瀬戸内寂聴先生が、「小説家の日記なんて嘘ばっかりよ!」と気炎を吐いておられたので、だまされてたまるかと構えながら読みました。


「7月某日。今日は銀行に行きました」

行ってねーだろ!

「電車に乗りました」

乗ってねーだろ!


すぐに疲れたので、あっさりだまされることにして、フツーに読んだらおもしろかった。


そうか、うそ話を読むということは、その作家にだまされる快感を味わうということなのかもしれない、と思いました。


私は、もっともっと、いろんな人に、いろんなふうにだまされたい。信じなくちゃあもったいない。これだから読書ってやめられないんですよね。


●川上弘美先生の東京日記