ケーキが3等分出来ないとはどういう事か。娘と同じ小2からサインが増えてるかもしれない。 | 神戸の小さな本屋の奥さんの、お店とか家族とか子育てとか。

読んだら読んだでモヤモヤしても

考えられずにはいられない。

今日は真面目で、長ーいのですがブッコみます!

 

1年半前に私の気持ちを揺さぶった本の

2冊目が出たので読んでみました。

 


『どうしても頑張れない人たち

  ~ケーキの切れない非行少年たち2~』

宮口幸治 新潮新書 

 

1冊目の『ケーキの切れない非行少年たち』を読んだ時のブログがこちらです。

 

この時は結構さくっと書いてるのですが、

一昔前は知的障害の診断基準としてIQ85以下と定められていたのが、

後に、IQ70以下になってしまい、IQ70~84までの社会からこぼれ落ちてしまった

【境界認知】と呼ばれる子たちが、今どうなっているのか、というのがベースにあります。

 

でも、基準が変わったからと言って、現実は変わらない。

昔ならサポートを受けられていた子たちは、今は

誰にも気づかれずに、怠けている、努力が足りないと言われ、苦しい思いをし、

勉強についていけなくなり、非行に走り、犯罪に手を染め

捕まり、少年院でもまた彼らにはふさわしくない更生プログラムに苦しむ。

 

2冊目では、その頑張れない人たちをどう支えたらよいのか、

その人たちこそ支援が必要だ。という話でした。

 

☆いろんなサインが出始めるらしい小2、

               娘も今小2。☆

 

1冊目を読んだ時は、上の子は未就学でした。

なので、私の気持ちとしては、知的障害の叔母の事を思いながら

読み進めていたように思います。

 

ですが、今はその子も小学2年生。

コロナ禍もあったからでしょうが、娘の学年は荒れているように感じます。

 

特に1年生は大変で、

基本的なことが出来ない子が多すぎてびっくりしました。

挨拶できない、返事が出来ない、チャイムがなってももどらない

必要以上に大きな声で叫ぶ、いじわるがしつこい・・・

 

あげればキリがなく、この年はかなり問題も起き、疲れました。

 

この本を読むまでは、結局は、親のしつけの問題だと思っていました。

いや、今でもそれは思ってますが、

もしかしたら、何人かはこの本に書かれてるように

頑張りたくても頑張れない子がいるのでは??

とも、考えたりしました。

 

そして、親もまた本当はサポートが必要なんじゃないかと。


 

この本の結構序盤に

「本当に支援が必要な子は、

病院にすらこれない」とあり、

ぐはっ、と心臓を捕まれました。

 

やはり、そこに気が付いてくれる人がいる環境に

子どもがいるのかどうか。

本当に本当に大切。

 

集中できない、座っていられない、

話を聞けない、噓をつく、友達に手をあげる、

漢字が苦手、計算が苦手 etc・・・

 

一見、「まだ小さいから」「これから徐々に出来るようになる」

と、甘く見落としがちな小さなサインは

小2くらいから出る事が多いそうです。

 

それは非行少年たちの特徴にも多いそうです。

 

大切なのは、だからといって、そうだ、と言ってるわけではなくて

「おや?」と思ったとき、何かあったときに、

「もしかして?」と少しでも思うか、ほっておくかで

天と地ほどの差があるという事です。

 

勉強が苦手だから、無理にしなくてもいい

という考えも多いかと思います。

でも苦手だからって頑張らなくてもよいと親が勝手に決てもいいのか

結局、将来困るのは子供。

という内容にもひどく共感しました。

 

無理をさせないのと、頑張らせないのは違うと。

 

私は勉強が嫌いだったからこそ本当にそう思います。

 

☆みんなと同じになりたい子たち☆

 

もう一つ、強く心惹かれたのは、

「みんなと同じでなくてもいいんだよ」と、言われる子たちは

本当は「みんなと同じになりたい」と思ってる子たちが多いという事です。

 

得意=好き とは限らないし、

苦手=嫌い でもないかもしれない。

(目から鱗・・・・)

 

勉強・スポーツ・人付き合い、

なんでも、「出来ないならしなくてもよい」と子供が思ってしまうのは

すごく怖い事のような気がします。

 

例えば…

週に一回忘れものをする  ➡  週四回はできてるじゃん!

