「ブランディングの科学」(朝日新聞出版)によると、

実際の市場調査の結果、よく言われている差別化を重視したブランディングは間違っていると言います。

 

では、何を重視すべきなのでしょうか。

それは独自性だといいます。

 

さて、ここでは、言葉の意味の違いをことさら問題にしたいわけではなく、

また、言葉遊びのようなことをするつもりもありません。

 

ただ、差別化と独自性は、全く違うことを意味していますし、

その違いが、ブランディングの理解に直結するのではないかと思って取り上げました。

 

差別化は商品を中心とした発想の概念ですが、

独自性は顧客の頭の中を中心として発想した概念となります。

 

差別化と独自性の違いについて、

詳しく知りたい人は様々なサイトで論じられていますので、見てみてください。

例:

 

 

私はブランディングの専門家ではありませんが、マーケティングについて特にこの4年間、集中的に様々な書籍や実践経験をもとに研究し続けていて、ブランディングの大切さを感じている一人です。

 

さて、独自性についてお話しします。

独自性では何が大事かというと、

「メンタル・アベイラビリティ」と「フィジカル・アベイラビリティ」です。

 

メンタル・アベイラビリティとは、消費者が購入するとき、そのブランドが思い出されやすいことです。

 

例えば、うどんなら丸亀製麺、石鹸なら牛乳石鹸、栄養ドリンクならリポビタンD、アリナミンV等、という具合です。

お昼に何を食べようか、と思ったときに連想するお店はそれほど多くないと思います。

 

私の場合は、丸亀製麺、吉野屋、松屋、すき屋、ガスト・・・などですが、

そのように連想する候補の中に思い出されやすいということです。

 

次に、フィジカル・アベイラビリティですが、

こちらは、消費者がブランドを見つけて買いやすいことです。

例えば、お昼は丸亀製麺に行って食べたい、と思ったら、すぐ行ける場所にお店があることです。

 

差別化はブランディングを考える際の重要な要素ではありますが、

実際の市場調査の結果を分析すると、差別化が売り上げに影響しているとは考えられず、多くの顧客は差別化に気づいていないようです。

勿論、一部の顧客は差別化を理解して選んでいることは間違いないと思いますが、

多くの顧客はそこまで考えていないというのです。

 

私のあるあるを例に挙げます。

もし私が妻から石鹸を買ってくるよう頼まれたら、近所のドラッグストアに行って、「牛乳石鹸」を買ってきます。

 

もし、拘って選ぶとしても、「この前は赤にしたから、今度は青にしてみよう」という程度です。

 

ここで、「花王石鹸もあるじゃないか」という人もいるかも知れません。

しかし、私には牛乳石鹸も花王石鹸も大した違いを理解できていないし、考えようとしていないのです。

そのこと以上に「最初に頭に思い浮かぶ」ということが購買に直結しているのです。

 

ちょっとくどくなりますが、本気で比較すると、赤の牛乳石鹸が使用感が良いので好きです。

それでも、それだから牛乳石鹸を選んでいるのではなく、買いに行ったお店に置いてある石鹸で、最初に思い浮かんだブランドの石鹸を買っているということが実際のところです。

 

多くの顧客も同じような購買行動を行っていることは容易に想像がつきます。

繰り返しになりますが、差別化を理解してブランドを選択している顧客は一握りであり、

多くの顧客は差別化に気づいていないというのです。

 

それから、人によっては、差別化と聞いて真っ先に思い浮かぶのは「アップル」かも知れません。

 

しかし、市場調査で、アップルが差別化に成功したことを裏付ける結果は出ておらず、OSの独自性が原因で、他のブランドに乗り換える人が少ないということが分かる程度ということです。

 

事実としては、アップルも、宣伝効果によって独自性が顧客に受け入れられていると理解すべきであり、差別化に成功したと理解すべきではないのです。

 

結論を言うと、

実際によく売れている商品は、差別化に成功した商品ではなく、思い出してもらいやすいブランドである上、すぐに買える環境を整えることに成功した商品であるということです。

 

そして、思い出してもらいやすいブランドとは、独自性が顧客に伝わっているブランドです。

 

別の表現をすると、「そのブランドらしさ」を顧客に感じて認識してもらえているかどうかです。

 

そのことに成功した上で、すぐに買えるようになっていたら、

①買いたい→②思い浮かべる→③購入する→④買いたい→⑤思い浮かべる・・・

という購買行動が確立していき、購入した顧客の頭の中にブランドが確立していくとのだいうことです。

 

ここで、1つ思い出したことがあります。

日本を代表するマーケターである森岡毅氏は、USJのV字回復で有名ですが、そのV字回復の取り組みの最初の頃、森岡氏は顧客価値を生み出すことに全力を尽くしてアイディアを実現しようとしたのですが、多くの人から反対されました。

 

反対の主要な理由は差別化(ディズニーランドとの差別化)だったというのですが、森岡氏はその時は差別化に拘るべきではないと判断し、強い集客力を生み出すアイディアを実現し成功します。

 

今日の話をまとめたいと思います。

ブランディングで、差別化を重要とするのが当たり前のように知られていますが、実際には、差別化ではなくブランドに独自性があることの方が重要であるようです。

 

但し、差別化を軽視して良いという意味ではなく、差別化という言葉や結果だけに拘り過ぎず、何のための差別化なのかを理解した上で、あくまでも独自性のある顧客価値を届けるための文脈の中で差別化を考えなければならないのだと思います。

 

皆さんの商品、サービスは、独自性が顧客に伝わっていますか。

 

市場調査もそのような観点で行ってみるとより有意義なのではないでしょうか。

 

私たち共創日本ビジネスフォーラムでは、

中小企業の経営者及び個人事業主がそれぞれの専門分野の情報や成功体験をシェアし、学び合っています。

 

テーマは実践マーケティングと経営戦略です。

中小企業の経営者、個人事業主、企業人、専門家がフラットな関係で学び合うことで、

すぐに活用できるヒントを得ることができます。

 

<共創日本ビジネスフォーラム>

 

参加者から、ここの勉強会ほど異業種からヒントを得られるところはない、との声をいただいています。

 

さて、今回、11月19日のビジネス研究会では、講師である日本マウント株式会社の石倉社長から、「学びや勉強の目的は顧客の心を知ること」「突き抜けた成功者はどのように学んでいるのか」というテーマの内容を話していただきます。

 

これまで、多くの挫折と困難を経験されながらも、学びを重視する中で困難を乗り越えて来た石倉社長は、いつも「全ては学んだ分だけ結果を出せる」と言っておられるのですが、今回のテーマは大変興味深く、楽しみにしています。

 

今日のブランディングの話からも、ブランドは顧客の頭の中に築かれるものであることが分かるので、石倉社長のお客様の心を理解することが大切、という内容とも通じます。

 

<11月19日のセミナー「ビジネス研究会」>

 

 

 

マーケットは生きています。

マーケティングは、専門的知識を持っていることも意味がありますが、

実戦で活用するには、本質を理解して活用することが大事です。

私たちの勉強会をその助けになることを願っています。