先月のことですが、高雄市立美術館に行ったときの備忘録。

高雄市立美術館は、無料で、内容が豊富で、なのになぜか人があまりいなくて、たいへんよい。

市立だからでしょうか、あまり商売っけがなく、広い敷地内にカフェやレストランといったものはありません。なので、途中おなかが空いて最寄りのセブンイレブンまで五分くらい炎天下を歩いた。

という不便さはあれど、よかった。


南方、という展示。

概要を簡単に翻訳してみます。

長い間、台湾で「南方」という言葉には、地理的な意味だけでなく、政治的にも経済的にも国際的にも、遅れたり取り残されたり、あるいは発展の犠牲を押しつけられてきた地域、という含みがありました。

多くの意味で、言うなればマイノリティとしての立場を受け入れざるを得なかった「南部」が、アートなどのいろんな手段でこの現実に立ち向かう、そんな内容です。

写真撮影、ネット投稿OK(フラッシュはNG)とのことでしたので、気になったものを載せておきます。


工場から流れてくる重金属や、化学物質のため、ドドメ色に染まってしまった、南部の水田の写真とか。


地球温暖化による水位の上昇なんて、テレビの向こうのどこかの話、ではない現実とか。


観光で来ても、いやたぶん住んでいても多くの人は目にすることもない、でもこれも紛れもなく台湾。


そして台湾の、廃墟になった公共施設をテーマにした写真の展示。

政治のミスリードは腐敗よりもばかばかしい、という現状を浮き彫りにします。

台東県長濱郷にある、樟原小学校の南渓分校。


1977年竣工。荒れ放題。

こちらは花蓮県にある、台湾原住民族文化館。なんと2008年に作ったばかりなのに、2014年の時点ですでに廃墟。


作ってから考えよう!というのが台湾らしいといえばらしいが、、、

この写真展は、使われなくなった公共施設にいくら税金が投入されたのかを明記しているのがポイント。この文化館だけで約一億四千万元という税金が使われているのです。大変なことです。

ほかにも絵画や映像作品など多数あって、ほんとは一日かけてぜんぶくまなく観たかった~。

全四階建て(+地下一階)のこの巨大な美術館、これ全部無料なんて!!高雄市政府は文化にすごく予算を使っていてすばらしいと思う(笑)

また絶対行きたい。