勉強会では以下の決議が採択されました。この決議は内閣総理大臣、各管轄の大臣に提出する予定です。
1.新しい「エネルギー基本計画」で原子力発電を「基盤となる重要なベース電源」と位置づけることに強く反対する決議
2.東電を破たん処理し、政府が汚染水対策など原子力災害の処理と賠償に全面的な責任を果たすことを求める決議
3.被害の実態に見合った新しい原子力賠償保険への加入義務付けを求める決議
会事務局発行のニュースレター,当日の講師資料、
決議ともに、脱原発をめざす首長の会のホームページよりご覧ください。
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15日に採択した意見書を掲載します。
1、新しい「エネルギー基本計画」で原子力発電を「基盤となる重要なベース電源」と位置づけることに強く反対する決議
経済産業省の審議会「総合資源エネルギー調査会基本政策分科会」は2013年12月13日、エネルギー政策の中長期的な方向を示す新しい「エネルギー基本計画」案を了承した。
計画案は、原子力発電について「燃料投入量に対するエネルギー出力が圧倒的に大きく、数年にわたって国内保有燃料だけで供給が維持できる準国産エネルギー源として、優れた安定供給性と効率性を有しており、運転コストが低廉で変動も少なく、運転時には温室効果ガスの排出もないことから、安全性の確保を大前提に、エネルギー需給構造の安定性を支える基盤となる重要なベース電源として引き続き活用していく」と位置付けている。ベース電源とは一定量の電力を安定的に、恒常的に供給する電源とされている。
まず、私たちが指摘しなければならないのは、今回のエネルギー基本計画の策定が「国民的議論」を無視した形で進められ、異常なプロセスをとっていることである。
3・11の震災・原発事故を経て、エネルギー基本計画の見直し議論では、2012年夏に大々的な「国民的議論」が行われた。また、9万件近く寄せられたパブリックコメントでは87%が「原発ゼロ」シナリオを支持していた。こうした様々な形で国民の意見を吸い上げ、反映したものが2012年9月の「革新的エネルギー・環境戦略」で示された「2030年代での原発稼働ゼロ」だった。
しかし、今回のエネルギー基本計画の策定では、国民的議論の結果についてまったく言及がない。そればかりか、ただ単に資源エネルギー庁のウェブサイトで意見募集をしているだけで、策定過程を積極的に国民に知らせ、意見を聞くという努力がなされていない。
計画案では、原発事故によって生まれた国民の原発政策への不信や原発ゼロなどの主張について「政府は、こうした様々な議論を正面から真摯に受け止めなければならない」と記述しているが、言葉だけに終わっていると言わざるを得ない。
第二に、「基盤となる重要なベース電源」と位置付けられた根拠の一つである、原子力発電の「運転コストが低廉」について指摘したい。福島原発事故後に行われた政府の「コスト等検証委員会」の検討では、原発の発電単価は1キロワット最低9円とされた。一方、自然エネルギー財団の報告書によれば、この試算には事故リスク対策費や廃炉費用など現実に必要とされる金額が考慮されておらず、こうした要素を加味すれば原発の発電単価は1キロワット17円以上となり、「運転コストが低廉」とは言い難い。「重要なベース電
源」という位置づけを支える重要な根拠の一つは、現実的な原発コストをきちんと見積もれば、大きく崩れているのである。
第三に、高レベル放射性廃棄物の最終処分の展望がない現状を指摘しなければならない。計画案が認めているように「放射性廃棄物の最終処分制度を創設して以降、10年以上を経た現在も処分地選定調査に着手できていない」のである。すでにある廃棄物も処分できない中で、今後も「重要なベース電源」として原発を使い続け、廃棄物を増やしていくのは全く無責任と言わざるを得ない。
私たちは住民の生命・財産を守るという首長の責務を果たすため、上記のような理由から、新しいエネルギー基本計画で原子力発電を「基盤となる重要なベース電源」と位置付けることに強く反対する。同時に、政府の責任において一刻も早く「原発ゼロ」への確かな道筋を示すことを改めて求めるものである。
