冨田&高田&藤本が自力昇級・3月12日の将棋対局結果(2024.3.13) | 東京の四季(庭園&公園)のブログ

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◆冨田&高田&藤本が自力昇級

・3月12日の将棋対局結果

 

(1)第82期順位戦C級2組11回戦(最終戦)

 ※C級2組は8勝1敗が冨田誠也四段(12位)、高田明浩四段(18位)、藤本渚四段(52位)の3名のみでそれぞれ勝てば昇級となります。冨田四段は自分より上位で7勝2敗の棋士が梶浦宏孝七段(7位)、池永天志五段(10位)、八代弥七段(11位)と3名いるので敗れると上位3名が揃って敗けた場合に昇級が回って来るという立場ですが梶浦七段は敗けそうもないので冨田四段は敗けられません。対戦相手の小林裕士八段は敗けると降級点取得が決まるので簡単には勝たせてくれないでしょう。

 ※梶浦七段は勝って8勝2敗とすれば昇級争いをしている棋士の中では最上位なので8勝1敗の3名の内1名が敗れれば昇級という立場。

 ※高田明浩四段は調子が上がらない上村五段が対戦相手ですが上村五段は順位戦では6連敗から3連勝して勝てば2度目の降級点を免れるので必勝の覚悟で立ち向かって来るでありましょうから容易ではありません。

 ※藤本渚四段は上位棋士に2敗を喫して歴代最高勝率更新の達成は不可能となって目指すは昇級。対戦相手の山本博志五段(9位)は侮れない相手です。客観的に眺めれば8勝1敗の3名が揃って勝って昇級を決めてしまいそうで梶浦七段、八代七段の豪傑は「大迷惑な存在」として佐々木大地七段、本田奎六段と共に居残りとなりそうです。

 ※降級点争い(12名に付加)は1勝以下の4名の取得が決定。2勝7敗の3名は3勝6敗が9名もいるので勝ってもセーフになる可能性は無いに等しい状況。長谷部浩平五段は2度目の取得となるので29歳の若さでフリークラスへ陥落の危機に晒されることになります。4勝5敗の新人棋士の森本四段、小山直希四段は先ず大丈夫でしょう。

 

①〇岡部怜央四段(22位・8勝2敗)vs●高野秀行六段(1位・2勝8敗⇒★)

 ※岡部四段は1期目(第81期)6勝4敗23位の成績から2期目の今期は6位の成績で来期は順位第5位に上って昇級を目指します。

②〇梶浦宏孝七段(7位・8勝2敗)vs●平藤眞吾七段(2位・2勝8敗)

 ※大本命の梶浦七段は今年度も一歩及ばす次点。第74期が初年度で7勝3敗、8勝2敗、4勝6敗、5勝5敗、6勝4敗、8勝2敗、7勝3敗、7勝3敗と来て今期は3度目の8勝2敗。来期は10期目となります。高野秀行六段と平藤眞吾七段はC級1組から落ちて来て初年度で降級点取得となりました。C級1組もC級2組も実力差は無いと言って良さそうでC級1組に踏み止まっておかないとフリークラス陥落が切実な脅威となります。

③〇佐藤紳哉七段(42位・7勝3敗★)vs●佐々木大地七段(3位・6勝4敗)

 ※不調が続いた佐藤紳哉七段ですが奮起して最終戦では大本命の佐々木大地七段をも降して貴重な7勝。佐々木大地七段はフリークラスから上がって第76期から参戦し3期連続8勝2敗、4期目の第79期は7勝3敗、第80期も7勝3敗、第81期は4回目の8勝2敗。今期は間違いなく昇級するだろうと思っていましたがまさかの6勝4敗。来期は本命には推せなくなりました。それにしても不思議なもので5戦して1回くらいしか敗けない確率の相手に「本場所」とも言える順位戦で敗けるのですから、これが順位戦の面白さということになりましょうが、佐々木大地七段としては初のタイトル挑戦がダブルになって棋士人生最高のスポットライトを浴びた年に順位戦では過去最低の成績に終わるとは皮肉というか何とも言葉がありません。2敗目を喫して気落ちしてしまったのでしょう。何度も記しますが早く上に上ってくれないと対戦者が気の毒です。

④〇徳田拳士四段(4位・6勝4敗)vs●阿部光瑠七段(33位・4勝6敗★)

 ※期待した徳田四段は辛うじて勝ち越し。

⑤〇杉本和陽五段(5位・4勝6敗)vs●渡辺大夢六段(28位・5勝5敗)

