電車でプロレススーパースター列伝を読みふける女 | C.I.L.

電車でプロレススーパースター列伝を読みふける女

いやまあコイツのこと なんだけど。

板橋から電車に揺られて通勤しているため、その通勤時間というのが大事な読書タイムらしいんだが、最近は家にある自分で買った本を読み尽くしてしまったようで、オレの本を持ち出すようになっていた。

しかしオレが持っている本は小説だろうと何だろうと殆どが歴史に関する内容で、あまり女性が読んで楽しいと思える代物ではない。

従って必然的にマンガ本へ食指が動くのだが、マンガにしたってオレが大事に持っている物はどれもコア過ぎたりヒネくれていたりするため、あまり一般ウケするような内容ではない。

そんな中でヤツが選び出して読破したマンガというのが、まず アグネス仮面 である。これがどんな本かというと、昭和プロレスファンが読んでニヤニヤする内容であり、プロレスにそれほど詳しくない女性が読んで楽しいと思えるのかどうか激しく微妙。

しかしヤツはそれなりに面白かったらしく、アグネス仮面がキッカケで猪木に興味を持ったらしい。アグネス仮面に出てくるのはあくまでマーベラス虎嶋であって、アントニオ猪木ではないのだが、ヤツからするとそんな細かいことはどうでもいいらしく、アグネス仮面に出てきた話を持ち出して 「猪木ってとんでもないね」 などと話しかけてくるから恐ろしい。さすが鬼平犯科張を読んで江戸時代を勉強した気になる単細胞女である。

しかしそれでもプヲタが持つ猪木への印象とそれほど大差ないから恐ろしい。(アグネス仮面って妙に史実に忠実だよね)


そんなヤツがアグネス仮面に続いて手を出したのが、なんとかの プロレススーパースター列伝 である。

アグネス仮面を読破した後に 「ねえ、次は何を読んだらいいと思う?」 と聞かれ、オレはあくまで子供をからかって遊ぶ親のような気持ちで 「だったらスーパースター列伝読むしかねえだろ!」 と煽ったんだが、そしたら本当に通勤電車の中で一生懸命読み出しちゃったからさあ大変。

何でも近くのサラリーマンなんかに本と顔を交互にちらちら見られたり、「え?」 と二度見されたりするらしい。うん、オレもそんな光景を目撃したら確実に二度見すると思う。


さて、そんな世間の目にも負けずコツコツ読み進めている彼女様だが、さすが梶原一騎と言うべきなのか、要所要所で熱い展開があるらしく、その度にオレに対してメールでリアルタイムに感想を伝えてくるのである。

<例>
「カールゴッチいいひと!」
「ブッチャーすごいかわいそう」
「ブッチャーがシークって人にいじめられてるの…」


しかもヤツは意外なことに極端に涙腺がゆるく、TVドラマや映画を見て泣けるタイプの人種である。もっと鋼鉄の女かと思ったら、ちょっと感動的な話や可哀想な話でウルウルしてしまうのだ。

そんな意外と涙もろい彼女様が送ってきたメールがこれ。

「ファンクス…電車でちょっと泣いた…」

なんでもドリーファンクシニアとザ・ファンクスの物語にヤラれてしまったらしい。

他にも突然 「ハンセンて左利き?それとも右?」 という、何が目的なのか、何を聞きたいのかさっぱり理解できない謎の怪文書が届いたりする。(なんでもラリアットを打つ方の腕がどっちかわからなくなって、電車の中でモヤモヤしたらしい)

ちなみに一番新しいのは 「ビバ!マスカラス!ビバ!エルサント!ルチャかっこいいよ、メキシコ覆面かっこいい」 なんだが、いまどきエルサントに夢中になる女ってレアというより異常だろ。


コレってアレだよな。プロレスに詳しくないから逆に話を信じ込んじゃって、梶原節にコロリとやられちゃうっていう典型的なパターンに陥ってるよな。当時サンデーを読んでたチビッコと同じ道を "なぜか今になって歩んでいる" わけだ。

ってことは、そろそろ "虎の穴は本当にあった!" とかいう話が出てくるのか?あとはゴッチがハワイでゴミ収集の仕事してて 「パパイヤは高いからオレンジにしとくか」 とスーパーで呟いたりする話とか。

で、そういう面白話が飛び出す度にオレがあれこれ聞かれるの?

「猪木とタイガーマスクとカブキは空手の達人で同じくらい強いんでしょ?K-1に出たら勝てる?」 とか言われちゃうの?

うわ……。

今からどう説明したもんか先が思いやられる……。