とてもきれいな細工を施した大きな豪華なイスに座る王がいた。
側近たちを前に国の政策について難しい顔で難しい話をしていたが、
それが終わると
イスから立ち上がり、まとっていた大きく重たそうな上着を脱いで身軽になった。
その姿は、さっきまで老人のように見えていた王を少年のような王子の姿に見せた。
そして、城の裏へと出かけて行った。
そこは広大な広さの土地を何枚かの畑にしてある場所だった。
そして、向こうに山が見え、太陽の日差しが気持ち良く当たる場所だった。
その畑には作物が大きく育っているところもあれば、何もない土だけの畑もあった。
王は、それぞれの畑を見に行っては
土を耕したり、水をやったり、育っている作物を丹念に見て回ったりした。
王はそんなことをすることで、自分の手で作物たちの命を輝かせていると思っていた。
王は、その輝きを見るために、輝くための手伝いを自分の手でやりたかった。
太陽や雨や風、大地がそのいのちの輝きに力を貸してくれている。
そんな力の手助けの中の一員になりたかった。
王は、いつも思っていた。
人は、どこかで命の輝きの手伝いをしているんじゃないかと
それはどんな仕事をしていても、どんな身分でもやっているように思っていた。
気持ちの良い挨拶をする。相手を思って声をかける。
そんな些細なこともそうなんだろうと思っていた。
王の仕事もそうだと思う。国の幸せを願い、いろんな政策を考える。
それが、国に住む者たちの生活の幸せにつながる。
それも輝かせることになると思っていた。
王である自分が国の民の太陽や雨や風や大地ようになりたいと思っていた。
ただ、王は、もっと身近に直接的にかかわり、それを見ていたいと思った。
それで、作物を育てることにした。
それから、王は輝き始めた。
毎日畑に出かけ作物を育てた。
そうしている中で、同じように育てているのに育たないものがあることを知った。
初めのうちは、必死で育つようにといろんなことをした。
それでも駄目だった。
そして、育たない苗をそのままにして枯れていくのを見て
何がいけなかったのか、そんなことを考えていた。
ある日、枯れたまま、そのままにしていた苗をみた。
土に上で、くされ始めてなくなり始めている様子を見て
土にかえるんだなぁとなんとなく思った。
そして、何度も新しい種を植え芽が出始めていた時
何も考えず教えてもらうままに、他の苗を育てるために間引きをして
出来るだけ抜いてしまった苗を捨てないようにと
新しい場所に植えなおしたりしてみた。
それでも、やっぱり間引かなくてはいけない苗が出てくる…
そして、間引いて育ちやすいようにしても育たない苗もあった。
そして、また、捨てなくてはいけない。
何か寂しさのような虚しさを感じた。
そして、そうして捨てた苗を畑のそばにそのままにしていた。
畑仕事が少しつらくなり始めていた
それでも、習慣のように畑に出かけて行っていた。
そして、捨てた苗を見た。
かれた苗と同じようにくされ始めなくなり始めていた。
その時、はっと思った。
同じだ。そうして土にかえるんだ。
そして、また土の力になる。他の苗の栄養になる。
これも輝かせることなんだと思った。
そして、育った作物たちの中に、育ちきらなかった苗の輝きもあるんだと思った。
そう思った時、王はいっそう国を大切にしたい輝かせたいと思った。