膝を抱え、ずっと泣いている少女がいた。
さびしくて、悲しくて、ずっとずっと泣いていた。
ずっと一人で泣いていた。
そんな少女の頭を誰かが優しくなでる。
何度も何度もなでる。
少女は泣きはらした目で、その手の主のほうに顔をあげる。
でも、その主の顔は、はっきりと見えない。
大きくやさしい手・・・
その手の主は、少女にその手を差し出す。
その手は、少女に一緒に行こうと言っているようだった。
少女はその手を握り、引かれるまま立ち上がり
そして、一緒に歩き始めた。
その主が、誰だか分らない。
少し、不安な気持ちになりながらも、
少女は、その手をぎゅっと握りしめていた。
暗く長い道、今までずっと一人で歩いていた同じ道
少女は、ひざを抱え泣くようになるまで
その道を歩いていた。
最初は明るかったその道も
少女が、歩を進めるたびに、だんだんと暗くなり
そして、ついに真っ暗になり、そこに少女はうずくまってしまっていた。
そんな道を一緒に歩いてくれる人がいる。
それだけで、少女はうれしかった。
どこに行くかもわからない、長い長い暗い道
どこか怖い場所に連れて行かれるのかもしれない。
そんなことも考えていた少女。
それでも、その手を放したくないと思った。
そして、また、その手を確かめるようにぎゅっと握りしめてみた。
その手のぬくもりがうれしかった。