モノは言いよう』日刊ゲンダイ 連載コラム 毎週土曜掲載中! | 『ことば選び』は難しい。。。 

モノは言いよう』日刊ゲンダイ 連載コラム 毎週土曜掲載中!

◎モノは言いよう #50 3/2

《「いただきます」は感謝の言葉》

 食事を目の前にしたとき、私たち日本人は「いただきます」と言って箸を手にします。一般家庭の食卓はもちろん、レストランや街の定食屋、立ち食いそば屋、さらにはハンバーガーショップでもうれしそうに「いただきます」と言って食べ始める子どもの姿をよく目にします。
 日本で日常的に使われる「いただきます」と言う表現は、英語などの外国語には見当たらない言葉だそうです。感謝の祈りを捧げてから食事を始める習慣はあっても、それは食事を与えてくれた神に感謝するもので、日本のように食事に関わった全ての人や食物そのものに感謝し、「いただきます」といった言葉にしてから食するわけではありません。
 ある日、築地の魚河岸でマグロの仲卸を営む三代目のご主人と魚を食べていた時のことです。
「〝いただきます〟ってのはな、魚に対してその命を頂くことを詫び、栄養としていただく事に感謝する言葉でもあるんだよ! いい加減に残したり、粗末に食べては魚に申し訳ない」」
 ハッとさせられる話でした。
 そんな思いから、私が運営するインターネットテレビJPLIVE.TVで、「さかなTV」という番組をこのマグロ仲卸のご主人と始めました。普段、何げなく食べている魚や漁業の現状、感謝しながらおいしく、きれいに食べる方法など、さまざまな魚の話題を提供する番組にしたいと考えています。ぜひ一度、ご覧になってください。
 ちなみに、日本ウナギに続く絶滅危惧種はマグロかもしれないそうですよ。