申し訳ございません。


と、最初に謝ってハードルを下げておきたい気にさせる人、それが太宰です。ほら、今私が「太宰」って言っただけで熱烈なファンがもう臨戦態勢入ったよ。太宰を語るのは俺だ私だ、と。隠居はひっこんでろ、と。私は太宰ファンの方々の、独特の暗い熱量の高さが、なんとなく怖いのです。いや、会ったことないんで、ただのイメージですけど…。太宰のことなんて書いたらたちまちブログが入水、じゃなくて炎上するんじゃないかっていうぐらいビクビクしています。あそこまで誰かを、暗く好きにさせるというのは、一体太宰治ってどういう人なのでしょう。


お笑い芸人の又吉直樹さんがTBSのラジオシアターという番組で、太宰の『恥』という短編について暗く熱弁しているのを聴いて、それがなんかすんごい楽しそうだったから、その短編ならたしか『女生徒』という文庫本に入っていたはず…、と本棚から引っ張り出してきて、再読したのです。


たしかに、主人公の女の子が妄想大暴走して、戸田という作家を救えるのは私よ!という勝手な使命感に燃えて会いに行くと決意するあたり、「神かお前は」と突っ込んだり、「行ったらあかんって!」とは思いながらもはよ行けや、ププ。とかありますけど、これそんな笑えます?いや、おもしろいんですけど、そんな笑えます?いや、又吉さん、絶対吹き出して笑ってるんだろうな~。


いいえ、私は激しく嫉妬しているのです。これを読んで、本気で笑える又吉さんの感性に。劣等感を感じるのです、これをわりとさらっと読んじゃって、ラジオで語るぐらいの熱量が湧かない自分に。


でも、この劣等感に打ちのめされる麻薬のような快感がたまらないんですよね~。又吉さんや他の読書家のみなさんに、私はもっと劣等感を味わわされたいのです!


どこかおかしいんでしょうか私は…。

 

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