いよいよ北陸新幹線が敦賀まで延伸開業する日が近づいています。


その先の関西方面へのアクセスは「小浜京都ルート」で決定していますが、京都府は南丹市にある美山かやぶき里(国の重要伝統的建造物保護地区に指定)で10年にわたる土木工事(地下工事)期間中に1日あたりダンプカーおよそ150台に相当する大量の土を掘り出し、さらには有害な物質が河川を汚染する恐れがあるとして、計画の白紙撤回を国に求めたため、事実上着工すら見通せず、暗礁に乗り上げています。


これにより、これまで長い間、北陸各都市と結びつきが強かった関西の各都市ですが、今回の敦賀延伸開業で弱まることが懸念されています。


こうなると、むしろ関西方面は京都駅を経由しない舞鶴新大阪ルートで着工し、山陰新幹線の整備も視野に入れる形でさらに検討を進める形にならざるを得ないと考えます。


整備新幹線は沿線自治体の賛成がなければ、着工できませんから、過去の京都府の立場から考えれば、南丹市や京都駅の地下に新幹線を通すのは反対だけど、京都駅を通らずに舞鶴や新大阪の方に通すなら、議論の余地はあるといった感じでしょうか?


京都の自然と観光資源を破壊してまで新幹線を通すことは本末転倒だから、反対の立場でしょう。


確かに、それらがあってこその新幹線ですから。


そういった事情があるため、中京圏と比べて需要が見込めるはずの関西方面との結びつきを一旦、中断し、愛知県や静岡県西部との結びつきにフォーカスして考えてみます。


中京圏は高速道路が比較的整備されており、さらにはクルマ社会であることから、北陸中京新幹線の需要はあまり大きくないと一般的には言われています。


しかし、それでも新幹線を整備して、交通手段の選択の幅を広げることは、冬季期間中の大雪に対する交通移動の強靭化と利便性向上につながるはずです。


中京圏と北陸各都市との結びつきを強くしている大動脈の1つが東海北陸自動車道ですが、毎年、冬にもなると、豪雪地帯に見舞われ、通行止めになることもしばしばあります。


東海道新幹線は日本で一番最初に試行錯誤して造られた最古の新幹線なため、雪にあまり強くありませんが、最近つくられる比較的新しい北陸新幹線などは雪にも強い設計になっているため、冬季の旅客輸送において、安定が期待できます。


さらに新幹線はクルマよりずっと高速で安全に走行するため、宣伝効果はあるはずです。


となれば、北陸新幹線はJR西日本の管轄であるため、関西方面との結びつきを重視するのは必然的なはずですから、名古屋方面からやってくる東海道新幹線の敦賀支線を新たに整備する形になると考えられます。


こうなると、現状の東海道新幹線の過密ダイヤがネックとなります。


のぞみが最大で1時間あたり12本も走行している超過密ダイヤの中、どうやって列車をやりくりするかが課題となります。それだけ東京〜大阪間の移動需要が莫大であることを移動していますね…


リニアが開通すればと言われていますが、リニア一辺倒の考えのままでは浮かばないアイデアというものもあるはずです。


それが、東海道新幹線の複々線化です! ただ単に現在の新幹線に並行する形で複々線化するではなく、名古屋〜京都間に現在の新幹線と同様の鉄車輌方式の新線を建設するというものです。


この区間は既にリニア方式での建設で計画が決まっていますが、鉄車輌方式での建設も視野に入れて考えるものです。


現状の関ヶ原付近は冬季期間中、積雪に見舞われることも少なくありませんが、三重県に新幹線を通すことにより、米原方面の新幹線が空くはずですから、そこも視野に入れて考えるのもアリかと考えます。


今の時代に似合った考え方かもしれません。


北陸新幹線を小浜京都まで通すか、東海道新幹線のぞみ、岐阜羽島と米原を通過するひかりを三重県の方に通し、北陸新幹線を米原ルートで建設する方が良いか?


輸送需要の観点から考えれば、北陸新幹線を関西まで延伸するより、東海道新幹線の名古屋以西の区間を三重県経由に変更する新線を建設し、北陸新幹線を米原ルートで建設する方がよっぽど経済的と感じますがね…


それぞれの利害や利権が複雑に絡み合っていますから、難しい話です。


もし、東海道新幹線の敦賀支線を新たに整備して、三重県内に新幹線の新線を建設するなら、名古屋始発のしらさぎは廃止となり、短編成が組める敦賀行(名古屋始発、名古屋止まり)のN700Sとかが登場するでしょうね!


そうなれば、山陽新幹線や九州新幹線にも短編成のN700Sが敦賀〜博多、鹿児島中央間への直通乗り入れとかも実現しそうです。