LEE前田

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僕が常勤させて頂いているさかえ松戸店でのお昼の出来事。
もう結構前の話で、登場人物は当時昼番だった前田主任と僕。

「小車プロ、食事休憩どうぞ」

「前田主任、お食事休憩頂きます」

松戸店ではメンバー用にカップ麺やレトルトカレーや湯せんするだけのハンバーグやウインナーなどがストックされていて、その中から好きなものを選んで食べるようになっている。

「うーん、いまいち食べたいのがないなぁ」

食べられるだけで幸せだということを忘れてしまった現代社会の屑のような発言をする僕に対して、前田主任がこう言ってきた。

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前田主任が差し出してきたのはレトルトカレーのLEE。
辛さ×10倍と書かれていた。

「小車プロは辛いの平気ですか?」

「あ、結構いける方ですね」

まぁ前田主任がそこまで言うのならと、僕はそのレトルトカレーを湯せんして食べることにした。
辛いのは結構いけると言ったものの、正直カレーってそこまで辛くする必要あるのか?という素朴な疑問もあり、普通にほどよく辛いくらいでいいよなぁなんて考えながらご飯をよそって温まったルーをかけた。

「いただきます」

10倍辛いらしいそのカレーをおそるおそる口へと運ぶ。
少しワクワクした顔でこちらを見てくる前田主任。

「どうですか?」

「あ、おいしい」

「でしょ?」

軽くドヤ顔である。

「思ったほど辛くもないし、辛さ以前に普通に味が美味しいですね」

という僕の率直な感想に気分を良くした前田主任が、更なるドヤ顔でこう言った。

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えっと……うん?

えすあんどびい?

S&Bって食品会社、あー書いてあれエスビーって読むんだぜ?

あれ?でも待てよ。

俺がそう思っていただけで本当はエスアンドビーが正解なのか?

だとしたら、前田主任の発言を訂正すると逆に俺が恥をかくんじゃないか?

よし、さっき箱開けてゴミ箱に捨てたやつを拾って確認してみよう。

裏とかにエスビーって書いてありそうじゃんね。

そう思って箱を見た瞬間、僕は驚愕した。
想像をはるかに上回る答えが、そこにはあったのだ。

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グリコじゃねえか!!!!!!!!!!






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いやまてまてまてまて。
あのドヤ顔のこの発言はなんだったんだ。
エスアンドビーのカレーの味自体ってなんだ。
しかもググったらやっぱりエスビーであってたし。
どうなってるんだよ前田主任んんん!!



というわけでみなさん、レトルトカレーはよこすか海軍カレーが美味しいですよ。青い方。
誰かエスアンドビーのカレーの味自体の意味を教えてください。

深夜1時、新小岩。

テーマ:
「マーマーとパパおにーさんおねーさんおじーちゃんおばーちゃんおーとなりさんもおっはー!」


深夜1時の一人カラオケ専門店で、僕は慎吾ママのおはロックを熱唱していた。
オーディエンスはゼロ。
誰にも届くことのないマヨチュチュを、軽いノリでもいい加減な気持ちでもなく真剣に音程を取りながら必死で歌っていたのだ。
なぜこんな状況になってしまったのか説明していこうと思う。


僕は現王位である樋口徹(てつ)プロと約1年ほどルームシェアしていたことがある。
場所はJR新小岩駅から徒歩2分のマンション。
ギリギリ都内で快速も止まるし、駅前はわりと栄えていて食べ物屋さんも豊富。
かなり有名で1時間はザラに並ぶラーメン屋もあるし、ドンキホーテもあるし、カラオケ屋もたくさんあってかなり快適な街だった。

今は普通のカラオケ屋になってしまったが、当時新小岩駅前には一人カラオケ専門店『ワンカラ』があった。
僕も徹も大のカラオケ好き。
僕らの中でDAMの精密採点DXで高得点を競うことがブームになっていた。

新小岩駅に僕らの共通の友人が遊びに来た日に、じゃあカラオケでも行こうという流れになった。

「でも時間も遅いし明日仕事だし、フリータイムとかは無理だよ」
「じゃあ1時間半だけ行く?」
「それじゃ全然歌い足りない」
「じゃあもう3人で一緒にワンカラ行ってそれぞれ歌えばよくね?」
「それめっちゃいい!」
「でも完全に別々に歌うのつまんないから、なんかゲームしようよ」

