近年、電気自動車の蓄電池の技術革新に関する話題が、注目を集めています。

その中で、注目を集めているのが、全固体電池です。燃えやすい有機化合電解質、液体を一切使用せず、電解質を固体にし、燃えやすい有機化合物を一切使わないことから、安全性、信頼性を飛躍的に高めることが注目されています。

現在、産学協同研究プロジェクトとして、東京工業大学とトヨタ自動車が中心となって、実用化に向け、着々と進んでいるという情報があります。

これまで、リチウムイオン電池は、燃えやすい有機化合電解質を使用することで、液体の中をリチウムイオンがスムーズに通り抜けられ、電圧が高いことから、現在の電池の高性能化を実現しています。

しかし、その反面、発煙や発火のリスクがあり、その安全性確保のために保護回路を設けたり、電池の状態を監視するためのICを設けたりする必要がありました。

また、繰り返しの充放電により、次第に容量が減っていく=充放電寿命サイクルの問題や負極にコバルトを使っていることから、資源の調達が難しく、価格が高価であることなどの問題がありました。それだけではありません。コバルトの産出国が、コンゴ民主共和国で、この国では、子供を使って、採掘が行われているといった、人権侵害の問題が存在するという情報もあります。

このことから、コバルト酸リチウムのコバルトを使わない、あるいは、使用量を減らす試みも盛んに行われています。

事実、全固体電池は要らない、といった短絡的な言い方をする評論 YouTuber の方の意見は、要するに、こういったことを意味するものと思われます。

現状のリチウムイオン電池で、コバルトを使わないものが開発されつつあることに対する意見だと思われます。

このことから、現在のリチウムイオン電池と同等以上の性能を出せ、安全性や信頼性をさらに高めることができる、全固体電池の開発が必要だという意見もあります。

そのためには、全固体電池の登場に幻想を抱き、それに甘えるのではなく、実際に現在のリチウムイオン電池が、どのようにして動作しているのか? といった科学的な原理を解明及び理解すると共に、全固体電池の開発に力を入れる必要があるということではないでしょうか?

そういう私も、まだリチウムイオン電池の科学的な原理については、素人なので、今回は割愛します。

こうした電池の技術開発により、将来的には、電気自動車はもちろんのこと、スマートフォンの電池やパソコン、ドローン、再生可能エネルギーの蓄電用など、幅広い分野において、電気が使えるようになるものと考えられます。

さらに、電気自動車においては、インホイールモーターや自動運転技術、情報通信技術などとの融合により、これまでエンジンルームだった場所にまで、室内空間を広げられ、クルマのデザインに自由度が増して一新すること、カーシェアリングの普及やドライバーの人手不足解消などが期待されます。宅配サービスやタクシーなどの概念までも大きく変わるとも言われています。いわば、モビリティ革命とも言われます。

また、電気自動車のバッテリーは、容量が比較的大きいため、災害時などでは、非常用電源としても活躍します。

そういった意味から、今後、革新的な蓄電池の登場やインホイールモーター技術の課題克服、ワイヤレス給電技術を活用した、走行中給電といった、充電インフラ技術の革新などにより、間違いなく、電気自動車が主流となる時代はやってくると考えられます。

既に、日産のリーフやテスラモデル3などと共に、一部では、中国メーカーの追い上げも見受けられます。

トヨタやホンダも、今後、電気自動車の車種を大幅に増やす、としていますが、国が燃料電池の開発期間に期限を設けていたこともあり、水素を燃料とする燃料電池車の開発に資金を投じ過ぎてしまったことが、今の遅れのような感じに陥ってしまっているではないか? というのは、私の意見です。

その点、日産はある意味、早い段階から、正しい決断をしたように思います。

ハイブリッドでは、トヨタやホンダが先を行きましたが、今現在に至っては、その弊害というのが、出てきてしまっているように思います。

要するに、自動車産業の規模を大きくし過ぎてしまったとも言えるでしょう。

ですが、今、トヨタの方でも、やはり、このままではいけないという危機感は、当然、ありまして、大勢の意見の対立がある中でも、改革に乗り出そうとしています。

そうした、大企業特有の意思の疎通が合わない状況でも、やはり、何らかの対策を講じる必要があるということで、これまで以上に電池の開発に力を入れてやっていく、という情報もあります。

こうした動きの中で、トヨタが特別、電動化に乗り遅れているというわけではありません。

事実、世界初の量産型ハイブリッド車を生み出したのも、やはり、他でもない、トヨタでした。

そうした中で、長年、積み重ねてきたモーターやインバータ、バッテリーを制御する技術などもあるようです。

話は少し変わりますが、一時期「リチウムイオン電池は中国メーカーに技術を取られた」とか「バッテリー式の電気自動車は中国メーカー、日本メーカーは燃料電池車で戦うべし」などといった、とんでもないマスメディアの記事を見たことがあります。

これでは、ますます日本が駄目になります。

全くでもって、このマスメディアの連中共は、燃料電池車の全体のエネルギー変換効率を知らないのか?

現在のリチウムイオン電池でも、コバルトを使わない技術の開発が密かに行われていることを知らないのか?

充電時間の長さや航続距離の短さを解消する技術は、他にもあるということを知らないのか?

電気自動車のユーザーに対して、その辺のニーズ調査をしっかりと行ったのか?

などと、散々、ディスりたくなります。

それどころか、むしろ、その報道を信じて反中国感情を高める、バカ国民が、一番危険だと思っています。

裏で悪魔崇拝が仕組んだかのような、そういう挑発、戦争づくりに乗っかるというのが、第ニのパールハーバーになりかねないということでもあります。

まあ、そんな国際政治的な話は、今回のブログでは、ともかくとして、本題に戻します。

とにかく、燃料電池ではなくても、現在のリチウムイオン電池に使われているコバルトの使用量を削減、あるいは、使わない技術の開発において、やはり、日本が真の力を発揮できる場面は、まだ残されているように思います。

もちろん、インホイールモーターの課題を克服する技術やワイヤレス給電技術を用いた走行中給電、全固体電池、自動運転技術など、クルマがロボット化するような技術の開発においても、やはり、まだまだ日本の技術力で対抗できるものは残っているものと確信しております。

価格だけでなく、そうした他の国では真似できないような技術力の高さを世界にPRし、売りにしていくことが重要ではないかと感じております。

技術をワンランク以上、進歩させる、独創的なアイデアで競争力をつける、などしか、方法はないと思います。

ぜひ、そのチャンスを逃さず、他の国のメーカーと、どう戦っていくか?  が、今後、日本が生き残っていくための術であると考えております。