岩井志麻子先生の短編集。

明治の岡山モノはお家芸の志麻子先生。今回描くのは、小市民の日常。ホラーというよりも、ふつうの人たちが嫉妬や欲望に入り込まれる、ふっと魔がさす瞬間を捉えたような感じの5つの短編。

『ぼっけぇ、きょうてぇ』なんかだと、もう完全にありえないホラーフィクションとして読めるけど、ここに出てくる小市民たちの心の動きは、明治でも岡山でもない自分にも、どこか当てはまるところがあって、なんかヤダ(笑)。

志麻子先生は、「日本というのは二つの地域に分けることができる。岡山とそれ以外」とおっしゃっていたが、もはや世界というのは岡山の中にあるのかもしれないと思ったことでした。




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