こんな流れで3人で一人カラオケ専門店に行くというカオスな状況に。
そして採点の得点で負けた人の全おごりということになった。

課題曲、フリー曲、初めて歌う曲。
この3つの最高得点をそれぞれの勝敗で競う。
課題曲はなぜかみんな適度に知ってたsupercellの君の知らない物語。

「ちょっとまってくれよ!ハンデくれよハンデ!」

この真剣勝負に空気を読まず水を差す奴がいた。
明らかに2人よりも精密採点の実力も実績も劣る自分にはハンデがないと勝負にならないとごね出したのだ。


そう、小車である。


徹もその友人も、バカみたいに歌が上手い。
僕も歌にはかなり自信があるのだが、彼らの優れている部分は音程の安定感だ。
精密採点にかなり向いていて、抑揚派の僕には分が悪かった。

ごねた結果、3点のハンデをもらった。
この点数をそれぞれ1点ずつ振り分けてもいいし、1曲に3点加算してもいいと。
ふふ……ごね得ごね得。

部屋に入ってまずは課題曲を入れてみた。
女性ボーカルな上に、その中でもキーが高い方の曲なので、サビだけオクターブ下げて歌ったりしてみたけど、もう散々な点数だった。
何度か歌ってみたけど点数は86点くらいで全然伸びなかったのでこれは諦めた。
なにせ時間がないのだ。

次にフリー曲。
これは当然一番自信がある楽曲で臨む。
僕が選んだ曲はMr.Childrenの優しい歌。
僕が精密採点での自己ベストを出した曲だ。
この日は調子が良く93点ほどをマークした。
僕はフリー曲に3点のハンデをぶっこむことにして、確実な1勝をあげることにした。

そして大事なのは初めて歌う曲。
実際に初めて歌ったかどうかの証明は難しいが、自分で本当にそう思うものを選んで歌うこと。
今日初めて歌った曲をもう一度歌い直して採点するのはあり。
ただ1時間半という限られた時間の中でそれにも限界があるので、やはり歌ったことはないけどしっかり歌えそうな楽曲選びがかなり大事になってくるのだ。

そこで僕が選んだ曲が慎吾ママのおはロックだった。
この曲を今までカラオケで歌ったことはない。
だけどかなり知っていてちゃんと歌える自信はある。
思いついてからはもう自信に満ちた指使いで、デンモクを操作して送信ボタンを押していた。


慎吾ママです。
みんな今日も元気にあいさつしたよね。
やんちゃ坊主。やんちゃガール。
お日さまよりも早起き。

深夜1時だが、出だしは好調。
歌いながらこれ結構いけるんじゃね?と思い始めていた。

「自信が確信に変わりました」

これは初めてイチローと対決した松坂大輔がイチローを4打席3三振に抑えた後のヒーローインタビューで残した名言だが、この時の松坂と同じ気持ちで僕は歌い上げていく。

2番のサビを歌い終わった後、この確信に変わりつつあった自信を打ち砕く想定外の出来事が起きた。

初めて歌う曲なのでちゃんと把握していなかったのだが、この曲には間奏中にセリフがあったのだ。

「慎吾ママでーす!あいさつみんなせーの!おっはー!」

突然のセリフにも迅速に対応する僕。
いや、正直ここを言っても言わなくても採点には影響がない部分なのだが、こういうところをぞんざいに扱うと、その後のサビを歌う僕の気持ちに差が出てしまう。

