私は食べ物に関しては非常に保守的だと思います。
これ一本で、レモン20個分のビタミンC!とか、外国で工業的に大量生産したから安い!とかいう宣伝文句に、ぜんぜん食指が動かない。
人間は、年齢や歯の形に応じて食べ物を食べればよいとか、住んでる土地でとれるものを食べていればよいとか、すんごくフツーのことしか書いてないんですけど、そのフツーさゆえにホッとする本です。フツーでいいんだ…、という静かな感動に、隠居は弱いのです。
この本の中に出てくる「人間は~」、というフレーズの多くは、そのまま「生き物は~」、とも置き換えられる気がします。人間だけで考えるのでなくて、自然界の一部としてとらえているところが、またなんともホッとします。
ところで私の毎日の食事メニューは、だいたいご飯と味噌汁とたくあんなのですが、この本によると刑務所の中で供されるものと同じだそうです。ホッとしません。
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