皆さん、こんにちは。
今日は、少し専門的な話をします。
とあるYouTuberが、全固体電池は不要! という不可解な動画を出している件について、少し物申します!
こいつ、マジで、技術的な専門知識、本当に解って、言っているのか?
と、つい、言いたくなるような、批評家的な発言です!
ということで、そのことについて、私なりに修正を試みたいと思います。
まず、これは、電気自動車に限った話ではないですが、現在、主に使われているリチウムイオン電池は、継ぎ足し充電が可能な点やエネルギー密度の観点から、利点を持つ反面、電解質が液体なため、少しでも使い方を誤れば、発火したり、最悪の場合には、爆発する危険さえ、孕んでおります。
これを防ぐために、冷却装置を取り付けたり、なるべく、発熱しないよう、制御したりなど、二重、三重もの、安全対策を施した設計が、必要になります。また、電池の重量も、その分、重くなる傾向にあります。
これは、特に自動車よりも安全基準の厳しい航空機などの分野においては、非常に重要なことで、発火したり、爆発する危険さえあるものは、出来る限り、取り除き、墜落などの事故に至る危険を避ける必要があります。
この問題を解決するために、とある大学及び日本の大手自動車メーカーとの共同で、これまで、液体だった電解質を固体にし、電池全体を一気に固体にしてしまおう!という研究が、行われています。
電池全体を固体にしてしまえば、液漏れの心配がなくなり、発火したりする危険を取り除くことができるようになります。
しかし、ただ単に、固体にしただけでは、内部抵抗が大きく、リチウムイオンがスムーズに移動することはありません。
さらに、この問題を解決するために、固体電解質でもリチウムイオンがスムーズに移動できるイオン伝導体を新たに見つける、あるいは、開発する必要が出てきます。
そこで、とある大学の研究室では、30年以上の歳月をかけて、ようやく、最近、リチウムイオンが固体電解質の中でスムーズに移動できる超イオン伝導体を見つけることができたという情報が、世間でも話題を集めております。
この技術を使えば、現在、リチウムイオン電池が抱える課題の多くを解決できるとされます。
例: 充電時間の短縮、小型化と軽量化、安全性の向上、高出力化、エネルギー密度の向上、繰り返しの充放電でも性能が落ちにくくなるなど。
しかし、それでも、まだ解決しなければならない課題が残っています。
それは、生産技術やリサイクル、低価格化の問題かと思います。
量産化に向けた生産体制、電池の製造工程の確立、リサイクル技術、低価格で安全な材料探索など、まだまだ、企業(製造メーカー)などと共同で解決しなければならない課題が残っています。
多分、このことを言っているのではないでしょうか?
その課題を解決するまでの間、自動車の電動化はどうするのか? と…
ただ単に、手をこまねいて待っているだけでは、到底、間に合わない!
そう言いたいのでしょうか?
確かに、それも一理、あろうかと思いますが、現在のリチウムイオン電池のままで良いとするような発言は、あまりにも、短絡的な発言かと思います。
これは、かなり、厳しいことを言うようですが、やはり、どうしても、全固体電池を必要としている業界はあるはずです。
何も、自動車に限った話ではなく、今後、スマートフォンや(電動)航空機、そして、架線レス式の鉄道やライトレールなどにも、広く応用が期待されているからです!
特に、航空機などでは、自動車以上の安全性を重視するということもあり、そのような産業分野において、全固体電池の早期実現は、必要であると私は考えます。
あとは、その間、テスラみたく、バッテリーのマネジメント技術をどうするか?
という問題ではないでしょうか?
ならば、もう少し、タイトルを改めるべきかと。
全固体電池は不要 → ×
正しくは、
全固体電池が市場に出回るまでの間、バッテリーのマネジメント技術をどう進歩させるか? → ◯
ではないでしょうか?
今よりも、電池の安全性をもっと高めていくためには、バッテリーのマネジメント技術だけでなく、もちろん、全固体電池も必要である! というのが、私なりの見解であり、持論です。
ちなみに、よく最近、中国などが、電気自動車に力を入れて、世界征服を狙っているようですが、
電気自動車は、電池とモーター、インバータだけで、ガソリン車よりも構造が簡単で、誰でも造れちゃう!
といった誤解があるのも、このせいではないでしょうか?
実際には、先程、説明した通り、そう甘くはないのです!
そう簡単に上手くいくような話ではありません!
だからこそ、我が国、日本は、そのように攻めてくる中国などに対し、競争力を維持するため、より電動化を可能にする技術をワンランク以上、進歩させて、自分たちが持つ技術の強みを最大限に活かしていくことが、今、求められているように思います。
こうなると、日本の強みは、高い技術力と和を重んじるデザインではないでしょうか?
これは、世界的に見て、日本にしかない、独自のものではないでしょうか?
和を重んじるデザインで差別化を図り、なおかつ、これまでに培った、高い技術力あるいは最新の技術を取り入れて、自分たちが生き残れる策について、真剣に考えるべき時期に来ていると私は思います。
日本の強みは、高い技術力=これまで、長年、ガソリン自動車を造り続けてきた中で培った技術を電気自動車にも取り入れることで、乗り心地や快適性、ボディ剛性、精度の向上など、電気自動車という以前に、クルマとしての基本性能。
これは、やはり、日本の方が、先を行っているように思います。
こうした、感性価値に着目した、ものづくりというのが、今後、ますます重要になってくるものと考えております。