「よーし!たっくんよくできた!ごろうちゃんよくできた!」

はっきり言うが、このセリフを全力でやりきることに対して、なんの抵抗もないわけでは決してないのだ。
むしろもう僕の心は折れかけていた。

「つよちゃんよくできた!まーくんなんでできないの?」

深夜1時。
オーディエンスはゼロ。
鳴り響くおっはー。
なんとかセリフ部分を歌いきった僕だったが、もう元気一杯にその後を歌うハートは持ち合わせていなかった。

グダグダな気持ちで3番を歌い終わり、また最後におっはーの連呼。
もうやめてくれと懇願した。

点数は86点くらいだった。
同じ曲を歌い直すことは許されているが、僕にはもうそんな気力は残っていなかった。

そうこうしているうちに時間終了。
結果はハンデの3点を振り分けたフリー曲でなんとか1勝し、みんなで1回ずつ1勝したので勝ち負けなしとなった。


僕は今でも思い出す。
辛いことがあった時、早く終われと願う心に語りかける。

「あの時のおはロックほどの辛い時間ではないだろう?」

どうか一度みなさんも深夜1時の一人カラオケ専門店で慎吾ママのおはロックを熱唱してみてほしい。
きっと強さに変わる日が、いつかやってくるだろう。

Kプロの悲劇

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とある麻雀店で専属プロとして勤務中の出来事。

毎日ではなくとも、平日週末にかかわらず女流プロがゲストで来店する麻雀店だ。
その日のゲストはKプロ。本人の名誉もあるかもしれないのであえて伏せさせて頂こう。

その日はお客様の来店数も多く、夜にはほぼ満卓になっていた。
決して広くはない店内。
お客様の数が増えると必然的に店内の空気も悪くなる。
窓を開けていても室温にそこまで支障をきたさない季節だったこともあり、空気の入れ替えの為に窓を開けていた。

窓の外は雑居ビルと雑居ビルの隙間。
窓を開けていたことによって、あろうことかそこから奴が来店してしまった。

「初めて来ました。新規です。名前は五木ブリ男です」

「五木様、ようこそいらっしゃいませ!本日も一日よろしくお願いします!」

と、そんな軽快なお出迎えになるわけはない。
かなりビッグサイズで黒光りするそんなご新規様は即刻出禁。
死をもって制裁するほかないのだ。

しかし来店のタイミングは最悪。
僕とKプロは同卓で卓についていたし、店のスタッフも女子バイト以外は卓に入っていた。
僕はすぐに気がついて壁の高い位置を這うブリ男を見ていたが、Kプロも店内スタッフもまだ誰も気がついていないようだった。

今立ち番をしている女子バイトにこれを伝えたとしても、おそらく何も対処できずにパニックに陥るだろう。
僕とKプロが入っている卓は南1局でKプロが4万点台のトップ目だった。
この卓が終わるまでは待っていられないが、隣で店長が入っている卓はオーラス。
あの卓のゲームが終わって待ち席にいる人間の方のお客様を店長の席へとご案内して、店長が出てきたら招かれざる客の存在を伝えて対処してもらおう。

それまで僕がやるべきことは、あの黒い奴を見逃さないことと、なかなかテンパイしないこの広いイーシャンテンをさっさとテンパイさせてリーチすることだ。
そんなことを考えながら、僕は奴の動きを見ていたんだ。


そしてKプロが親でリーチをかけた。
その次の瞬間、事態は急変する。


ブブブブブブブブブブ……


高い位置から突然ダイブした五木ブリ男。
僕とKプロが麻雀を打っている卓目掛けて突撃してきたのだ。

「うわあああああ」

驚く僕を見てKプロも奴の存在に気がついた。

「きゃあああああああ」

どちらかというと僕の方へ向かってきていたブリ男は突然進路を変え、Kプロの背中に止まった。

「い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」

阿鼻叫喚。
五木はKプロの背中を上から下へと伝っていく。
僕は急いで座布団を丸めて払いのけようとする。
下に落ちた五木ブリトニーを、何事かと卓を止めて駆け付けた店長が靴で踏みつけた。
僕にはできないプレイ。
店長のカリスマが1あがった!

