渡辺明九段時間に追われて会心譜をフイに・7月7日の将棋対局結果(2024.7.8) | 東京の四季(庭園&公園)のブログ

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◆7月7日の将棋対局結果

 

(1)第65期王位戦七番勝負第1局2日目

①藤井聡太王位(七冠・先)vs渡辺明九段 千日手

 ●渡辺明九段(先・1敗)vs〇藤井聡太王位(七冠・1勝)

 ※過去31回のタイトル獲得実績を持つ渡辺明九段ですが上半期に行われる名人戦、叡王戦、棋聖戦、王位戦、王座戦は縁が遠く2011年度に王座を獲得したのが最初。その後2019年度に棋聖、2020年度に名人(3連覇)を獲得しましたが全31期中26期が下半期に行われる竜王戦、棋王戦、王将戦での記録で「冬将軍」の異名を奉られたほど。棋王、王将、棋聖の三冠に復した時は二度目の全盛時代と見えましたが先ず棋聖戦で藤井聡太七段に初タイトルを献上。棋聖を取られた代わりに名人を獲得して三冠に戻ったものの半年後に王将を奪われ、続いて棋王、名人と続けて奪われて無冠に転落。棋聖戦のリターンマッチを含めて藤井聡太七冠とのタイトル戦は5戦5敗。強い時は鬼神を思わせますが藤井聡太七冠とは異常に相性が悪く通算成績は4勝20敗、5回に1回しか勝てないという不思議現象が続いています。今回は昨年の名人戦以来1年1カ月ぶりの対戦になりますが、「何とか接戦に持ち込みたい」と控えめな決意表明。スコアは圧倒的な差が付いていますが実力差は紙一重でありますから伊藤匠叡王が八冠の一角を切り崩したこともあり、藤井攻略の糸口さえ見付かれば、と心中期するものが当然有ると思われます。渡辺明九段としては第1局に勝つことが必須でありましょう。渡辺明九段の過去の4勝は先手番で1勝、後手番で3勝。これから推し測ると先手番をキープ出来ないことが苦戦の原因かとも思われます。渡辺明九段の無冠返上の条件は先手番キープに有りと観ましょう。

 ※振り駒の結果は藤井聡太王位の先手番。渡辺明九段は4勝の内3勝が後手番での勝ち(8敗)で藤井聡太王位鉄壁の先手番を3度ブレークした実績を活かせるかが勝負の分かれ目になりそうです。しかし、自己の先手番では1勝12敗。同時に自己の先手番を如何にしてキープするかがそれ以上の課題とも言えそうです。

 ※渡辺明九段は雁木模様から左美濃、そして右玉と藤井聡太王位の仕掛けをけん制しながら巧みな差し回しで玉の守りを固めてカウンター・チャンスを伺う構え。上々の滑り出しのように見えました。1日目は45手目を藤井王位が封じて終了。ほぼ互角。2日目は千日手模様の膠着状態になり結局80手で千日手に。消費時間は藤井7時間10分、渡辺5時間50分で1時間20分の差を付けて先後交代の指し直しで渡辺明九段の目論見がズバリ当たった感じ。指し直し局は時間に余裕のある渡辺明九段が優勢に進め91手目辺りで勝勢、100手目では藤井王位が形づくりと思える王手を掛けた時点で渡辺明九段100%勝に。しかし、双方1分将棋なって渡辺九段が119手目で大ミスして100%⇒1%。恐ろしいものです。ところが藤井王位も124手目で間違えて99%⇒29%。再び渡辺九段にチャンスが回りましたが127手目で竜を切ったのが再度の大ミスで71%⇒0%と二転三転の大波乱の末、藤井王位の玉が詰み無しとなって渡辺九段が投了。本来ならば渡辺明九段の傑作局となったでありましょう第1局をフイに。藤井聡太王位の粘り強さと言うか、強運と言うか、相手の焦りを誘う底力と言うか、そうしたプラスα力のようなものを痛感させた結果となりました。結果的に藤井王位の先手番をブレーク出来たところ、指し直し局の先手番をキープ出来なかったということで二重のダメージを受けたように感じますが、感想戦では笑顔を浮かべてサバサバした様子で流石タイトル戦登場45回、内タイトル獲得31回という戦績の持ち主らしい風格を感じさせました。それにしても乏しい持ち時間を効果的に使い渡辺九段が持ち時間を使い切るまで止めを刺させなかった藤井王位の粘り強さが結果的に勝利を呼び込んだということになりましょうか?

(2)第74回NHK杯将棋トーナメント1回戦

②●三浦弘行九段(先)vs〇徳田拳士四段

 ※徳田拳士四段はデビュー初年度の2022年度の上半期は19勝2敗、勝率.9047と勝ちまくり大変な逸材かと思い注目し始めましたが下半期は19勝11敗とペースダウンしたものの年度通算では38勝13敗、勝率.745と立派な成績。中にはA級八段の斎藤慎太郎八段、永瀬拓矢王座に勝つなど目を見張る金星もありました。しかし、2年度目の2024年は1

7勝17敗と早くも壁に突き当たった感じになり、今年度は1勝3敗。3敗は全てレート上位者との対戦でしたが歯痒い滑り出し。本局は昨年度末の収録と思われますがA級在籍13期、1996年度の第68期棋聖戦で羽生善治棋聖から棋聖を奪取。七冠全冠制覇を突き崩し一躍名を馳せた強豪との対戦で戦いぶりが注目されます。

 ※本局は昨年の3月頃の収録と思われますがベテラン強豪を撃破したもののスランプ脱出には至っていないようです。勝った徳田拳士四段は2回戦で中村太地八段と対戦します。現役A級棋士をも撃破するようであればスランプ脱出となりましょうが果たして通用するか?

 

 

 

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