さる7月5日、一葉記念館での朗読サロン「にごりえ」、無事終了しました。

今回の「にごりえ」は、本文を一切カットせず、樋口一葉の文章そのままを一人で語りきると決めてのぞみました。

所要時間は85分。

言の葉つむぎ


ときに立ち、ときに座り・・・

言の葉つむぎ


「にごりえ」を朗読していきました。

言の葉つむぎ


85分という長さなのですが、私自身は語り始めるとあっという間だと、稽古のときから感じていました。

一葉の文章に、ぐんぐん引き込まれていってしまうからなのでしょう。

しかし、お客さまはじっと座ったまま85分・・・果たしてちゃんと聞いていただけるか、正直いって不安でした。


やはり本番も語り始めたらあっというまに、最後の場面・・・

 魂祭り過ぎて幾日、まだ盆提燈のかげ薄淋しき頃、新開の町を出し棺二つあり。


お力と源七の死は、世間がいろいろと噂するのものの、真相は謎のままです。

 諸説みだれて取り止めたることなけれど、恨みは長し、人魂か何か知らず、筋を引く光り物の、お寺の山という小高き処より、折ふし飛べるを見し者ありと伝えぬ。

「恨みは長し」に、お力の無念さをじっと思いながら、声にすると、そのあとは前方の空間に人魂が見えたような、そんな感覚になり、最後はゆっくり「伝えぬ。」と、言の葉をおきました。


会場のみなさまは身じろぎもせず、その空間を見守っていてくれたように感じました。

長い時間の御静聴、本当にありがとうございました。


一葉記念館のスタッフの皆様には今回もまたひとかたならず、お世話になりました。
この場を借りて、心よりお礼申し上げます。


今、語り終えて、心底ほっとしています。



ありがとうございました。