無残な姿になったブリトニーを店長がおしぼりで包み、おしぼりごとゴミ箱に捨てた。
騒然とした店内もまたさきほどまでの和やかな雰囲気に戻る。

はい、一件落着ですね、ゲーム再開しましょう。
……と、なるはずがないKプロ。
半べそをかいてまだ崩れ落ちている。

しかしいつまでもそうしているわけにもいかず、すぐに卓に着く。
顔面蒼白で手も少し震えていた。
きっと今麻雀なんて何やってるかわけわかんないような精神状態だろう。
今は親番中でリーチをかけていて……と少しずつ気持ちの整理をつけているように見えた。

僕はそんなKプロの先輩として、優しくこう言った。

「ゴキブリーチ」

僕の長かったイーシャンテンの手牌はようやくテンパイを迎え、メンタンピンドラドラの三面張テンパイになっていた。
まるでそうなることが決まっていたかのように、Kプロが僕のアガリ牌を一発でツモ切った。

「ロンです。メンタンピン一発ドラドラ裏裏です。16000点です」


そのゲーム、僕はトップを取りKプロはラスを引いた。
僕は先輩として、彼女の支えになってあげたかった。
思いとは裏腹に、彼女への追い打ちをかけてしまう結果となってしまった。


その日はもうまともに声をかけることもできず、次に会った時にはもうすっかり元気になっていたKプロ。
彼女はあの苦痛を乗り越えて麻雀プロとして一回りも二回りも大きく成長した。

またいつか彼女に向かって僕は言い放てる日が来ると信じている。

「ゴキブリーチ!」と。

矢野

テーマ:
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今日は十段戦でした。
僕は四段戦からの出場。

十段戦との相性はわりとよくて。
昨年も一昨年も、八九段戦まで勝ち進みました。
八九段戦で負けると結局誰の印象にも残らないんですが、だからこそ今年こそはと毎年意気込んで行くのです。

早めに会場入りすると、まだ何卓か三段戦をやっていました。
入口付近の対局中の卓に、矢野プロがいました。

矢野プロ……通称矢野っちは、九州本部所属の連盟員です。
麻雀の知識や情報収集能力に長けていて、守備型で繊細な麻雀を打つイメージです。
彼と対局すると、対局後にたくさんの局面を明確に覚えていて、こちらの意図をたくさん汲み取ってくれているので、牌を使って会話している感覚になれる素晴らしい選手です。

矢野っちの卓は最終戦のオーラスで、全員の点数が僅差で条件確認にかなりの時間を要するほどシビれる局面でした。
最後はほんの数ポイント差で矢野っちは四段戦への勝ち上がり。
見ているこちらも熱くなる対局でした。

三段戦が終わり、四段戦の受付をしている時間に、矢野っちと少しだけ話をしました。
対局が始まると選手同士は余計な会話はできないのですが、対局と対局の合間に挨拶程度に。
熱い対局を見せられた後だったので、僕自身熱い気持ちを抑えられず、ドヤ顔でこう言いました。
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決まった。
そう思いました。
俺は勝ち進む。
お前も来い。
そしてもっと上で戦おうと。

それに対する矢野っちの反応がこれです。
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ちなみに、矢野っちってイケメンなんですけどあんまり特徴ない顔してるんで、似顔絵ぜんぜん似ませんでした。

四段戦の受付を済ませた僕は18卓へ行ってくださいとのこと。
受付をした3階ではなく、4階に上がってくださいと。
僕は階段を上がり自分の卓について卓組発表を聞いていました。

「矢野さん、18卓」

いやいや。
いきなりすぎだろ。

4階に上がってきた矢野っちが一言だけ言いました。

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ちがうわ!
階数じゃねえわ!

もうそんなこと言う矢野っちの胴体はこんなもんです。
ちゃんと描いてやらないんだから。

いや、まぁ、しかしね。
同卓嬉しかったんですよ。

僕が東京に来てからは矢野っちと麻雀打つこともなくなりました。
最後に公式戦で打ったのってもう4年くらい前なんじゃないかな。
だから矢野っちが僕に持ってるイメージとは違うんだぞって部分を見せてやりたいなって意気込んだんです。
矢野っちが強敵だってこともわかってますから、気合入れて臨みました。
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熱い対局でした。
内容は割愛しますが、牌と牌で会話するってこういうことだよなって、本当にそう思えるいい対局でした。

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ら、来年の十段戦こそは……。

セロハンテープギザギザ物語

テーマ:
セロハンテープをカットするためのギザギザで怪我をしたことがあるだろうか。
検索で「セロハンテープ ギザギザ」と入れると「怪我」というワードも予測で出てくる。
みんなわりとあのギザギザで怪我をしているのだろう。
そして他にもそんな仲間がいないかと同志を求めて検索するわけだ。
そう、今回の僕がそうであったように。

