらっていた関係だったからです。ホピは、仔犬の頃のエキスは可愛がっていましたが、エキスが大きくなってからは、エキスを怒るようになりました。ホピは焼きもち焼きなのです。

ただ、エキスはホピより体が大きくて、ケンカも強い犬でした。エキスがホピとケンカする事は滅多にありませんでしたが、食べ物が絡んだりするとケンカになりました。ドッグフードぐらいではケンカになりませんが、肉などの取り合いではケンカになります。

母親がエキスを夜に放す事がありました。今は犬の放し飼いは許されませんが、昔の田舎では放し飼いが普通にありました。

ある夜、私が友達の家から自宅に向かっていると、犬の集団に出会いました。見ると、エキスがチビ犬を集めてリーダーをやっていました。エキスはケンカが強いので、親分になっていたのです。その犬の集団の副リーダー格らしき犬が私に吠えると、さすがにリーダーのエキスが止めさせました。私がエキスの飼い主なのだから、エキスとしては当たり前です。エキスも、そこはわきまえています。

また、ある小学生は、夜にエキスが遊びに来るので、わざと給食のパンを残して、エキスにやっていたそうです。あまり可愛い顔じゃないエキスですが、そのエキスを可愛がってくれた子供もいたのです。

エキスは、ちょっとでも鎖が外れると、なんの躊躇も無く、後ろを振り返ることも無く、一目散に逃げていくので、我が家では評判が良くありませんでした。忠犬のホピの真逆です。

ただ私は、ホピが放し飼いにされているのを見て、エキスも自由に憧れていたのではないか、そう思うのです。