山頭火の「行乞記」昭和6年ー1/2 | 安 明高 の 生 活

安 明高 の 生 活

日頃の気になること と
坂村真民・種田山頭火さんなどの作品を掲載してます

御先祖の御加護に感謝をし
日本百観音などを参拝の後
お四国を錦札で巡拝できる喜びを感じて
弘法大師・法然上人・親鸞聖人などの魅力を紹介してます。

【南無大師遍照金剛】 * 7

一月二日 曇后晴、風、人、――お正月らしい場景となつた。
宇佐-25
吉例によつて、

お屠蘇とお雑煮だけは缺かさない、

独り者にも春は来にけり、

さても結構なお正月で御座います、

 

午後になつて出かける、

まづ千体仏へ、老師はお年始まはりで不在、

つぎに茂森さん宅へ、こゝも廻礼でお留守、――

歩くのが嫌になつて、人間がうるさくなつて、

そのまゝ帰つて来た、

夕方、思ひがけなく元坊来訪、

今夜また馬酔木居で会合することを約束する、

何も御馳走するものがないから

 

柑をあげる、

私はお雑煮やりそこなひの雑炊を食べて、

ぶら/\新市街の雑踏を歩いて、馬酔木さんを訪ねる、

いろ/\お正月の御馳走になる、

十分きこしめしたことはいふまでもない、

だいぶおそくなつてSの店に寄つた、

 

年賀状がきてはゐないかと思つて、――が、

それがいけなかつた、

彼女の御機嫌がよくないところへ、

私が酔つたまぎれに言はなくてもいゝ事を言つた、

とう/\喧嘩してしまつた、

お互に感情を害して別れる、

あゝ何といふ腐れ縁だらう!


暁、火事があつた、裏の窓からよく見えた、

私は善い意味での、我不関焉で、火事といふものを鑑賞した

(罹災者に対してはほんたうにすまないと思ひながらも)。


さきころまでは何を食べても――

水を飲んでさへも――塩つぽく感じたのに、

けふこのごろは、

何を食べても甘たらしく感じる、

何の病気だらうか、しかし近来の私は健康である、

今夜も馬酔木居で、

肥えたといはれたが、なるほど、私は肥えた、

手首を握つて見るに、今までにない大きさである。……


通信費が多いのには閉口する、

こゝへ移つてから、転居の通知やら、年始状やらで、

もう葉書を百五十枚ぐらいは買つたらう、

これではとてもやりきれない

(生活費の三割以上を占めるやうになる)、

早く三八九を出して、それを利用したい。

 

 先祖代々菩提とぶらふ水仙の花
 酔へばけふもあんたの事
(緑平さんに)
・うまい手品も寒い寒い風
 正月二日の金峰山も晴れてきた
 お正月の熊本を見おろす
・もう死ぬる声の捨猫をさがす
 自動車も輪飾かざつて走る
 持てるものみんな持つて歩いてゐる
(老遍路さん)
 よい月の葉ぼたんのよさ
   追加二句
・訪ねる人もゐない街のぬかるみ
 闇をつらぬいて自動車自動車

 

(青空文庫作成ファイル)より

 

(続きます)

*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆  

 

今日も命を授けていただきありがとう (^-^)

二度とない人生

だから 今日が大事、今日が大切 

今日もいい日でありますように 【合掌】

 

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