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生きていれば怪我をすることもあるだろう。
無傷で生きていくなんて不可能だ。
もう二度とやるまいと心に誓っていても、まるで学習能力がない鶏のように、紙で指を切ったり下唇を思い切り噛んで口内炎を作ったりする。
その都度、地味にしばらく続く痛みに落胆している。

しかし同じ怪我でも、名誉の負傷ならどうだろうか。

車に轢かれそうになっていた子供を助けるためにダイブし、それで肘や膝を擦りむいたとしても、その後しばらく続く痛みに落胆したりはしないはずだ。
子供の命と引き換えになら、この程度の傷くらいいくらでももらってあげるよと。

人に話す時だってそうだ。

「昨日富士そばでカツ丼食ってて思いっきり下唇噛んで口内炎できたわクソが」

「昨日車に轢かれそうになってた子供を助けた時に擦りむいちゃったよーいててw」

痛みレベルは同じくらいだとしても、話し手のテンションも受け取り手の印象もまるで違う。
うわーこの人、富士そば程度の食事に対して下唇を思い切り噛むほどのハングリーさを持ってがっついてたんだーってなる。
いや、富士そばが決して悪いわけではないのだが。

少し話が脱線してしまった。
本題であるセロハンテープのギザギザの話に戻ろう。

仕事中、セロハンテープを使わなければならなくなった。
カウンターの外側に立っていた僕が、カウンターの内側に向けられていたセロハンテープを無理矢理カットしようとした。
テープが切れた時の反動で、僕の親指の付け根辺りがギザギザに思いっきり刺さった。
しばらくして横一列の点線からじわりと血が出てきた。
こんな見た目の怪我、なかなか見たことがない。

その後、シャンプーは染みるし洗い物は辛いしでいいことなしだったのだが、僕の心は晴れていた。
そう、なぜならこれは名誉の負傷だったからである。

仕事場のキッチンには数々の調味料が置いてある。
その中の一つにブルドッグのソースがあった。
そこに貼られていたシールに、言葉を付け加えずにはいられなかったのだ。

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男として大きな仕事をやり遂げた。
その達成感で、僕の親指の付け根の痛みなどどこかへ消え失せていた。

その達成感を伝えるため、こうやって久しぶりにブログを書いた。

是非みなさんも価値ある仕事をやり遂げてほしい。
その時にセロハンテープのギザギザで怪我をしようとも、胸を張って名誉の負傷だと言えるようなだ。

言えるようなだ!!

樋口徹という男

テーマ:
空前の樋口徹(てつ)ブームに乗っかり、樋口徹の話をしたいと思う。

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画像は僕のお土産のスイートポテトを手に乗せられる樋口徹。


約9年前、当時福岡に住んでいた僕は麻雀プロではなく、ただのバンドマンだった。
月1〜2回のライブ、スタジオでの練習、時々長崎や熊本に遠征に行ったり、楽器や機材を揃えたりと何かとお金が必要なバンドマン。
27歳の頃に選んだバイトが麻雀店スタッフだった。

僕が働き出して3ヶ月ほど経った頃だろうか。
僕の1つ下の和製トムクルーズみたいな男が入ってきた。
1つ下でバイトでも後に入ってきたということで、その後何年も僕に対して敬語で話してきたその男は、僕に対して敬う気持ちなど一切持ち合わせていない失礼で気さくで真面目に不真面目な樋口徹という名の面白い奴だった。

すぐに仲良くなった僕と徹は勤務中によくくだらない話で盛り上がり、時には盛り上がり過ぎてドリンクのオーダーに気がつかないこともあった。


ある日、お客さんがたこ焼きの出前を頼んだ。
そのたこ焼き屋はとても美味しくよく出前を頼まれる。
1パック8個入りで550円。
しかし2パック頼むと10個入りになるという不思議なシステムだった。
小腹が空いた夕方頃、徹に提案する。
「2人で550円出してもう1パック頼まないか」と。
そうすることでお客さんのたこ焼きも2個増え、まさにウィンウィンなのである。

