何の受け身も回避策も用意せずに恋の坂を転がっていく男女を見て、いつから恥ずかしいと思うようになったのか。

恋人同士のザ・素敵な会話が繰り広げられるたび、ウワーこんなセリフ言っちゃったよー!!と体中をみみずが高速でのたくるようなこっぱずかしさで、本を閉じて窓から投げ捨てたい衝動に駆られたのでビックリした。これは、恋の嵐が過ぎ去って冷静になり、数々の愚行を思い出すときの恥ずかしさに似ている。

若い頃は、山田詠美さんの小説にでてくるそんな男女の話を読むたびにカーッいいねぇ!と、まるで渦中の人のような視点で思ったもんだったのに。視点も歳をとるのでしょうか。

が、しかし!最後にレストランを出て、女の家に向かう、親子ほども歳の離れたカップルが、腕をくみ、街を歩いていくシーン、いいなと思えてホッとした。歳はとったけれど、街で素敵なカップルを見たときに素直に素敵だな~と思える自分でありたいものです。