30年ぶりの佐藤愛子作品!

最初はこれまでの草笛光子さんのイメージと、佐藤愛子さんのイメージが重ならなくて……どうかな?と少し不安もあったのだけれど、セリフが始まるとなるほど、これは確かに佐藤愛子だ!なった。

役者さんって凄いですね♪


唐沢寿明は、正直いって好きな役者じゃないんです。でも、この作品の編集者役は上手かったな。こんないい役者さんになろうとは……役者さんって凄いですね。


病院の事務の人、石田ひかりさんだったんですね。若い頃の面影が、全然なかて、ビックリしちゃいました。

ただニコニコしているだけのグラビアアイドルから、これまたいい役者になっていますね。

役者は凄い♪


以下、ネタバレごめん!(このフレーズ、久しぶりだな♪)









結末は、まぁ、想像通り。意外性はなしながら、編集者は見事に離婚している、あの結末がいいね。

変にドロドロしないで、さわやかにお別れ。


あれを復縁してしまって、全てハッピーエンドとなってしまったら、陳腐な作品になってしまっていたでしょうね。


本を刊行して、それが飛ぶように売れて、人々がみんな読んでいる……まぁ、物語を盛り上げるためには必要な描写だとは思うけど、大袈裟すぎて思わず失笑してしまった。

あんなに誰もが呼んでいたら、5万部の増刷ぐらいじゃ済まないぞ。w


その一方で、海のシーンとか、イチョウの撮り方とか、実に上手いですね。情景描写が抜群に上手かった。

そういうさり気ないシーンに、監督のセンスの良さに浸れるのが心地よい。


また、草笛光子さんが喋れば喋るほど、どんどん佐藤愛子さんにしか見えなくなる。草笛さんの演技も凄いが、このセリフを書いた脚本家も、そうとう佐藤愛子さんを研究したね。

脱帽とのです。


劇中、二度ほど親しい人達は挨拶もせず逝っちゃったと言うセリフが出てくるけれど、その度に遠藤周作、北杜夫、阿川弘之らの顔が思い浮かんでしまった。

彼らが亡くなった後に佐藤さんが書かれた追悼エッセイを思い出し、思わず涙ぐんでしまった。


平日なのに真ん中の席は、ほぼ満席でした。ちょいちょい年寄り万歳的な作品は、テレビでも映画でも作られるけれど、肩肘張らず、押し付けがましくなく、大いに笑える本作品。


こういう映画が観たかった♪