黄金の剣をもち、黄金の盾を持ち
黄金の鎧で身を固め
たくさんの兵を従え、
勝利を得るため突き進む
たくさんの兵をなくし、たくさんの敵を倒し
勝利だけを目指し、最後の砦へとやってきた。
どれほどの力を持つ敵が待っているのか
想像もできずににここまで来た。
覚悟は出来ている。
どんな敵であろうと、ここまで来た以上立ち向かうしかない。
そんな気持ちを何度も確認しながら
最後の場所に立つ。
そこはただ、ただ広い野原だった。
その先に白い衣を着た女性が立っていた。
そよ風にもなびくような薄い衣を身につけ
腰には、木の実で作った筒を下げている。
その女性の姿を見つけ、意気込んで進めていた歩を止め
その場で立ち止まる。
その女性と少し離れた場所で立ち止まり、向かい合った状態で声をかける。
「あなたは何者だ?!」
その女性が言う
「私がここの王です。
あなたは私に会いに来たのでしょう?」
そう言いながら、女性は静かにこちらに近づいてくる。
剣を持つ手に力が入る。
しかし、武器を持っていない女性に剣を向けることにためらいがあった。
そんな迷いを感じている間に
その女性は、目の前までやってきていた。
そして、こちらに静かに手を伸ばし握手を求めてきた。
その行動にどうしていいかわからず動けないでいた。
何をどう判断すればいいのか・・・
そして、女性が言った。
「その鎧の下を見せてください。」
何を言っているの変わらない。
どう判断すべきなのか、どう理解すべきなのか
言葉は理解できていても、女性の言葉が何を意図してるのかがわからなかった。
そんな戸惑いの中、いつしか鎧は外されていた。
そして、女性の手が背中に触れたとたん、痛みが走った。
彼女は、体のあちこちに手を触れた。
その度に痛みが走る。
ずっと鎧を着続け、身を固めていたために
体中がこすれ赤くなり、傷となり血がにじみでては
気がつかない間に治り、また同じところを傷つける。
そんなことを繰り返していたらしい。
戦うことばかりに気を取られ、その痛みすらも感じずにいた。
その女性は、そんな傷跡を見て
腰に下げていた筒に入った水で自分の衣を濡らし当ててくれた。
そして、傷を触りながらその女性が言った。
「腫れ上がり、膿てしまわなくてよかった。
膿ればその膿で鎧が体に張りつき
鎧を外すときどれだけの痛みに耐えなくてはならなかったことでしょう」
安堵するような声で言った。
その言葉を聞き、初めて体が震えた。
そして、何を得るために勝利しようとしていたのかと
その女性に触れられながら、ぼんやりとそんなことを思っていた。