あの時を思い出す。 | おはなしてーこのお話

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ふっと生まれたお話や感じたことを書いてます。

《1話 『神の教え』

《2話 『母』  》



「一人にしないで

 怖いよ 怖いよ 怖いよ 怖いよ

 一人にしないで 一人にしないで

 怖いよ 怖いよ 怖いよ 怖いよ

 一人にしないで 一人にしないで 一人にしないで

 一人にしないで 一人にしないで 一人にしないで」


心の中でずっと言葉が繰り返されていた


悲しくて、寂しくて、心細くて

そんな思いでいっぱいのまま


爆風とその衝撃で壊れてた街と

傷を負った人たちの


痛い、助けてという言葉とうめき声


怒りと悲しみと恨みと絶望と困惑


それが真っ黒な霧のようの中を

歩いているように感じさせた。


「お母さん、お父さん・・・」


そう言いながら宛のないまま歩いた


怖かった、悲しかった


そうやって歩きながら

知り合いに会えたり、

家族に会えたりした人たちが

抱きしめ合ったりする姿を見るようになると


「お父さん・・・お母さん・・・」


そう言いながら

もうわがままは言わないから

お姉さんらしくするから

言いつけ守るから

何でもするから

迎えにきて

会いたいよ。


そんな思いでいっぱいになったあの時


誰も助けてくれる人はいなかった


自分のことが精一杯で

自分たちの周りのことが精一杯で


誰も助けてはくれなかった。


悲しかった。


一人ぼっちだった


そんな思いのまま歩いて

倒れていたらしい。


目が覚めると、ベットの上にいた。

そして、声をかけてのぞく女性の姿を


母と間違え、抱きついた。


母が訪ねてきて

私を抱きしめた時


その頃の忘れていた記憶が

一気に吹き出した。


あの怖さが一気に吹き出した。

あの悲しみが

あの寂しさが

あの恋しさが


一気に吹き出した。



《4話 『母の幸せ 』》