衆院選を総括する
メルマガを大分、ご無沙汰してしまった。ちょっと他の分野の書き物があったためで、今回の衆院選の分析をさせていただく。
自民党の圧勝に終わった今回の衆院選は、様々なものを再確認させてくれた。箇条書きにすると、
〇総選挙の大義名分は「アベノミクス解散」とか「消費増税の延期を問う」とか言っていたが、それらの理由は後付けである。
真の理由は「今、総選挙をやれば、野党の準備が整っていないので勝てる」からであった。結果はその通りとなり、「1強多弱」を示しただけでなく、「安倍1強・多弱」を示すものであった。
実際、解散について「大義名分がない」と批判した自民党税調会長・野田毅氏など、「反対するなら公認しない」と脅されていた。この脅しは小泉・郵政解散と一緒である。
小選挙区制は、政権交代可能な2代政党制をつくるとされているが、期待できる党がない場合、「1強・多弱」となる。
さらに公認権を持つ執行部に権力が独裁的に集中するという見本である。
〇民主党がダメだとして、次から次へと新党ができたが、どれもダメで、伸びた野党は共産党だけであった。
その理由は、中身はともかく候補者が代わっても主張がぶれない、よく調査しているという信頼感と、「ブラック企業批判」や「脱原発」、「消費増税反対」、「普天間基地撤去」など、庶民の不安や不満をそれなりに捉えていたからだろう。
この点、他の野党は、たとえば維新の党など、他のグループと離合集散を繰り返す度に重要政策が変わっていた。これでは信頼とは程遠い。
また、次世代の党は「自民党の右に柱を立てる」ことに傾き過ぎ、1面的な党となって広い大衆のニーズをすくうことができなかった。
ナショナリズムを柱にすることは重要だが、それには「グローバリズムの悪」を明らかにする必要がある。
1000万人を超えるワーキング・プア、300万人を超える失業者、広がる格差、若者が結婚できず少子化が解決しないというのは、すべてグローバリズの害が関与している。
その点で、ナショナリズムを訴えながら、TPPや戦略特区に賛成するという姿勢(安倍政権、維新の党も)は誤りなのである。
〇これまでの衆院選は任期4年の中で、平均3年ごとに解散総選挙を繰り返してきたが、今回の選挙により、「平均3年」の不文律は無くなった。
野党の準備ができていなければ、期間1年でも1年半でも解散するという、極めて独裁的な政権運営が跋扈することになる。
総選挙をやれば、1回700億円弱がかかるだけでなく、外交がストップする。
解散後、南アジアで国際会議があったが、日本の外務大臣は参加せず、中国が存在感を示すばかりであった。
また、中国は来年の「戦後70周年」に向けて、相変わらず日本の侵略や南京虐殺を批難する発言をしていたが、それに対しても、何も対応できていない。
2016年7月には参院選があるが、まことに国益を考えない「安倍1強・独裁選挙」が今後も行われる可能性があると指摘しておきたい。
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