黒い鳥 | おはなしてーこのお話

おはなしてーこのお話

ふっと生まれたお話や感じたことを書いてます。

大きく翼を開いたとき

背中を突き刺され、そのまま倒れてしまう。


しばらくの間、痛みでバタバタとするが

いつしか、意識がなくなっていた


また、背中に痛みが出始めて

うっすらと目を開ける


背中に刺さったものを

誰かが、慎重にゆっくりと抜いている


「もう少し辛抱おし」


そう言われ、刺さったものが抜かれていくのを感じていた。

じわっと、何か温かい液体のようなものが

出血している傷口に当たるのを感じる


「後、もう少しだ。」


その言葉と同時に体から刺さったものが抜けた

そして、あっという間に

傷口がふさがれていくのを感じる。


あの液体のようなものが傷に入っていく感じがする


抜いてくれた人を見る。

若く落ち着いた男性が

良かったと喜びの笑顔を浮かべていた。


抜かれたものを見ると

ところどころに赤い筋のある

ささくれ立った大きな岩の破片のようなものだった


その赤い筋は、血の跡だと分かった。

助けてくれた人の手から血が出ていた

杭を抜くときにその岩で手の平を切った後だった


そして、傷口に触った温かいものは

杭を抜いてくれた人の手の平から出た血だった。


この人は、普通の方でないことが分かった

そのことが解かると

その人は、「さあ、お行き」と言った。


その言葉を合図に真っ黒な姿になり

大きく羽を広げ、飛び立つ


皆の待つ、大きな森におおわれた島を目指して


背中を打たれる前は、

色とりどりの美しい羽を持ち

大きな羽で飛び回っていた。


そんな姿を見て

人々は、神秘の鳥といい

その羽を所有すると幸福になるといい

襲われてしまった。


再び、そうならないように

助けてくれた方が、まっ黒の姿に変えてくれた。


島に戻り仲間に会い

そのことを皆に伝達する。


たちまち、皆はまっ黒の姿になる。

そうなることが、幸せに静かに暮らせることだと

皆が思った。