豊島挑戦権＆広瀬・斎藤慎太郎降級・2月29日の将棋対局結果（2024.3.1）

◆豊島挑戦権＆広瀬・斎藤慎太郎降級

・2月29日の将棋対局結果

（1）第37期竜王戦5組2回戦

①〇渡辺和史六段（先）vs●門倉啓太五段

　※勝った渡辺和史六段は3回戦で長谷部浩平五段と対戦、敗れた門倉五段は昇級者決定戦に回ります。

（2）第82期順位戦A級9回戦（最終戦）

　※今期は豊島将之九段が6連勝と突っ走って挑戦権獲得かと思われましたが終盤で2連敗。最終戦は5勝3敗で目下3番手に付けている菅井竜也八段との直接対決で敗れるとプレーオフになり、更に5勝3敗で2番手の永瀬拓矢九段が勝つと3者によるプレーオフとなります。また、2名の降級者も決まっておらず4勝4敗の佐藤天彦九段、中村太地八段、を含めて3勝5敗の4名の計6名で降級を争うことになります。そして斎藤慎太郎八段と佐々木勇気八段は直接対決で敗れた方は降級が決まります。

　※佐藤天彦九段は助かる可能性が高いものの敗れて4勝5敗となると広瀬九段が勝ち、中村太地八段が勝つと斎藤慎太郎八段か佐々木勇気八段のどちらかと共に降級となります。

　※渡辺明九段のみ勝っても敗けても挑戦権、降級共に無関係で順位の下降の度合いだけということになります。勝っておくに越したことはありませんが。

②〇渡辺明九段（1位・5勝4敗）vs広瀬章人九段（2位・3勝6敗⇒降級）

　※対戦成績は20戦目までは10勝10敗の五分でしたが、その後は渡辺明九段が11勝5敗と勝ち込んで広瀬九段の弱点を掴に取った感じですが渡辺明九段が絶不調であれば広瀬九段も勝率5割で好調とは言えない状態。渡辺明九段は降級の心配はありませんが広瀬九段は敗けると同じ3勝5敗の3名の内2名が4勝目を挙げると降級の貧乏くじが回って来ます。

　※広瀬九段は稲葉陽八段と佐々木勇気八段が勝って4勝となったため連続10期在籍したA級から初の陥落となりました。渡辺明九段はフラフラしながらも終わってみれば勝ち越し。来期は第3位での勝負となります。

③●菅井竜也八段（6位・5勝4敗）vs〇豊島将之九段（3位・7勝2敗⇒挑戦権獲得）

　※菅井八段再三優勢になりながらもチャンスを生かせず敗退。豊島九段は終盤で失速したものの何とかトップでゴールに入りました。藤井聡太名人には6連勝と始めはtからの差を見せたものの7戦目で初黒星を喫するやその後は22勝5敗、直近では9連敗中とスッカリ力関係は逆転。七番勝負で4勝することは奇跡に近いような気がしますが・・・。

④〇永瀬拓矢九段（4位・6勝3敗）vs●中村太地八段（10位・4勝5敗）

　※初のA級入りを果たした中村太地八段は力不足かと思われましたが大健闘。超難敵相手に4勝を挙げてギリギリの残留。永瀬九段は名誉王座の称号を大ポカで取り逃がしたショックから徐々に立ち直って来ているようで来期は2位で名人挑戦権を狙います。

⑤〇斎藤慎太郎八段（5位・3勝6敗⇒降級）vs●佐々木勇気八段（9位・4勝5敗）

　※斎藤慎太郎八段はA級に上がるや1期目で渡辺明名人への挑戦権を獲得、2期目も挑戦権獲得と実力を発揮。渡辺明名人には僅かに及ばず名人獲得は成りませんでしたがA級実力者としての地歩をガッチリ築いたかと思われました。しかし3期目で5勝4敗とやや失速したのに続いて今期は3勝止まりとまって残留ならず。A級に上った当初が勢いのピークであったようで強度のスランプに陥った感があり本来の強さを早く取り戻して欲しいものです。佐々木勇気八段は土壇場で降級を免れました。

⑥〇稲葉陽八段（7位・4勝5敗）vs●佐藤天彦九段（8位・4勝5敗）

　※今一つ調子の上がらない同士の降級争いでどうなるかと思いましたが稲葉八段が分の悪い佐藤天彦九段を下して4勝目を上げ残留を確保。続いて佐藤天彦九段も広瀬九段と斎藤慎太郎八段が敗れたため残留が決定。

　※今期のA級は押し並べて不調の棋士が多く挑戦者、降級者共に最終戦に持ち込まれるという大混戦でした。来期のB級1組は広瀬九段と斎藤慎太郎八段という実力者が混じることで激戦になることは必定。従って今期既にA級昇級を決めた千田翔太八段は運が良かったと言えましょうし、残る1名の昇級を争う増田康宏七段と大橋貴光七段は昇級を勝ち取るのと逃がすのでは雲泥の差となりそうです。