徹はこれに快諾し、さらに追加の提案を出してきた。
「じゃあジャンケン11回して550円の内訳を決めましょう」

なるほど。
面白い。
受けて立とう。

結果は8勝3敗。
徹は400円出した。

「後10回ジャンケンして、たこ焼きを何個食べるか決めましょう」

よほど悔しかったのだろう。
徹がリベンジを申し出る。

僕は普通にジャンケンするのでは、この聖戦に対して失礼だと考え、軽快なリズムと動きをつけてジャンケンすることにした。

「あたっこ〜あたっこ〜。たっこやっきじゃ〜んけ〜ん、じゃ〜んけ〜んぽん!」

1回目のあたっこ〜のところで右手の親指と人さし指で作った輪っかで右のほっぺたを押し込みたこ焼きを作る。
2回目のあたっこ〜も同様、今度は左にたこ焼きを作る。
たっこやっきじゃ〜んけ〜んのところで両手を左右に伸ばし、高速で波のような動きをしてタコの足を表現。
じゃ〜んけ〜んぽん!で普通にジャンケンをする。
ちなみにこれをしているのは2人とも麻雀店スタッフとして勤務中である。

この動きで完全にテンションが上がりきった徹が、今までの人生で出したことがないであろうチョキの出し方を編み出す。
それはまるで天から降り注ぐ流れ星…いや、隕石という方がしっくり来る。
本来手を出す位置へと天からチョキが降り注ぐ「メテオチョキ」であった。

徹は明らかにこのメテオチョキを出すこと自体が楽しくなり、途中からこのメテオチョキしか出さなくなった。
僕は全てグーを出した。

結果、たこ焼きは僕が7個食べることとなり、徹は400円で3個のたこ焼きを食べるということに。
もともと8個入りが10個入りになるからお得という理由で頼まれたたこ焼きが、彼にとっては本末転倒になった。
完全にアホである。



そんな彼がその麻雀店に入って半年くらいの頃だろうか。
麻雀店のアルバイトを辞めたいと言い出した。
細かい理由は忘れたが、さみしく思う僕や周囲の説得も聞かず、今月いっぱいで辞めさせてくださいと。

徹はそれから次のアルバイトを探し始めた。
そして新しいバイト先に面接に行った。
「ビデオアメリカ平尾店」である。

「今日までにビデオアメリカからの採用の電話がかかってくるんすよ」
面接の手応えはかなり感じていると言う。
自分の面接が終わってすぐに入れ替わりで面接に来ていた別の人もいたが、その人は絶対に落ちているだろうとも言っていた。すごい自信だった。

僕と一緒に働きながら、徹は電話を待っていた。
しかしその日、徹の携帯にビデオアメリカから電話がかかってくることはなかった。

「まだわかんないっす」

慰めようとしながら面白がる僕に彼はそう言った。
それから毎日、1週間くらいは同じセリフを言った。


結局、徹はめぼしいバイトを見つけられず、それからずっとその麻雀店に勤務。一時は正社員にまでなった。


僕が麻雀プロになる時、徹を一緒に誘ったが彼はまだいいと断った。
結局僕の3年後に麻雀プロになった徹。
プロ5年目にして連盟G1タイトルである王位を獲得した。


僕は優勝を決めた徹にこう言った。
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麻雀プロである以上、こういう時には悔しさやジェラシーを持ってしまうものなのだと思うが、徹に関してはただただ嬉しいという感情しか生まれなかった。
本当におめでとう。
本当にありがとうビデオアメリカ。

桃太郎を考える

テーマ:

昔々あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。

おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に出かけました。

おばあさんが川で洗濯をしていると、川上からドンブラコ~ドンブラコ~と大きな桃が流れてきました。

 

おばあさんは思いました。

 

「……私にもいよいよお迎えが来たか……」と。

 

今までいつもこの川で洗濯をしてきて、あんな大きな桃が流れてくる光景など見たことがない。

あんなものが見えている私は相当やばい状態になっているに違いない。

そうか、ここが三途の川か……と。

 

さらにおばあさんは続けます。

 

