増田康宏七段が26歳でA級八段に・3且7日の将棋対局結果(2024.3.9) | 東京の四季(庭園&公園)のブログ

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◆3月7日の将棋対局結果

 

(1)第37期竜王戦6組ランキング戦4回戦

①●上村亘五段(先)vs〇小山怜央四段

 ※プロ編入試験合格の小山怜央四段は苦戦が続いていましたが今年度好調でレート151点上位の石田直裕五段に勝って3連勝。10勝8敗と貯金を殖やす気配。まだ20勝10敗の昇級ラインには遠いですが頑張って欲しいものです。

 ※小山怜央四段が勝って4連勝。まだ昇級には9勝2敗と厳しい条件ですが来年度中には昇級を果たして欲しいもの。5回戦で黒田堯之五段vs藤本渚四段戦の勝者と対戦します。次回は難敵で勝ち目は薄そうです。

 

(2)第82期順位戦B級1組13回戦

 ※来期のB級1組は広瀬章人八段と斎藤慎太郎八段という直ぐにA級に戻りそうな強豪が落ちて来るので今期昇級を争っている増田康宏七段と大橋貴洸七段は今期で上がっておかないと次の昇級のチャンスはいつ来るか分かりません。増田康宏七段は屋敷九段に勝てば昇級ですがプレッシャーがあってか調子が今一つ。ただ、屋敷九段に敗れても大橋貴洸七段が千田翔太七段に敗れると昇級が決まるので確率的にはかなり有利な立場に居ます。大橋貴洸七段も本調子ではないようですが目下4連勝中と上昇気配。千田七段に勝って増田康七段が敗れると昇級となります。

 ※降級争いは木村一基九段と横山泰明七段の降級が決まってあと1名。目下5勝6敗の屋敷伸之九段(10位)、山崎隆之八段(7位)、三浦弘行九段(5位)、佐藤康光九段(2位)の4名の争いになりました。いずれも強敵相手で敗れると屋敷九段は即降級、屋敷九段が増田康宏七段に勝つと佐藤康光九段まで危なくなるという熾烈な争いです。 

 ※先に大橋貴洸七段が千田翔太新八段に敗れて増田康宏七段のA級昇級と八段昇段が決定。その頃増田康七段は敗けるとB級2組に落ちる屋敷伸之九段の巧妙な差し回しに大苦戦。しかし、屋敷九段が勝を焦ったか疑問手が出て形勢逆転。増田康七段が昇級、昇段を白星で飾りました。屋敷九段が敗れたことでその他の降級候補の棋士はホッと胸を撫で下ろしたことでしょう。自力で残留を決めた佐藤康光九段は兎も角、敗れて5勝7敗になっていた山崎隆之八段は逆転劇によって命拾い、三浦弘行九段も肝を冷やしたことでしょう。

②〇佐藤康光九段(2位・6勝6敗)vs●糸谷哲朗八段(1位・6勝6敗)

 ※佐藤康九段が勝負強さを発揮して五分の成績に漕ぎ着けました。糸谷哲朗八段は不本意な1年でした。

③●山崎隆之八段(7位・5勝7敗)vs〇近藤誠也七段(3位・7勝5敗)

 ※近藤誠也七段はスランプ状態と思われますが順位戦は気が付いてみれば勝ち越しに転じていて実力的にはA級八段の域に近付いていることを感じさせます。惜しむらくは今一つ切れ味と迫力に欠ける印象があり今後の課題かと思います。

 ※近藤誠也七段は貴重な1勝を挙げて来期も3位の順位を保ってA級昇級チャンスが唾がりました。しかし、来期はA級から広瀬章人九段と斎藤慎太郎八段が落ちて来るので今期以上に厳しい戦いになりそう。スランプ脱出が望まれます。

④〇羽生善治九段(6位・7勝5敗)vs●三浦弘行九段(5位・5勝7敗)

⑤●大橋貴洸七段(11位・7勝5敗)vs〇千田翔太八段(8位・9勝3敗⇒昇級)

 ※千田新八段は勝てばA級9位、敗けて増田康新八段が勝つと10位になることから全力で勝ちに行ったと思われます。大橋七段中盤まで善戦して優勢になりましたが千田八段の気迫に押されて逆転を許した感じ。来期は順位6位でA級を目指すことになります。

⑥〇木村一基九段(12位・3勝9敗⇒降級)vs●横山泰明七段(9位・2勝10敗⇒降級)

⑦●屋敷伸之九段(10位・5勝7敗)vs〇増田康宏七段(13位・9勝3敗)

