1913年(大正2年)32歳
椋鳥会『初凪』1月
「山頭火」たちのサークルで
自由律の編集・五句集の勉強会が始まったのです。
△華やかな春にあこがれていられる
石花菜君の若々しい感情を祝福する。
緑大野にそそり立つ樫樹のような
碧松君の堅実な歩調を尊敬する。
そして折からの凩に嚔をしたり苦笑したりする
破口栓君の心持に同情する。
私は三君とりどりの態度に動かされた。
私もまた私の一部を暴露したい。
荒んで石塊のように硬張った
私の感情を少しばかり披露したい。
あの大道芸人が
群衆の前にその醜い髯面をさらすように!
△私にも春があった。青い花を求め探した
黄ろい酒を飲み歩いた。
赤い燃ゆるような唇を吸った。
強烈なもの、斬新なもの
身も心も蕩けてしまうようなもの
熱愛する恋人を弄り殺して
剖き取った肉のようなものを貪ぼった――
実人生を芸術化しようとして悶え苦しんだ
悶え苦しんで何を得た?
あゝたゞアルコール中毒!
△自己批評は三人の私生児を生んだ。
自棄生活、隠遁生活、そして自己破壊。
私はそのいずれと結婚したか。……
深い穴がある。
冷たい風が吹く。
誰やら歩いてくる――
灰色の靄の奥から
トボ/\と歩いてくる。
誰だ!
シツカリしろ!
ビク/\するな
急げ、急げ
愚図々々せずに急いで来い!
危ない、気を付けろ!
穴がある
深い穴がある、暗い穴がある。
落ちるぞ、いつそ飛び込め!
――あ、彼は――私はヅドンと倒れた
「椋鳥会『初凪』」1913(大正2)年1月
(青空文庫作成ファイル)より
(続きます)
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今日も命を授けていただきありがとう (^-^)
二度とない人生
だから 今日が大事、今日が大切
今日もいい日でありますように 【合掌】
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