古典作品は、人生の節々で読むたびに感想が違っておもしろい。それまでの人生経験が気づかずに更新されていたりするのを鏡のように映し出す。

はじめて読んだのは、10代の終わりだったと思うけど、そのとき主人公のムルソーには、「世の中には、他人の立場にたって考えるという想像力が圧倒的に抜け落ちてる人がいるんだ、怖いなーこんな人間はムリだなー」ぐらいしか思わなかったのに、大人になって読んだら、「でもムルソーって嘘はついてないんだよな、ある意味ストイックで高潔だよな、大人になったらそれをやるのがどんだけ難しいか…」と若干共感してしまい、最後にムルソーが神父に食ってかかるところなんか、「行け!がんばれ!」などと応援していた私。どうなん? いいと思う。




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●隠居生活の本出てます