モノは言いよう』日刊ゲンダイ 連載コラム 毎週土曜掲載中! | 『ことば選び』は難しい。。。 

モノは言いよう』日刊ゲンダイ 連載コラム 毎週土曜掲載中!

◎モノは言いよう #45 1/26

《だれが「企業戦士」を守るべきか》
 かつて昭和の高度成長期、会社の利益と成長のために競争相手と戦うサラリーマンは、「企業戦士」と呼ばれていました。
 バブル崩壊以後、右肩下がりの経済が続く中、久しく聞かれなかったこの言葉が、残念なことに、今回のアルジェリアでのテロに巻き込まれて亡くなった日本のサラリーマンの皆さんに使われる形となってしまいました。
 社命を受け、遠くアフリカの地でプラント建設に懸命にあたっていた人々が、なぜ銃弾に命を奪われなければならなかったのか。その経緯や対応を徹底的に検証し、今後の対策に役立てなければ、恐怖と無念の中、命を落とした皆さんの死を無駄にしてしまいかねないと、だれもが感じているはずです。
 政府が外交や救出作戦も含めた手段を模索する一方で、自分の命は自ら守らなければならないとの思いから、海外の危険地域で働く日本の人々も銃器を携行し、万が一に備えるべきだとの声が聞こえてきます。
 しかし、企業戦士の皆さんを〝本当の戦士〟にしてしまってもいいのでしょうか。国としての戦略を背負い、企業の社命のもとに利益と成長のために戦うべき企業戦士が、その片手に銃を携えるべきではないはずです。
 いま改めて、国民の生命と財産を守る事をその使命とする、国の責務が問われているのではないでしょうか。