テストが30点だった ➡ 30点もとれたじゃん!

 

これらは一見すごくポジティブだけれど、

これを続けていたら、この子達の実力は変わらないというのです。

現実としては忘れてるんだし、良い点なわけでもないから。

 

こういった事が起こっているときに、

何をポイントに子どもを見て、

親としては何が出来るのかを考えてあげたり

寄り添ってあげなくてはいけないのではないのかな。

と思います。

 

もちろん子供達も誰でも大人のいう事を聞くわけじゃありません。

親でも、先生でも、やっぱり、好きな人にはいいとこ見せたいし

好かれたし、嫌いな人のいう事は聞きたくない。

それは私もそう(笑)

 

そこには人と人との基本的な関係がすごく大事で、

大人の方も、ちゃんと名前を呼んで

子どもの話を最後まで聞いて、その子の行った事

やった事をきちんと覚えておくという事です。

 

大人になると、どうしても偉そうになりがち・・・

反省です。

 

☆対人スキルはトレーニングができる☆

 

知的障害がある人たちは、失敗経験が多くなりがちで、

それを繰り返すことによって成功への期待感が低くなり

上手くいかせようという工夫をしなくなる事が多いようです。

 

物事を見たり聞いたり想像する認知機能が弱いと書かれており、

(これを表してるのが本の表紙の

いびつな3等分5等分のケーキの絵です)

それは、先を見通す力が弱いという事なので

相手が嫌がることをしてしまったり、KYな行動に出たりするそうです。

 

認知機能以外にも感情のコントロールなど様々な

専門的なトレーニングが必要なことも多いですが、

対人マナーは練習で身につくと、書いてありました。

 

挨拶、謝罪、うまい断り方(私も知りたい!)

視線の向き、声の大きさ、などなど。

 

そうして、人に親切にするという事が出来るようになれば

他者から評価されて、

よい人間関係が築けます。

そうすれば、自己評価もあがり、やる気も起きます。

当たり前と言えば当たり前だけど、

専門的なことに気を取られ、案外見落としがちなのではないかなと思いました。

 

☆大人の私たちに出来る事☆

 

結構書いてますが、2冊の内容はもっともっと

盛りだくさんで、現代社会に物凄く必要な大切なことが

いっぱい書いてあるので、是非読んでいただきたいです。

 

実際できるトレーニングも載っています。

 

知的障害に関しては叔母の事でさんざんいろんな思いをしてきて、

「やりたくてもできない」というのは痛いほど見てきました。

 

でも人を傷つけていい理由にはならないし、

自分さえ良ければいいなんてアカン!って

ずっと伝え続けてきました。

今も伝え続けてます。

 

我が子が、という経験はないにしろ、

「先生が言ってること、よくわからん」と思ってる子には、

分かるように言い方変えてあげてほしいし、

「勉強おもんない、難しい」と言ってる子達には

そうじゃないよって知ってほしいし。

 

単純な大雑把なパーセンテージですが、

1クラス35人中5人は、もしかしたら

気づかれずにギリギリで埋もれていくかもしれないと。

 

でもギリギリなら、友達や家族との関りで、

かなり良くなるかもしれない。

 

本文中に、

何かを頑張りたいという【自己実現欲求】というのは、

生理的欲求 ・ 安全の欲求、

社会的欲求/所属と愛の欲求 ・ 承認の欲求

の4つが土台にあると書かれてました。

 

もし虐待なんてされてたら、どれも満たされてないかもしれないと。

 

1冊目を読んだ時よりも、

はるかに深く考えてしまいました。

 

それは環境が変わったから。

 

大人として、社会人として、親として

被害者が被害者を産まないように

何ができるのかと、、、

 

くーーーー無力・・・。

 

でも、このモヤモヤも

きっと私の力になる!

 

毎度長くて、まとまり悪いのにお読みくださりありがとうございます!