⑥●本田奎六段(6位・5勝5敗)vs〇伊藤真吾六段(19位・5勝5敗★)

 ※本田奎六段も順位戦は思うように勝てずに長期滞留の様相。

⑦〇森下卓九段(17位・5勝5敗)vs●遠山雄亮六段(8位・4勝6敗)

⑧●山本博志五段(9位・5勝5敗】vs〇藤本渚四段(52位・9勝1敗⇒昇級)

 ※十分させそうな局面で無理をせず千日手を選択した藤本四段。計算通り先手番に回った指し直し局で快勝して一期抜け昇級を果たしました。毎年昇級すると22歳でA級八段になります。その前にタイトルを取っているかも。2012年度の第71期から参戦の古参ですが6勝4敗、

⑨〇高野智史六段(34位・7勝3敗)vs●池永天志五段(10位・7勝3敗)

➉●今泉健司五段(14位・3勝7敗)vs〇八代弥七段(11位・8勝2敗)

 ※今泉五段は敗れて降級点取得かと思いましたが際どく助かりました。3勝7敗は7名いてその中の最上位であった今泉五段と順位1つ下の長谷部浩平五段の2名が助かったことになります。八代七段も2012年度の第71期から参戦ですが6勝4敗、5勝5敗、6勝4敗、8勝2敗、7勝3敗、5勝5敗、5勝5敗、勝4敗、6勝4敗、6勝4敗、7勝3敗と意外に勝てていなくて今期は2度目の8勝2敗。マア、上がれていなくれも仕方ないとも思えます。

⑪〇冨田誠也四段(12位・9勝1敗⇒昇級)vs●小林裕士八段(43位・3勝6敗⇒★)

 ※冨田四段(28歳)は2021年度の第80期から参戦で6勝4敗、7勝3敗と星を伸ばしてきて3期目で昇級を勝ち取りました。潮時と言いましょうか3期目くらいで抜けておかないと先が開けません。28歳とそれほど若くはないので来年は勝負の年になるでしょう。

⑫〇石川優太五段(13位・7勝3敗】vs●藤森哲也五段(30位・4勝6敗)

⑬〇長谷部浩平五段(15位・3勝7敗★)vs●佐藤慎一五段(39位・6勝4敗★★⇒★)

 ※長谷部五段は敗けると2つ目の降級点というプレッシャーを撥ね退けて3勝目を上げ首の皮一枚残して助かりました。まだ29歳なので降級点を持っているのは大いに危険。降級点を消すためには昇級するしかないので長く滞留していると何時かはフリークラス陥落の憂き目をみることになります。佐藤慎一五段は見事勝ち越して降級点を1つ減らしました。1つ目の降級点は「入れ墨」のようなものでC級1組に昇級しない限り消すことは出来ません。

⑭〇小山直希四段(54位・5勝5敗)vs●狩山幹生四段(16位・6勝4敗)

⑮〇高田明浩四段(18位・9勝1敗⇒昇級)vs●上村亘五段(21位・3勝7敗★⇒★★)

 ※高田四段(21歳)は藤井聡太八冠、伊藤匠七段と同学年。あまり目立ちませんがかなりの力量を持ち合わせています。しかし、現状3歳年少の藤本渚四段に「歯が立たない」のがもどかしいところ。一緒にC級1組に昇級しますが昇級争いが見物になりましょう。

⑯●長岡裕也六段(47位・4勝6敗★★)vs〇星野良生五段(20位・7勝3敗★)

 ※降級点を2つ持っている棋士は毎年綱渡り状態で気の毒です。

⑰〇佐藤秀司八段(23位・4勝6敗)vs●田村庸介七段(24位・4勝6敗)

 ※終われば4勝6敗で同星ですが、佐藤秀司八段は敗けると降級点取得となっていたので値千金の勝ち星です。最終戦までに4勝を挙げておくと余程のことがない限り安全です。

⑱〇黒沢怜生六段(25位・6勝4敗)vs●田中悠一六段(44位・3勝7敗★⇒★★)

 ※田中悠一六段(38歳)は2つ目の降級点取得で崖っぷちに。

⑲〇牧野光則六段(35位・5勝5敗)vs●中村亮介六段(26位・6勝4敗)

⑳〇森本才跳四段(55位・5勝5敗)vs●西川和宏六段(27位・5勝5敗★)

㉑●長沼洋八段(49位・3勝7敗★★)vs〇井田明宏四段(29位・5勝5敗)

 ※長沼八段(59歳)は勝っていればセーフでしたが敗れてフリークラスに陥落。フリークラスの引退規定によると在籍期間は「満60歳(原則)の誕生日を迎える年度の終了まで」となっているので長沼八段は来年の2月25日までとなるのかどうか?「原則」に当てはまらない事由が有るか無いかが良く分かりません。ただし、長沼八段は竜王戦は4組在籍中なので5組以上に在籍している間は竜王戦ランキング戦、昇級者決定戦のみ出場可能です。これが「非原則」に当たるのかどうか?

