空に浮かび、壊れ始めた国を見る
自分の大切な人達が大地の亀裂に
大きな稲妻のような炎に巻かれる国とともに
亀裂と炎に巻かれていく
助けに行きたくてももう遅い・・・
こんなことになるなんて・・・
私はこの国の戦士
この国を守るために
この国を大きくするために
科学者でありながら戦士として戦った
私は戦士、私は戦士・・・
この国を守るために・・・
この国を大きくするために戦った・・・
その言葉が頭の中で繰り返される
この悲しく無残な情景を前にして
何度も何度も何度も繰り返される。
そして、その情景を見ながら
自然に右手が動いていた
左腕に自分の剣の刃を当てていた
戦いに剣は使わない
もっと科学的な高度なものを使う
それが私たちの戦い方
剣は、戦うために持っているんじゃない
武器としてではなく
戦士としての誇りを剣で表すために持っていた。
その剣を自らの腕に当てた
腕から血が流れる
その刃の冷たさ、痛みで
理性を保ているように思えた
そして、
この国が、大地に飲み込まれようとするその瞬間
私は、その剣を大きく振り下ろしていた
初めて剣として剣を使う
力任せに振り下ろした手は
何かにぶつかったように鈍い痛みを感じた
そして、振り下ろした先からは
勢いよく血は流れだし、左手はなくなった。
そして、右の翼も切り落とした。
そうせずにいられなかった・・・
大切な人を守りたかった・・・
愛してやまないその人たちを幸せにしたかった・・・
私は、戦士この国を守りこの国を愛す。
その私が大切ひとたちを殺した。
隊長の命令でここを離れ上昇することになった
ほかの戦士たちもこの惨状を目の当たりにして
何も言えず、何も考えられないようだった。
ほかの戦士に声をかけられる。
私の姿を見たその戦士は、私の姿を見、最初は驚いた。
けれど、私と目を合わせたとき
私の気持ちをさっしてくれた
私も同じ気持ちだよというように
「行こう・・・」とだけ口にして
上昇を始めた。
私はきっとこの上昇を知っていたのだろう。
こ国が滅びたとき
戦士たちは、上昇を始め
この国の未来を築くために
また、新しい国へと移っていく
国という小さなモノのためでなく
この隊は作られ、戦士は選ばれているという約束のもとで
それがおごりそのものでしかないことを知らず
だから、この上昇は決められたもの
それをどこかで知っていたから
私は翼を切り落とした
私の力が少しでも落ちれば
こんな惨状を見ることもなくなる。
ほかでもこんな痛みを感じるなら
少しでもそれは遅いほうがいい
大切な人を守ることができないなら
この翼はいらない
この手はいらない
この片翼をこの片手を
せめて、愛する人達とともに居させて欲しいと思った。