年末年始、鈴木博之の後期の本をまとめて少し読んだ。本書は、単行本未発表の論文集である。
まずは処女論文と言っていい「スクリャービン論」から読んでみた。22歳の時の懸賞論文である。既に鈴木の天才肌が横溢している。
他の論文は、ずっと易しい。時評は年代順に並べられ、最近までの日本建築が通暁出来て良い。
鈴木は植治の和風庭園を高く評価し、東京駅を保存する一方で、新国立競技場のザハ・バディト案にも賛成している。しかし全体としては、建築物より、景観に重きを置いていたことがわかる。
一節を引用しておく。「現在の日本は、都市構造に比して建築が明らかに強すぎる。それが現代の日本の混乱を加速しているのではないか。都市構造に合わせて建築を弱くすることはできないし、すべきではない。とすれば、建築家は今こそ、都市全体についての自分のイメージを提出して、自己の建築に対して責任をとるべきではないか」