㉒●齋藤裕也四段(53位・4勝6敗)vs〇井出隼平五段(31位・6勝4敗★)

㉓●瀬川晶司六段(38位・1勝9敗★⇒★★)vs〇谷合廣紀四段(33位・7勝3敗★)

 ※2005年11月35歳でプロ編入試験に合格してプロ入りした瀬川晶司六段(53歳)も崖っぷちに。プロ入り2年度目の第80期で降級点を喫した谷合四段(30歳)ですが4期目で好成績を残しました。

㉔●近藤正和七段(40位・3勝7敗★⇒★★)vs〇石田直裕五段(36位・8勝2敗)

 ※近藤正和七段(52歳)は2つ目の降級点。石田直裕五段は見事8勝。

㉕〇村中秀史七段(37位・8勝2敗)vs●竹内雄悟五段(48位・3勝7敗★★⇒降級)

 ※村中秀史七段(43歳)は2005年度の第64期に参戦しましたが1期目で7勝3敗の好成績を挙げたもののチャンスを活かせず20期目の来期は順位も上位に上って昇級のチャンス。竹内雄悟五段(36歳)は無念の降級。

㉖●島朗九段(41位・4勝6敗)vs〇豊川孝弘七段(46位・2勝8敗★⇒★★)

 ※豊川孝弘七段(57歳)も崖っぷち。

㉗●青野照市九段(51位・0勝10敗★★⇒引退)vs〇安用寺孝功七段(45位・2勝8敗★⇒★★)

 ※青野照市九段(71歳)は現役引退。2月20日のTV棋戦の予選で勝利して通算800勝を達成。史上最年長での達成と同時に負け越しの棋士が800勝に到達したもの史上初とのこと。安用寺孝功七段(49歳)も崖っぷち。

 ※これをもって2023年度の順位戦は全て終了。6月から10カ月の間、ハラハラ、ドキドキ、ヤキモキさせてくれました。若手の有望棋士が順調に昇級、昇段を重ねて行くのがスッキリした眺めになりますが、簡単にそうは行かないのが現実で悲喜交々のドラマが展開されるのが順位戦の醍醐味でしょう。

 

(2)第50期棋王戦予選

・3組2回戦

㉘●石井健太郎七段(先)vs〇斎藤明日斗五段

 ※B級1組に昇級を果たした石井健太郎七段(31歳)とB級2組昇級に今一歩及ばなかった斎藤明日斗五段(25歳)戦は好カード。レーティング・ランキング16位の石井七段、18位の斎藤明日斗五段でレート差は僅か6点。斎藤明日斗五段が勝ちまくってレートを上げましたが今年度は勢いが止まって石井七段がジリジリ加点して位置が逆転しました。対戦成績は2勝2敗の五分。

 ※斎藤明日斗五段が勝ってレートの値が入れ替わりました。斎藤明日斗五段は3回戦で渡辺正和六段と対戦します。

 

・5組2回戦

㉙〇船江恒平六段(先)vs●西田拓也五段

 ※勝った船江六段は3回戦で池永天志五段と対戦します。

 

(3)第95期棋聖戦決勝トーナメント1回戦

㉚●井上慶太九段vs〇中村太地八段(先)

 ※井上慶太九段は還暦の60歳で挑戦者決定トーナメント進出はお見事。中村太地八段(35歳)はA級残留を決めて充実期に。

 ※勝った中村太地八段は2回戦で永瀬拓矢九段vs石川優太五段戦の勝者と対戦します。

 

(4)第32期銀河戦Eブロック3回戦

㉛〇佐藤秀司八段(先)vs●石田直裕五段

 ※今年度好調の石田直裕五段どこまで勝ち上がるか?勝者は4回戦で梶浦宏孝七段と対戦します。

 ※佐藤秀八段が好調の石田五段を破って4回戦進出。

 

◆将棋連盟 棋士別成績一覧(レーティング)