絶交した友達シリーズ:デザイナーもしくはクリエイターとして独り立ちするには? | ナンパ奮闘記

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どーも、オハラです。

僕の昔の友人にグラフィックデザイナーとして独立した人間がいます。まあ、彼とは結果的には縁を切ってしまいましたが。

仮に彼をHと呼称します。Hとは中学くらいからの友達で良くお互いに漫画を書いてみせ合うような仲でした。お笑い好きで面白い話やネタを提供してくれる彼でしたが、大学生後半くらいから彼の人格が変わり始めます。

そ れまで通じていた冗談が通じなくなり、やたら夢や目標という話をし始めます。今考えるといわゆる意識高い系という人種でした。なんかやたらと寝不足の日々 が続いていたり、忙しいのかと思って彼がこれ見よがしに取り出すビジネス手帳を覗いてみても実は結構予定がスカスカだったり。その 割に「金曜日飲みにいこうぜ」と誘ってもまずは手帳を取り出して「その日あいてっかな?」というのがお決まりのやり取りに。今週の金曜の予定ぐらい手帳を 見なくてもだいたい把握してるだろ?と突っ込みたくなった。実際にその手帳を見てみるとびっくりするくらい予定はすかすかなのだ。

とにか く寝ていないというのと忙しいアピールが強く、やたら夢を語りたがるようになっていった。「3年後の自分」をやたらとアピールしてきて、3年後にデザイン の会社で修行を積んでその後の3年間はweb系の会社に行きたい、そしてその後は20代の内に独立を目指したいと言っていた。「すごいなー、自分の将来を よく考えてるね」と僕が褒めると「そう言うお前はどうなんだ?」と必ず聞いて来た。僕は特に将来をそこまで細かく考えておらず、「うーん、そこまで具体的 には…」と言うと「お前そんなんでいいのか?」と説教が始まる。俺はこんなに将来を考えているんだぜ、甘えた態度じゃ将来泣きを見るぜというのが彼のいつ もの説教文句で、今考えると楽しくお酒を飲んでいるときにかなりうざい男だ。

まあ縁を切ったのはこの説教癖がエスカレートしたからなのである。上述したような内容を社会人にもなってもいつまで言っているもんだから僕も愛想が尽きた。

結 局彼はDTP系の会社を3年、その後でデザインブランディングを手がける会社に就職し、そこで彼の方向性を決めたようだった。彼の仕事は例えばクライアントが今 度歯医者を開業する場合にロゴ、看板、院内のポスターや診察カードのデザインなどをトータルデザインするという業務だ。ずいぶんこの会社でしごかれたようで デザインのダメだしなどを食らっては辟易していたようだった。結局この会社は1年たらずで退職したようだ。原因はまあ仕事がきつかったんだと思う。

ブランディングのノウハウを身につけた彼はその後、デザイナーとして独立をする。現在では自分で顧客を手に入れて歯医者やレストランなどのブランディングを手がけているようだ。デザイナーとして立派に独立した彼は素直に自分の夢を叶えたすごい人だと思う。

彼 が夢を成功させた一番の理由は友達も何もかもを犠牲に突っ走ったからだと思う。もちろん代償はでかい、昔から一緒に旅行にいっていたほどの友達を僕をを含め少なくとも2人失ったのだ。旧友に嫌われようが何を言われようが彼は夢を叶える為に突っ走った。それから勇気が大事である。こんな衝突を平気でするようなH だから顧客をどうやって獲得したのか謎だが、彼はとにもかくにも雇われる身から独立の道を選んだ。安定してお金がもらえる道から勇気を出して飛び出 し、全責任が自分にぶつかって来るそんないばらの道を選んだ。自分のデザインが使われなかったらどうしようとかお客さんが全然みつからなかったらどうしよ うとか、そんな心配も払拭し彼は独立した。立派だと思う。

但し、僕はHに何かの時にデザインを依頼するかというと絶対に頼まない。それは 僕が彼というキャラを知っているから。彼を頼って依頼して来る歯医者さんとかにはHは外面良く対応しているのかもしれない。でも、僕の友人が昔彼にデザインを頼んでろくな事が無かったのである。

それはまだ仲が良かった頃、Hは当時DTPの会社に勤めていた時のこと、とある友人はHにウェ ブサイト制作を依頼したのだがやっぱり一悶着あった。Hはデザイナーのくせに指図されるのが嫌いで、つまりデザイナーなのに修正やデザイン案を 再考することを拒むのである。こっちはクライアントで友人だからといってボランティアでやってもらうわけじゃなくちゃんと大金を払うつもりでいるのだ。 「うーん、もう少し、個性的なデザインでもいいんじゃないかな?」なんていう意見にも彼はムッとした表情を見せた。「個性的なデザインでもいいんじゃない かな?」というのは言い換えれば「もっとお前らしさを出して良いんだぞ」というデザイナーにしてみたらうれしい助言なのである。なのにHはこれに激高し 「てめえにデザインの何がわかるんだよ?」みたいな暴言を吐いたのだ。何度も言うがこっちはクライアントで数十万近く払う予定である。そのお客さんにこの 暴言だ。デザインのことはわからない、わからないからプロを自称するHに頼んでいるのである。

