A PINK 〜K-POP最後の砦 | Future Cafe

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SECRET GARDEN/A PINK

 最近、K-POPがパターン化してすっかりつまらくなった。今にして思えば、ティアラが「T.T.L」を、アフタースクールが「Because of You」を、レインボーが「Gossip Girl」を、ブラウン・アイド・ガールズが「Sign」 を、KARAが「Honey」を、少女時代が「Gee」と「Genie」をそれぞれリリースした2009年がK-POPのピークだったような気がする。それ以降のK-POPといえば、どれも似たりよったりの大味なエレクトロポップばかりになってしまった。もちろん、細かく見ていけば例外もあるのだが、2009年を境にK-POPからオリジナリティや多様性が失われていったのはほぼ間違いがない。
 KARAと少女時代の日本デビューが2010年だから、政府のバックアップによる過剰な対外戦略がK-POPから個性を奪ってしまったと仮定することも可能だろう。しかし、日本での活動に限れば、KARAに見られるように本国よりもソフトな路線で売り込みを図っている例もあるから、必ずしも日本進出がK-POPをつまらなくしたというわけでもないだろう。むしろ、日本での活動によってK-POPの多様性はかろうじて担保されているとすらいえる(しかし、日本でリリースされる楽曲は、作曲が日本人というケースも多く、純粋にK-POPといえるかどうかは怪しい)。K-POPの没個性化は、きっとタイやベトナム、中国、シンガポールなどを意識した対東南アジアおよび中国戦略がもたらした弊害なのだろう。
 昨年、クアラルンプールと香港を訪れたが、どちらもCDショップではCDもDVDも韓国勢が日本勢を圧倒していた。とりわけクアラルンプール中心部のショッピングモールにあるCDショップでは、J-POPのCDはほとんど扱われていないのに対して、K-POPは特設コーナーがつくられ、30対1以上の割合でK-POPの方が多く陳列されていた。真偽のほどは定かではないが上海やタイ、ベトナムでのK-POPの人気はマレーシア以上だという。こうしたアジアのマーケットをターゲットにすれば、必然的に楽曲はノリ重視にならざるを得ない。そこでは魅力的なメロディーをつくることよりも、いかにシンプルなビートと中毒性の高いリフレインを打ち出すことができるかということに力が注がれる。
 もちろん、少女時代の「Gee」や「Genie」にもそうした傾向を見て取ることは可能だし、レインボーの「Gossip Girl」などもサビの繰り返しが印象的な楽曲だった。しかし、少なくともシークレットの「マドンナ」の頃までは、リフレイン重視の姿勢をとりながらも、現在のK-POPほどワンパターンな楽曲構成ではなかったはずだ。ティアラなどのグループがどれだけ中毒性の高いリフレインを取り入れても、レトロ趣味のスパイスを加えたそれは、2NE1や4ミニッツなどのヒップホップ/R&B路線とは明確に一線を画すものだったはずだ。ところが、近年デビューするグループといえば格好良さを全面に打ち出すあまり、ガールズ・デイや作曲家ユニットのスイートチューンが手がける9musesなど、一部の例外を除けば、結果的にどのグループも中途半端なエレクトリックダンスミュージックに堕してしまっている。レトロを意識したオレンジ・キャラメルなどのグループもあるが、サウンド自体は打ち込み主体でまったく面白くない。
 KARAと少女時代はさすがにクオリティが高いが、それでも少女時代の韓国での4thアルバム「I Got a Boy」は、キュートなポップスでもエレクトリックダンスミュージックでもない中途半端な出来の作品であり、迷走している感が拭えなかった。ビートルズのサージェント・ペパーズ風のトラックがあったりして多彩と言えば多彩だが、「Express 999」の1曲を除くと楽曲の魅力に乏しく“らしくない”出来だった。KARAも「パンドラ」や4thアルバムの「Full Bloom」収録の「RUNAWAY」など名曲は多いが、凡庸なダンスチューンも決して少なくはない。
 もっとも、K-POPに歌謡曲やフレンチポップス、ソフトロック的要素を求める姿勢自体が古いといわれればその通りで、J-POPにおいてもフレンチポップスやソフトロックの影響は少なくなっているのが現状だ(AKBにはかろうじてそうしたエッセンスが残っているといえる)。それでも、欧米の音楽ではなくK-POPをあえて聴く意義は、歌謡曲的なキラキラ感やヨーロッパ的な叙情性にあるのであり、アメリカンポップスの猿真似に過ぎないK-POPなら、わざわざ聴く必要がない。
 前置きが長くなったが、そんなK-POPにあって、いまだ良い意味での歌謡曲性を失っていない
ガールズグループがA PINKなのだ。1stEP、2ndEP、1stアルバムに続いてリリースされた3rdEP「シークレット・ガーデン」も過去3作に劣らず名曲揃いである。A PINKで特におすすめなのは、1stEP「SEVEN SPRINGS OF A PINK」収録の「I Don't Know」と「BOO」、2ndEP「SNOW PINK」収録の「Prince」、1stアルバム「UNE ANEE」収録の「4月19日」、「BUBIBU」。願わくば現在の路線で行けるところまでいって欲しい。



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