2013年12月15日
脱原発をめざす首長会議
(注)自然エネルギー財団の報告書:「『エネルギー基本計画』への提言 ―『原発ゼロ』の成長戦略を―」(2013年12月)
2、東電を破たん処理し、政府が汚染水対策など原子力災害の処理と賠償に全面的な責任を果たすことを求める決議
東京電力福島第一原子力発電所から高濃度の放射性物質を含む汚染水が漏れ続けている問題で、政府は2013年9月3日、約470億円の国費を投じ、政府主導で解決する方針を明らかにした。
汚染水が海に漏れ出す懸念は事故直後から示されており、当時の細野豪志原発担当相は2011年7月の記者会見で遮水壁を構築する案の検討を始めたことを明らかにしている。しかし、そうした対策が取られなかったのは、東電側が巨額の経費に難色を示したからだった。東電の経営上の都合を優先させてきて、汚染水問題への抜本的な対策を先送りにしてきたのである。
政府の汚染水処理対策委員会は2013年12月10日、汚染水問題を2020年度末までに収束させるための追加対策と行程を示した報告書をまとめた。一方、前述の470億円の国費投入に加え、長期にわたって汚染水問題に取り組むための国費を投入する法的根拠は明確にされていない。
被災自治体の置かれている苦境や事故収束の遅れが国際的な問題になっていることを考えれば、汚染水対策などでこれまでのような抜本的な対応を先送りするような事態を決して繰り返すことなく、可能な限り加速すべきである。同時にそのための財政負担を国民への「つけ回し」にしないためにも、東電を法的に破たん処理すべきと考える。
破たん処理によって、経営陣や株主、大手銀行の貸し手責任を明確にし、東電と利害関係者に当然の責任を取らせ、そのうえで、政府が汚染水問題を含む事故収束と被害への賠償や除染に全責任を負うことを強く求める。
2013年12月15日
脱原発をめざす首長会議
3、被害の実態に見合った新しい原子力賠償保険への加入義務付けを求める決議
すべての自動車には自賠責保険を掛けることが義務付けられている。しかし、それだけでは不十分なため、運転者は対人賠償無制限などの任意保険に加入するのが「常識」である。
一方、原子力損害賠償法では、原子力発電所を運営する電力会社に対し、民間の原子力損害賠償責任保険への加入が義務付けられているが、保険金の上限は原子炉の数にかかわらず1原発あたり1200億円にすぎない。
福島第一原発事故における補償の現状をみれば、この金額が必要額をはるかに下回っているのは誰の目にも明らかである。
一般人さえ任意の自動車保険に自主的に加入していることを考えれば、公共機関たる電力会社には、被害の実態に見合った賠償保険に加入することを義務付けるべきである。そうでなければ、次に同様の事故が起きたときには当の電力会社は経営破たんし、最終的に国民負担となるか、被害者が泣き寝入りするしかなくなってしまうではないか。
菅義偉官房長官は2013年11月5日、東京都内での講演で、原発事故の賠償を事業者に原則として負わせている原子力損害賠償法の改正を検討する考えを示した。早ければ来年の通常国会での法改正を検討していると伝えられている。
また、2013年12月13日に示された新しい「エネルギー基本計画」案では、「原子力規制委員会によって安全性が確認された原子力発電所について再稼働を進める」との考えが示されている。
私たちは住民の生命・財産を守るという首長の責任に鑑みて、東電の事故の原因究明、処理もいまだ明確にならない現在、また二度と同じ苦しみを住民に合わせられないという考えから、再稼動は絶対に認められないという立場にある。
しかし、地震列島の上に原発が存在する限り、事故のリスクは常にありうるのである。全原発が廃炉になるまで、事故の可能性を前提にコストを考えれば、「被害の実態に見合った新しい原子力損害賠償保険契約の締結」を電力会社に義務付けることを、原子力損害賠償法の改正内容の一つとするよう政府に強く求める。 民間企業の事故処理を、国民の負担に押し付けて企業を存続させることは、断じて認めることはできない。
2013年12月15日
脱原発をめざす首長会議