平野啓一郎さんの、実験的な短編集に入ってる作品。

私は不勉強でぜんぜん知らなかったんですが、アフリカ・シエラレオネの内戦(1991~2002)で、反政府勢力が無差別に人々の手足を切断する、という事件があったそうです。怖。

その被害者の、つかの間の生を描く短編。

なんでしょうね、そんなひどいことされたら、相手に対する恨みや悲しみもいかばかりか、、、と思いきや、生きるのに必死で、そんなもんが入る余地がないくらい、野生の動物みたいに、今をとても生きている、という感じがした。

ある日、マンゴーでも食べようと林に出かけたら、義足が地面にささったまま抜けなくなって、何となくおかしくて笑っちゃうところなんか、よかった。

結局そのまま死ぬんだけど、幸せとか不幸とかと関係ない感じが清々しい。

ただ生を生き、死を死ぬ、そういうふうにできたら、めっちゃいいだろうなー。