『汝が子宮』

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初めて観ました、フィリピン映画。ブリランテ・メンドーサという監督の作品です。

 

舞台はフィリピン最南端のイスラム地区。スールー諸島タウィタウィ州という、なんとものんびりした名前の島。

 

ここでは海の上に家を建て、漁に出るのも買物に行くのもモスクに行くのも、移動はすべて自家用ボート。床板の隙間から、水面のゆらめきが垣間見えるような家に住み、子どもたちは四六時中、海にダイブして遊んでいる。

 

主人公の夫妻は、漁師のバガスアンと、助産婦のシャレハ。置かれた場所でひたむきに生きるようすが、淡々と活写されていきます。

 

シャレハは子どもができないことを悩んでおり、夫に第2夫人を見つけようと奔走。苦労の末候補の娘が見つかり、お見合いに行くのですが、、、 

 

信仰が篤い土地では、あいさつや会話、動作、服装、ものごとの進み方が、ものすごく形式に則っていたのがおもしろかった。公の場で個性が入る余地がないぶん、プライベートな空間では形式を脱ぎ捨てて、ただのひとりの人間になる。そのとき不意にでてくる本来の姿にキュンとしてしまう。

 

シャレハは敬虔なムスリムだから、子どもが授からないことも「アラーの思し召し」として受け入れてもよさそうなのに、そこだけは運命に抵抗しようとします。


そして第2夫人候補の娘が、結婚の条件として出した提案が、欲を出した罰のようにシャレハの身にふりかかる。


今まで一生懸命生きてきたシャレハがたった一つ人生で欲しいものなんだから、それぐらい叶えてあげてもいいじゃん!と人間の私は思うんだけど、、、

 

この島に生まれたという静かな哀感とあきらめが、海で暮らす生活の音と一緒になって、のんびり流れていく。


こういう映画、すごく好きです。

 

 

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