もう1つ昔一緒に旅行にいっていた仲間 の一人が結婚するというので、Hはその結婚式二次会のDMやらポスターやら、さらには企画、プランニングまで引き受けたのだ。どうやら以前に大学OBの結 婚二次会などのプランニングをやった事があるというので、トータルプロデュースという形でHに依頼したようだ。色んな内情を知っている僕は新郎にはとても 気の毒だと思った。絶対に何か騒動があると思ったのだ。

Hはまず形式美から入るタイプで、「結婚披露宴二次会の企画書」なるものを8枚綴 りのPDFで用意した。デザイナーらしく8枚全てが同じフォーマットで描かれていていかにも彼らしいレイアウトだった。今回結婚する花嫁さんがス ペインのワイン輸入会社に勤めていた関係でスペインをとにかく推しまくりの企画だった。「スペイン=情熱の国」という短絡的なアイデアから「情熱の交流」 をテーマにした内容だった。

もし親愛なる読者の皆様の中にデザイナーを目指している人がいたら佐藤可士和さんをご存知だと思う。佐藤さん もプレゼンの時にやるのだが簡単な図で「今回のブランドコンセプト→今までの伝統を踏まえつつそれでも欧米風にアレンジ→和の中にも少しアールヌーボの風 をふかせる」みたいな図式で説明することがあるのだが、彼もこの真似が大好きで「スペイン→情熱→会場の躍動感→出会いのきっかけもいれつつ→情熱の交 流」というような図式を用意していた。正直なんのことかよくわからない、すごいよマサルさんのフリップ芸みたいなシュールさで、打ち合わせのときに誰もが 首を傾げていた。

当日までのスケジュールとしてそれはそれは細かく進行表を図で書いてあった。4月末までにはDMを完成させ印刷を頼む、 1週間以内に企画の最終決定、5月中頃必要な物を買い出し、会場の手配などなどが本当に細かく書かれてあった。僕はスケジュールが得意じゃないからこうい う人がすごいと思う。こんなに事細かに進むのだろうか?まあ実際は全然予定通りに行ってなかったらしいが。

その二次会企画の肝心な内容だが、ビンゴ大会や新郎新婦のなれそめクイズとかの無難なものではなくHはオリジナルな企画を考えて来た。それが「闘牛士ゲーム」である。

こ のゲームが実質この二次会の目玉のようにHは考えていたのだが、内容は以下の通りである。会場のテーブルを全て脇に追いやるそして全部で50人近くいる来 場者を男女にまず分けてお互いに列をなし壁を背に向かい合う。来場者は入り口でチェキをあらかじめ撮影するのだが、男性は女性のチェキをランダムに手渡さ れる。合図とともに闘牛と化した女子達が「ンモーー!」と言いながら突進してくるのをマタドールのように男がかわしつつもそのチェキに映っている女性を探 し出し、その女性の後ろに回り込んで肩を三回叩く。「あなたは○○さんですか?」と男性がチェキに書いてある名前を呼び、あっていたらスペイン語のYes である「Si」と言い、間違っていたら「No」と言う。これだけである。

このゲームの何がおもしろいのか?打ち合わせでは誰もが理解でき ていなかった。さらにこんなルールですら難解なゲームの尺がたった20分なのである。まず男女に分けることですら大変なのに、それでいてさらにルールを説 明してもみんな「?」となってあたふたし「スタート」とかけ声をしても女子達は恥ずかしくて「ンモーー!」なんて言って突進しないだろう。つまりどの角度 から考えてもゲームが成立しないのだ。ちなみにこの「あなたは○○さんですか?」で正解したペアには赤いフェイスタオルをプレゼントらしいが、正直いらな い。

こんな企画を提出したら普通は「君、ふざけてるの?」とクライアントにブチ切れされて終わりだが、僕たちはHの性格を知っている。 「いやーこの企画は無理だろう?」なんて真っ向否定したら逆切れするに決まっているんだ。彼はそういう男なのである。やんわりと「うーん、時間が足りない んじゃないかな?無難になれ初めクイズでいいんじゃないかな?」となだめた。

Hは少し残念そうだったが渋々この闘牛士ゲームをあきらめ、 なれ初めクイズにシフトした。この企画書の最終ページには請求金額と内訳がきっちり書いてあった。てっきり古い友人の結婚式だから必要経費だけを請求して後 は俺に任せろみたいにカッコいい事を言うのかと思いきやちゃっかり金を取るつもりだ。色々と疑わしい請求がたくさんあった。例えば、DMの印刷代が50部 で合計21,000円なのだ。プリントパックとか激安印刷があるこの時代に吹っかけ過ぎだと思った。女性用にバラのヘアクリップを使用するが、これがなん と1個400円、高すぎる。会場で流すBGMのitunes storeの購入費が6,000円、これは一曲ずつダウンロードすればいいのでは?

