鍵と扉 | おはなしてーこのお話

おはなしてーこのお話

ふっと生まれたお話や感じたことを書いてます。

色な形のさまざま色の扉が

たくさん並ぶ広場がる。

 

ある歳になると

扉のあるその広場に行き

自分の選んだ扉を開く

それが、この村の風習

 

一人一人の未来に続く、たった一つの扉

その扉を選び開け、未来への道と出会う。

他の扉を開ければ、過去の自分の姿にしか会えない。

未来は見えてこないといわれる扉

 

その扉を開け村を旅立つ人もいれば

村に残り、生涯を村で暮らす人もいた。

 

ある青年もその時を迎え

母に見送られ、この広場にやってきた。

 

ただ、その扉も鍵がないとその扉を開けて向こうへは行けない。

扉の向こうには、青年の歩くべき道が用意されている。

 

青年はドキドキしてもいたし、

どんなものなんだろうという好奇心もあった。

 

うっすらと青みがかった

縦長い楕円の扉のを選んで

その前に立ち、考え込んでいる青年。

 

鍵?それはどこで手に入れられるのか?

そんなことも考えずにやってきてしまった。

 

どうしたらいいんだろう。と思いながら

あるはずもない鍵をポケットに手を入れて探す。

 

青年は、鍵を一つ持っていた。

その鍵はずーと昔からあったもの

とても古い形の鍵、少し錆びてもいる。

 

その鍵は昔の家のどこかの部屋の鍵

そう思っていながら

使うことがないのになぜだかずっと持っていた。

 

鍵は、これしかない

この鍵を使うだけ使ったら

この扉の鍵を探し行こうと決めて

まさか開くわけがないと思いながら

気休めに差し込んでみた。

 

ガチャと音がする。

そのまま扉を押した。

 

扉の向こうは

何もない広い高原だった。

気持ちいい風が吹き

空高く大きく翼を広げて気持ち良さそうに飛ぶ鳥たち

 

懐かしい感じもする。

とても新鮮な感じがする。

 

そして、たくさんの扉は、ただ扉だけだった。

どの扉もこの場所に入る扉になっていた。

 

そして、青年はハッと気がつく

そして、これが未来への扉なんだと思った。