伊藤匠七段の今年度展望(2024.6.30) | 東京の四季(庭園&公園)のブログ

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◆伊藤匠七段の今年度展望

 

◆第9期叡王戦ではフルセットの末見事最終局に逆転勝ちして初タイトルとなる叡王を獲得すると共に藤井聡太八冠の一角を突き崩し藤井一強状態に終止符を打ったと見て良いでしょう。また、藤井聡太七冠のタイトル戦連勝は22でストップしました。

◆対藤井戦11連敗から12戦目で初勝利を挙げそのまま五番勝負を制してタイトル奪取となった訳ですが、これは藤井聡太七冠が豊島将之九段に対して7戦目で初勝利を挙げて一気に力関係を逆転させた事例に良く似ているように感じます。異なる点は藤井vs豊島が13歳差であったのに対し藤井vs伊藤匠は同年齢ということで力関係が一気に逆転するとは考えられません。その理由は今年度の成績を観ると分かりそうです。藤井聡太七冠は8勝4敗で対伊藤匠戦を除くと5勝1敗であるのに対し、伊藤匠叡王は7勝7敗、対藤井戦を除くと4勝5敗で実力が急激に高まったという印象は無く、むしろスランプ状態とも言えそうです。藤井聡太七冠の場合は対局の全てがタイトル戦で豊島将之九段と山崎隆之八段しか相手にしていないということもあるでしょうが、叡王戦の結果は伊藤匠叡王が藤井聡太七冠に対して「勝つコツを掴んだ」結果と見ることが出来るかもしれません。

◆さて、伊藤匠叡王の今後についてですが第95期棋聖戦は二次予選決勝敗退、第65期王位戦は予選敗退、第72期王座戦は一次予選敗退、第37期竜王戦は1組3位決定戦敗退、第74期王将戦は一次予選決勝敗退と年内のタイトル戦は敗退済で残るは来年に入っての第50期棋王戦のみ。第50期棋王戦は第49期で挑戦者となり敗退しているのでベスト4扱いで3回戦からの出場。4回戦、準決勝、決勝と4連勝で勝ち組として挑戦者決定二番勝負に決勝進出。二番勝負は1勝で挑戦権獲得。3回戦か4回戦で敗れれば敗退。準決勝、決勝で敗れると敗者復活戦に回り、挑戦者決定二番勝負では2連勝すれば挑戦権獲得となります。タイトルホルダーとなったので来年度からは多くのタイトル戦で予選免除となるので挑戦権獲得の道のりは大分縮まって確率的に有利になります。棋王戦で挑戦権を獲得すると年度内二冠、八段昇段となって「一角の対抗馬」、竜王を保持する藤井聡太を「竜」とすれば伊藤匠叡王は差し詰め「虎」ということになりましょう。しかし、今年度の第一四半期の成績を観ると結構苦戦しそうな感じがします。

◆他の棋戦では順位戦「B級2組」は2回戦の郷田真隆九段が難敵、3回戦の屋敷伸之九段も曲者で油断できません。4回戦の服部慎一郎六段は過去2勝0敗ですが一番の難敵。終盤の9回戦で深浦康市九段、10回戦で丸山忠久九段の羽生世代強豪が立ちはだかりますが全勝で昇級を決めることが出来そうな対戦相手で悪くとも9勝1敗。2敗して昇級を逃がすことはチョット考えにくいように思えます。しかし、足元を掬われやすいのが順位戦。

◆デビューして4年度目に入った伊藤匠叡王の成績は45勝11敗、勝率.804、2022年度37勝14敗、勝率.725、2023年度は藤井聡太七冠に8敗を喫しましたが51勝17敗、勝率.750、対藤井戦を除くと51勝9敗で勝率.850と見事なものでしたが2024年度は目下7勝7敗、勝率.500と苦戦。通算140勝49敗で勝率.7407は大変立派ではありますが藤井聡太七冠の372勝75敗、勝率.8322と比べるとかなりの大差が付いていて両者が現役を引退するまでに追い付き、追い越せるか興味深いものがありますが生きて見届けすることが出来ないのが心残りになります。私が生きているつもりである両者が40歳の時点で対戦成績は五分なっているかどうか?という処でしょうか?