そ して最後にイベントプランニング料が188,000円。全部を合計すると約330,000円になる。ここが問題なのだが、このイベントプランニング料が本来なら18万近くするのだが当 てつけがましく「138,000円友達お値引き」と書いてあるつまり「188,000 - 138,000 = 50,000円」これによりその他諸々含め合計請求額は約190,000円になる。本来友達じゃなかったら合計33万円請求されていたのだ。

上述した実現不 可能な闘牛士ゲームうんぬんの企画料がここに含まれている。あの企画にプランニング料(もろもろ進行管理費など込み)18万円とは…。実際、闘牛士ゲーム はやらないことになり、なれ初めクイズに変わった。つまりHの企画は全く採用されていないのである。これは企画料を請求してはいけないのではないだろう か?

ここはもう美学の違いである。例えば、僕が何か友人の為にデザインを作る場合、普通の依頼ならそれなりにお金を取るかもしれないが結婚式とかの 祝いの時にはお金は請求しない。実質この結婚式で僕は新郎の為に今まで撮った写真や動画を繋ぎ合わせて簡単な動画を作って二次会で放映した。これはもちろ ん一銭も請求していない。しかしHにとってみると「俺はプロだ。仕事もしている。そんな貴重な俺の時間を割いてデザインを作るんだから、当然金を請求す る。もちろんプロとして責任のある仕事をする」というのが彼のポリシーだ。でも出して来た企画が闘牛士ゲーム…。

さらに驚く事に闘牛士 ゲームが採用されなかったのが気に入らなかったのか、なれ初めクイズで使うスライドショー(Power Pointで作るもの凄く簡易なもの)は別料金だと言い始めた。自分はプロで時間が貴重だから本来自分の企画するものじゃなければタダじゃやらないという のだ。どこまでもがめついやつ。

仕方がないから、この別料金を新郎は払ったという。いくらかわからないが推測で5万くらいか?そして結婚 式当日、実際このスライドショーを見たが、真っ白の何も飾りの無い背景に「問題1 新郎新婦が初めて行った旅行はどこでしょう?」と文字があり、その下に写 真入りで「Aスペイン Bハワイ Cイギリス」みたいに選択肢が並んでいるだけ。ただこれだけである。正直これくらいならちょっとPowerPointを いじれる人ならタダでできてしまうレベルだ。それだけでもどうかと思ったが、さらに驚愕したのは当日そのスライドショーをノートパソコンでHは操作してプロ ジェクターに映してページ切り替えを担当していたのだが操作を誤りまくっているのである。

司会が「第一問、新郎と新婦が…」と読み上げていると次の答えのスライド に勝手に移行してしまい「答えA」と問題を読み上げているときに答えが出てしまうのである。それを見た来場者は「ハイA,A,A!!」とプラカードをあげ る。Hは「あら?あら?」とイソイソとスライドを元に戻したりするが時既に遅しだった。問題の半分が彼の操作ミスで台無しになった。司会の人が不憫でなら なかった。

「俺はプロだ」と言いはって別料金まで請求しているのにこんな大失態である。正直これはお金を返すべきだったと思う、実際に企 画は台無しだったのだ。プロと言いながら彼はどこか友人の頼みということに都合のいいところだけ甘んじている。プロだと言い張るなら「ごめん、俺の操作ミ スで企画が台無しになってしまった。お代は受け取れない」くらい言うべきである。その上で依頼主が「いや、いいよ。よくやってくれたよ」と言ってお金を払 うのが奇麗なやり方だと思う。本来ならクライアントが怒って「おい、しっかりやれよ。こっちはお金だしてるんだからさ」となるのに、友達だから何も言わな いだろうということで「いやー、はは…」と頭をぽりぽりとかいて済ませているところに何か苛立ちを覚える。

細かいところまで言えばもっと たくさんあるが、ざっとこんな感じだった。この結婚式のプロデュースの様子は後に何かのデザイナー特集の雑誌に少し掲載されていた。「H氏が友人の為に手 がけた結婚式二次会は情熱の交流をテーマに大盛況に終わった」みたいに紹介されていた。でもこの内情を知っている人間からすれば大盛況だったのかは疑問で ある。

成功している人間の裏側には大抵こういう事がつきものだ。今はとくにネットで自分をアイドルに見せる傾向があるからキメ顔で撮影された自分の仕事をしているかっこいい姿をアップし「成功者」として見せる事に必死である。

良い部分しか見せていないネットのクリエイター達、その裏には一体何があるのか?皆さんも注意深く見てみるとその人物の色んな側面が見えて来るかもしれない。

そ して自分の夢を成就させたかったらとにかく突っ走る事だ。周りに何を言われても良い、友達に嫌われても良い、俺は俺のやりたいことをとにかくやり 遂げる。これくらいの気負いが無いと達成は難しい。円満に友達も大事、みんな仲良くなんてやっているとたちまちあなたの成功は遠のき、誰かがあなたの功績 を横から奪って行くかもしれない。

オハラ