ジャイルス・ピーターソンが主宰する〈BROWNSWOOD〉レーベルからリリースされたGANG COLOURSのデビューアルバムは、ピアノをフィーチャーしたダウンテンポのエレクトリックサウンドが特徴的な作品だ。
近年のジャイルス・ピーターソンは、クラブジャズ後の音楽シーンを模索して迷走しているといった印象が強く、ワールドミュージックを推してみたり、ダブステップに食指を伸ばしてみたりと軸足が定まらない感じが続いていた。エレクトリックミュージックを集めたコンピレーション「BROWNSWOOD ELECTRIC」シリーズにしても、1枚目はともかく、2枚目はやや首をかしげたくなる選曲だった。もっとも「BROWNSWOOD ELECTRIC」シリーズを選曲しているのはジャイルスではなく、アレックス・スティーヴンソンなのだがレーベルの名を冠したコンピレーションである以上、ジャイルスの意向がある程度反映されていると考えるのが妥当だろう。そのような理由もあって、GANG COLOURSには、それほど期待はしていなかった。
実際、GANG COLOURSのサウンドは、きわめて地味な印象であり、決してBROWNSWOOD期待のニューカーマーといった華々しいものではない。しかしながら、この地味さはマウント・キンビーやジェームス・ブレイクなどポストダブステップと形容されるタイプのサウンドに共通する地味さであり、全然悪くない。むしろ、極めて今日的なアルバムであるといえるだろう。2曲目の「FORGIVE ME?」や4曲目の「I DON'T WANT YOU CALLING」、6曲目の「TISSUES & FIVERS」などに代表されるメランコリックでミスティックなサウンドは、エレクトリックミュージックであることを忘れてしまうほどに体温を感じさせる音楽だ。
相当に緻密なプログラミングが施された音楽であるはずなのだが、かつて〈モ・ワックスレーベル〉から作品を発表していたマネー・マークあたりを連想させるローファイな響きを備えているから不思議だ。繰り返し聴くほどに耳に馴染んでくるその木訥としたサウンドは、憂鬱で、もの悲しく、そして美しい。
