神の教え | おはなしてーこのお話

おはなしてーこのお話

ふっと生まれたお話や感じたことを書いてます。

母を探した。

母の手をつかもうとした。

母も手を差し伸べてくれると思った。


でも・・・


母、妹の手をとっていた。


内戦の続く小さな国で

私と妹、両親と小さい壊れかけて家で暮らしていた。


自分たちの食べるものもままならない毎日

生まれてかずっと内線続くこの国で育った私には

それがあたりまえだった。


その日も家族で食料を買出しに街に向かっていた。

毎日そうやって、少ない食料を求めて出かけていった。


ある日、いつものように食料を求めて

街を母に手を取られ歩いていたら


大きな音と共に大きな衝撃と爆風に吹き飛ばされた。

あっという間に、周りの建物が壊されていた。


そのガレキの上に寝転がっていた。

何が起こったかわからなかった。


母を探した。

すぐそばに倒れていた。

母に手を伸ばそうとしたそのとき


近くで大きな爆音がなった。

その音聞いた母、そばにいた妹の手を取り

立ち上がり、抱きかかえて走り始めた。


私は、一瞬何も言えなかった。

少しして、お母さんやっと小さな声で言った。


もしかして、父がいるかも

すがるような思いで周りを見た。

父の姿はなかった。


周りが落ち着き始めたとき

やっと、傷ついた体を起こして立ち上がった。

そして、何もかも壊れてしまった風景を見ながら

怖くて、心細くて泣いた。


そして、内線がひどくなり

両親と会えないまま、今、生きている。


孤児として施設で大きくなった。

すぐに両親が見つけ出してくれると思っていた。

でも、いつまでも来なかった。


あの時の母の姿

あの時、母は妹を選んだ

妹の方を愛していると言われたようだった。


あの頃の風景を思い出すたび

それは、いらない命だと言われたように感じた。


夜になると背中から胸を締め付けられるような痛みを感じ

ひとり耐えながら眠った。


はじめの頃は悲しくて仕方なかった。


そして、その悲しみは怒りになった。

どうして、妹の方がよかったの

それでも母親なのっと罵倒し続けた。


それでも私は、母を求めていた。


大きくなるにつれ


母と別れて頃と同じ位の子供のいる母娘を見ると

うらやましい・・・

そばにいられるだけで羨ましいと思った。


その母親のために何かしてあげたいと思った。

近寄っていって「荷物お持ちしましょうか?」などと声をかけた。


いつしか、私の思いは


母に自分の思いだけでも伝えられたら

それだけいいと思うようになっていった。


私を要らないと言われても

やっぱり母のそばにいたかった。


こんなにも母を愛していることを

母に伝えたかった。


そばにいられればそれだけでもできたのに

そんなことを思うようになっていた。


私の命は、いらない命

だから、愛されることは望めない。


だから応えてもらえなくても仕方ない。

だから、与えないといけないんだと思うようになっていった。


それが、施設で習った神の教えだから