一月十日
雪が積んでゐる、まだ降つてゐる、風がふく、寒く強く。
近来にない寒さだつた、
寒が一時に押し寄せたやうだつた、
手拭も葱も御飯も凍つた、
窓から吹雪が吹き込んで閉口した。
ありがたいことには炬燵があつた、
粕汁があつた。
朝湯朝酒は勿体ないなあ。
今日は金比羅さんの初縁日で、
おまゐりの老若男女が前の街道をぞろ/\通る、
信仰は寒さにもめげないのが尊い。
隙洩る風はこの部屋をいかにも佗住居らしくする、
そしてその風をこらへて、
せくゞまつてゐる自分をいかにも佗人らしくする。……
寒いにつけても、
ルンペン時代のつらさを思ひ出さずにはゐられない。
酒ほどうまいものはない、
そして酒ほどにがいものはない、――
酒ではさんざ苦労した、苦労しすぎた。……
雪の葉ぼたんのしゞま
さら/\ふりつむ雪見ても
雪夜、隣室は聖書ものがたり
・ヤスかヤスかサムかサムか雪雪(ふれ売一句)
吹雪吹きこむ窓の下で食べる
一月十一日 曇つて晴れる、雪の後のなごやかさ。
いつものやうに、御飯を炊いて、
そして汁鍋をかけておいて湯屋へ。――
あんまり寒いから一杯ひつかける、
流行感冒にでもかゝつてはつまらないから、
といふのはやつぱり嘘だ、
酒好きは何のかのといつては飲む、
まあ、飲める間に飲んでおくがよからう、
飲みたくても飲めない時節があるし、
飲めても飲めない時節がある。……
事実を曲げては無論いけない、
といつて、
事実に囚へられては、また、いけない
(句作上に於て殊に然り)。
あるだけのものを着てあたゝかうをる
・かあいらしい雪兎が解けます
・豆腐屋さんがかちあつた寒い四ツ角
雪の朝の郵便も来ない
雪の夕べをつゝましう生きてゐる
・逢うて戻ればぬかるみ
・十分に食べて雪ふる
雪の夜半の誘惑からのがれてきた
寒ン空、二人連れは男と女
(青空文庫作成ファイル)より
(続きます)
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今日も命を授けていただきありがとう (^-^)
二度とない人生
だから 今日が大事、今日が大切
今日もいい日でありますように 【合掌】
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