力のある人たちが、結びつき
自分たちより力がないと認識した人たちを
心では馬鹿にし、利用し、陰口を言う。
けれど、その人たちを前にすると
自分たちの精神性の高さを表すために
温和な姿で接する。
そして、自分たちの世界には
力のないものは入れないと思っている。
私には、そんな世界にしか見えなかった。
絶望と怒りで、不満ばかりが言葉に出た。
何かがのしかかるような重い体と心
背は曲がり、ずるずると歩く。
そして、周りで起こることを見るのも聞くのも嫌になった。
そして、何もかもを遮断してしまった。
その中で「私の王国を作る」と宣言する声がし、
「私の王国は、塀もなければ境もなく
誰もを迎い入れ、家族が帰ってきたように出迎え
どんな目的でこの国にやってくる人も
同じように迎える。
そして、その人がこの国に居る間
必要なものをみんなで用意する。
家も服も食べ物も働く場所や
時さえも作ってくれる。
それが私の王国
でも、私が一人が王ではない
皆が王で皆にとっての私の王国
そして、この王国を出ていく人も
温かく送り出す。
いつでも帰ってきていいよと言って
そして、この国で一時でも過ごした人は
この国の中央にある大きな木に
木に書かれた名前がつるされている。
それは、この王国の家族となる。
その木の名札は、王国の皆の家族
そこに名前の書かれた人たちの
幸せを皆で祈ることの象徴となり、
その木を囲い、その木につるされた名前の人たちの
一人ひとりの幸せを祈るための祝賀会が
何度も行われる。
一人でないといつでも思い出せる
遠くに居ても思ってくれている人たちがいることを思い出せる
そんな王国が、私の王国。」
そういう国だと説明する声がし
それが、私の望む世界なのかと思った。
そんな世界はそうすればできるか
そんな世界はウソ臭い感じもした。
でも、そんな世界が私の中にある気がした。