いや、ちょっと待て。少し落ち着こう。

やはりあの桃は幻覚やその類のものではなさそうだ。

実際に流れてきている。

ただ、だとしたら一つどうしても確認しておきたいことがある。

大きな桃が川を流れてくる時の音は「ドンブラコ」であってるのか?ということだ。

今まで聞いたことがない擬音に動揺が隠し切れない。

その音だけでもはやこの世のものとは思えない何かがあり、そのせいで先ほどはお迎えが来たのだと勘違いしてしまったわけだ。

 

確かに私は今まで生きてきて、大きな桃が川を流れてくる様を見たことがない。

だからその時の音が「ドンブラコ」なんですよと言われれば「そうですか」としか言えない。

へええ。ドンブラコっていうんだーへええ。と強がるしかない。泣き寝入りである。

わかったよ、じゃあいいよドンブラコで。

 

それから、この大きな桃が流れてきているという事実。

“持って帰れ感”がすごい。

持って帰らないと物語がここで終わってしまうような、絶対にスルーしてはいけないような、そんなフラグ感がものすごい。

家からそこまで近いわけでもないこの川に、老体に鞭打って洗濯物を持ってきた私。

帰りには洗濯物が水を含んで結構な重さになる。

そこにさらにこんな大きな桃を持って帰れっていうのはもはや罰ゲームじゃないか。

 

もう見なかったことにしてあの桃が通り過ぎるのを待とう。それがいい。

あんな桃は初めから流れて来なかった。

私はいつも通り洗濯を終えて帰り、いつも通り夕飯の支度をする。

そして晩御飯の時、おじいさんは私にこう言うのよ。

ばあさんの作る味噌汁はいつもうまいのぅ。

この漬物も最高じゃ。

なに?食後のスイーツに桃があるじゃと?

そんな高価な物、一体どうしたんじゃ。

え?川を流れてきた?ほんまかいな!ほなら、早速切ってしまおう!

さすがわしのばあさんじゃ!愛してるぞよ!

 

うん、持って帰ろう。

おじいさんと一緒に甘いひと時に酔いしれよう。

こんなに大きな桃ならきっと甘くておいしいことでしょう。

大きいからっておいしいとは限らないけどな果物は。

 

おばあさんは洗濯物と大きな桃を必死に持ち帰りました。

 

実際に食後のサプライズまでそんな大きな桃を隠しておくのは無理で、おじいさんはその桃を見るなりとても驚き、すぐにでも切ってしまおうと包丁を取り出しました。

その桃をおじいさんが切ると、なんと中から玉のような赤ちゃんが現れました。

 

重い重い重い重い!!

こっちはちょっと桃食いてーなってくらいの気持ちで持って帰ってきてんのに赤子登場は重い!!

 

「わあっ!桃から産まれたから桃太郎にしましょうっ!」

 

ってなると思ったか!なるか!

だって桃から人は産まれないからな!!

 

桃を品種改良してこれだけ大きく育てて、

そこに産まれて間もない赤子を入れて、

閉じてそのまま川に流した奴がいるってことだぞ?

これは由々しき事態だ!!

 

……相談しよう。

これはもう老人二人でどうこうできる話ではなくなってしまった。

あとで村長さんのところに行こう。

お裾分けの桃を持って相談しに行こう。

村長さんの家は少し遠いけれど仕方がない。

川上に唯一ある村長さんの家まで、これからおじいさんと二人で相談しに行こう。

あんな川上に一人で住んでる変わった村長さんだけど、きっと力になってくれるに違いない。

 

 

……ん?

