一月二日 曇后晴、風、人、――お正月らしい場景となつた。
吉例によつて、
お屠蘇とお雑煮だけは缺かさない、
独り者にも春は来にけり、
さても結構なお正月で御座います、
午後になつて出かける、
まづ千体仏へ、老師はお年始まはりで不在、
つぎに茂森さん宅へ、こゝも廻礼でお留守、――
歩くのが嫌になつて、人間がうるさくなつて、
そのまゝ帰つて来た、
夕方、思ひがけなく元坊来訪、
今夜また馬酔木居で会合することを約束する、
何も御馳走するものがないから密
柑をあげる、
私はお雑煮やりそこなひの雑炊を食べて、
ぶら/\新市街の雑踏を歩いて、馬酔木さんを訪ねる、
いろ/\お正月の御馳走になる、
十分きこしめしたことはいふまでもない、
だいぶおそくなつてSの店に寄つた、
年賀状がきてはゐないかと思つて、――が、
それがいけなかつた、
彼女の御機嫌がよくないところへ、
私が酔つたまぎれに言はなくてもいゝ事を言つた、
とう/\喧嘩してしまつた、
お互に感情を害して別れる、
あゝ何といふ腐れ縁だらう!
暁、火事があつた、裏の窓からよく見えた、
私は善い意味での、我不関焉で、火事といふものを鑑賞した
(罹災者に対してはほんたうにすまないと思ひながらも)。
さきころまでは何を食べても――
水を飲んでさへも――塩つぽく感じたのに、
けふこのごろは、
何を食べても甘たらしく感じる、
何の病気だらうか、しかし近来の私は健康である、
今夜も馬酔木居で、
肥えたといはれたが、なるほど、私は肥えた、
手首を握つて見るに、今までにない大きさである。……
通信費が多いのには閉口する、
こゝへ移つてから、転居の通知やら、年始状やらで、
もう葉書を百五十枚ぐらいは買つたらう、
これではとてもやりきれない
(生活費の三割以上を占めるやうになる)、
早く三八九を出して、それを利用したい。
先祖代々菩提とぶらふ水仙の花
酔へばけふもあんたの事(緑平さんに)
・うまい手品も寒い寒い風
正月二日の金峰山も晴れてきた
お正月の熊本を見おろす
・もう死ぬる声の捨猫をさがす
自動車も輪飾かざつて走る
持てるものみんな持つて歩いてゐる(老遍路さん)
よい月の葉ぼたんのよさ
追加二句
・訪ねる人もゐない街のぬかるみ
闇をつらぬいて自動車自動車
(青空文庫作成ファイル)より
(続きます)
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今日も命を授けていただきありがとう (^-^)
二度とない人生
だから 今日が大事、今日が大切
今日もいい日でありますように 【合掌】
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