母 | おはなしてーこのお話

おはなしてーこのお話

ふっと生まれたお話や感じたことを書いてます。

《1話『神の教え』



日曜日になると

育った施設の子供たちの世話をしに行っていた。


働くようになり

ここの施設を出て

一人で小さな家で生活していた。


休日は、いつもここにいた。


ここに入れば、

私は、ひとりじゃない。

ここの子供たちが、

ここの人たちが、

私に声をかけ、笑ってくれる。

喜んでくれる。


それが、嬉しかった。


ひとりじゃないんだと思えた。

そのそばにいられるだけでいいと思っていた。


そうして、毎週奉仕をしていた。


そんな奉仕をしていたある日、


綺麗ながらのレースの縁どりのある

布を頭にかぶり、同じ布を体に巻いた

裕福そうな女性がやって来た。


そして、私の姿を見つけ

私の名を呼び、抱きしめた。


「ごめんね、ごめんね」といって抱きしめた。


その懐かしい声と暖かさが

母だと感じさせた。

そして、ぎゅっと抱きしめられたとき


その女性の腰にすがりつくように

手を回し、抱きしめた。


そして一気に何かが吹き出した。



《3話 『あの時を思い出す。  』 》