 ※増田康宏七段にとっては生涯の大勝負になりましょう。屋敷九段としても敗れると第66期以来17期ぶりのB級2組へ逆戻りとなるので敗けられません。飛躍と生き残りの死闘となりましょう。

 ※増田康宏新八段は調子が上がらない中で順位戦は手堅く白星を積み重ねて貯金を使い果たす寸前で昇級を決めた感じ。この辺りは「運の強さ」なのでしょう。天才も錆び掛かって来たかと思われましたが錆を落としてタイトル戦線で活躍が期待されます。

 

(3)第50期棋王戦予選

・2組2回戦

⑧〇高野智史六段(先)vs●所司和晴七段

 ※勝った高野智六段は3回戦で日浦市郎八段と対戦します。

 

・3組2回戦

⑨●塚田泰明九段(先)vs〇中村亮介六段

 ※勝った中村亮六段は3回戦で佐々木慎七段と対戦します。

 

・5組2回戦

➉〇井出隼平五段(先)vs●室岡克彦八段

 ※勝者は3回戦で西尾明七段vs戸辺誠七段戦の勝者と対戦します。

 

⑪●星野良生五段(先)vs〇佐藤真一五段

 ※勝った佐藤慎五段は3回戦で黒沢怜生六段と対戦します。

 

(4)第74期王将戦一次予選8組2回戦

⑫〇井田明宏四段vs●西川和宏六段

 ※勝った井田四段は3回戦で古賀悠聖六段と対戦します。

 

(5)第32期銀河戦

⑬〇岡部怜央四段(先)vs●藤本渚四段

◆3月7日に放送された第32期銀河戦Dブロック3回戦で岡部怜央四段(24歳)と対戦した藤本渚四段(18歳)は勝ち進むと思われましたが「まさか?の敗退」。

◆岡部四段は藤本四段より半年早くプロ入りした新鋭で初年度の2022年度は21勝16敗(勝率.568)、2年度目の2023年度は目下19勝14敗(勝率.576)と着実な歩みを見せていますがレートは藤本四段に勝って1,609点まで上げたところ。一方の藤本四段は岡部四段に敗れて11点減らしたものの1,758点とA級八段のレベルに達しています。デビュー後の半年間は対局場を間違えたりで不戦敗が2つ有って7勝5敗と殆ど目立たない存在でしたが2023年度に入るや目覚ましい活躍ぶりを見せて岡部四段には失礼ながら10回戦までは進めると観ておりました。また、銀河戦の他、同じくTV棋戦の第74回NHK杯の予選があるので当面は白星の鉱脈が潤沢に続いていて中原誠16世名人が六段時代の1967年に樹立した歴代最高勝率.8545(47勝8敗)を更新する可能性はかなり高いと観ておりました。

◆この敗戦で藤本渚四段は46勝8敗、勝率.8518となりました。次戦で勝つと中原誠六段の記録と並び、その後年度内に敗けなければ記録更新となりますが、今日3月8日に第65期王位戦挑戦者決定リーグ戦で強豪佐々木大地七段と対戦するのが「天下分け目の大決戦」となります。敗ければ記録更新は消滅、勝てば記録更新は当確に近くなります。

◆藤本渚四段はデビュー以来藤井聡太八冠に匹敵する実績を残しているものの注目度はかなり低いように感じられます。しかし、私は藤井聡太八冠から初めてタイトルを奪取するのは藤本渚四段ではないか?と睨んでいます。裏返して言えば藤本渚四段が藤井聡太八冠の一角を突き崩すまで藤井聡太八冠時代は続くと観ているということになります。叡王戦では本線回線で本田奎六段に敗れて敗退となりましたが王座戦では一次予選決勝で服部慎一郎六段を破って二次予選進出。王位戦リーグでは1回戦で佐藤天彦九段(元名人3期)を破り佐々木大地七段に勝つようだと挑戦権獲得の可能性が見えて来ます。早ければ来年度中に挑戦者に躍り出る可能性が有り大フィーバーを巻き起こすかもしれません。是非ご注目を。

※藤本渚四段は3月8日に行われた第65期王位戦挑戦者決定リーグ戦紅組2回戦で強豪・佐々木大地七段に敗れて今年度46勝9敗、勝率を.836まで落として今年度残り全局を全勝しても歴代最高勝率.8545に届かないことが確定しました。歴史的快挙達成を見届けられず誠に残念です。勝った岡部四段は4回戦で杉本和陽五段と対戦します。

 

◆将棋連盟 棋士別成績一覧(レーティング)