親になるということ

テーマ:
まずはご報告。
7月3日午前11時45分頃、無事に赤ちゃんが産まれました。
男の子ですが、名前はまだ決まっていません。
候補は2つに絞られてるのでどちらかになると思いますが。

これまで数か月の間、SNSやブログでの更新などを控えておりました。
仕事と妻のサポートを優先する時期と考え、そのように過ごしてまいりました。
それゆえにご心配をおかけしてしまった方もいたようで、申し訳なく思っております。

出産予定日は7月2日でしたが、初産ですしもう少し遅れそうだと先生にも言われていました。
しかし3日の午前2時頃から本格的な陣痛が始まり、4時頃タクシーを呼んで病院へ。
出勤予定だったさかえ松戸店さんにはお休みを頂き、出産に立ち会いました。
陣痛との戦い、自分の無力さ、出産というものの壮絶さに色々と考えさせられました。
そして産まれてきた新しい命。
これからこの命を育てていくということ。お手本にならねばいけないということ。
好き勝手に生きてきたこんな僕が。

奇しくも明日から麻雀格闘倶楽部では投票選抜戦が始まります。
まるでこれに合わせて産まれて来てくれたかのようなタイミング。
とりあえず僕の子は空気が読めるようです。

これからも育児に励む妻のサポートを優先しなければならない状況は続きますが、これからはSNSやブログを通してまた少しずつ情報発信などを行っていければと思っています。

簡単ですが今日のところはこんな感じで。

今後とも夫婦共々よろしくお願いします。


4月のスケジュール

テーマ:
遅くなりました!
今月は初ゲストが2つも!

1(金)さかえ松戸10-22
2(土)プロリーグ戦第1節
3(日)御徒町まーじゃんパーク10-22
6(水)さかえ松戸10-22
8(金)さかえ松戸10-22
9(土)さかえ松戸10-22
10(日)さかえ仙台初ゲスト!
11(月)池袋まあじゃんまっすー10-22
12(火)さかえ松戸10-22
13(水)さかえ松戸10-22
15(金)さかえ松戸10-22
17(日)渋谷スライム12-20初ゲスト!
18(月)池袋まあじゃんまっすー10-22
19(火)さかえ松戸10-22
20(水)さかえ松戸10-22
21(木)さかえ松戸10-22
23(土)麻雀マスターズ本戦
24(日)麻雀マスターズトーナメント(負けてたらパーク10-22)
25(月)池袋まあじゃんまっすー10-22
27(水)さかえ松戸10-22
28(木)さかえ松戸10-22
29(祝)麻雀マスターズベスト8
30(土)麻雀マスターズ決勝(まさか僕クラスないと思うけど負けてたらさかえ松戸10-22)

仙台の方々、お会いしましょう₍₍ ◝( ˙ ꒳ ˙ )◟ ⁾⁾
渋谷スライムは安心して遊べる順位戦のスピードバトルとのこと!
俺と一緒に安心しようぜ!!

よろしくお願いしますー!!


せっかくなんで僕がさかえ松戸でお世話になっているMチーフの似顔絵を貼っておきます。

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リーグ戦前夜

テーマ:
こんばんは。
長々と麻雀について「アーデモナイ……コーデモナイ……」(ガースプロ風)と文章をつらつら書いてましたが、まとまりがなさ過ぎてctrl+Aを押してDeleteキーを押してやりましたわ。わっはっは。

明日というか今日から、リーグ戦開幕です。
運よく麻雀マスターズを優勝したことでC1リーグに昇級し、自力でB2リーグまで上がっていた僕でしたが、昨年度は2期連続降級でC2リーグまで落ちてしまいました。
ちゃんと開始時間は確認したので、もう遅刻ペナルティをもらうことはないでしょう。

実況の仕事や勉強会などで、強者の考え方を聞けることが多くなりました。
自分では思いつかなかったような考え方や理論を聞き、自分なりに噛み砕いてみたり吸収してみたり。
技術や知識の量と、自分に対する自信は反比例する不思議。
麻雀プロになる前に福岡の麻雀店でメンバーをやっていた雑魚の頃の僕が、一番自信に満ち溢れていたように思います。

1年ほど自分の麻雀の着順をつけてみました。
2400回くらい打ってますね、一年で。
平均順位2.39くらいでした。思っていたより随分悪いですね。
ロン2の生涯着順が2.31くらいです。不特定多数の人と打つ麻雀と競技麻雀は違うものなのかもしれませんが、これは一つの物差しになりますね。
弱いです。こんなことでは全然辿り着けない。もっと精進します。

リーグ戦、頑張ってきます。
いつだってこれしか言えないけれど、今の自分が一番強いと信じて。
しっかり睡眠を取ります。おやすみなさい。