著者の本は数冊読んだが、観念的な内容が多かった。本書は、ずいぶん雰囲気が違って通俗小説の類だ。TVドラマにもなって話題になっているみたい。なんともベタな装丁。
家族企業の身内から排除され、妻に裏切られ、子供達からも疎外されたと感じた主人公が、妻の隠し遺産の一部(それが1億円)を手に、新しい人生を切り開こうとする。その部分が1番読んで楽しい。突然口座預金が増えても、中古ベンツ1台買うのに逡巡するところなど、微笑ましい。
グルメの話題など、この作者の今まで出てこなかった領域を垣間見る。
それで最後のどんでん返しには、それはないよな、という感じ。主人公には自分の人生を生きさせてあげたい。
一億円「の」さようなら、この「の」の意味は分からなかった。
