四方田が書かなければ、おそらく忘却の彼方に消えてしまったであろう映像作家、レバノン出身のジョスリーン・サアブ。
彼女は癌で死ぬ直前まで、重信房子とその娘メイについての作品を構想していた。舞台はイスラエルに爆撃されるベイルートを軸として、九州をめぐるものになるはずだった。
パリのアパルトマンで、珍しく高揚する四方田とジョスリーンの映画に向けての共同作業が本書のもっとも美しい部分である。
因みに本書の中に「情熱だけが別の情熱を呼び覚ます」とあるのは、四方田の大好きな李小龍(ブルース・リー)の言葉である。






